モラハラ妻と離婚はできる?後悔しないための準備や離婚方法

離婚問題

モラハラ妻と離婚はできる?後悔しないための準備や離婚方法

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹

監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士

妻からの暴言や人格否定、過度な束縛や経済的支配などのモラハラに悩み、「この結婚生活を続けるべきなのか」「離婚したいが本当にできるのか」と不安を抱えている方は少なくありません。

本記事では、妻によるモラハラの具体例や子どもへの影響、モラハラを理由に離婚できるかどうか、後悔しないための準備や離婚方法、慰謝料の目安までを、法律の観点から分かりやすく解説します。

妻によるモラハラの具体例は?

なんでも夫のせいにする

家事や育児、子どもの不登校や成績不振、家庭の雰囲気の悪さなど、あらゆる問題について「全部あなたのせい」「稼ぎが悪いからこうなる」などと一方的に責任転嫁するケースです。このような継続的な非難は、夫の自己肯定感を奪い、精神的DVと評価され得ます。

夫のお小遣いなどを極端に制限する

生活費や貯金の管理自体はどの家庭にもありますが、妻が一方的に家計を握り、夫に必要最低限以下の金額しか渡さない、交通費や昼食代まで足りない水準に抑える、使途を逐一チェックしてわずかな支出も責め立てるといった場合、精神的・経済的DVと評価され得ます。

自分(妻)が常に正しいと思っている

妻が自分の価値観だけを絶対視し、夫の意見を一切聞かずに「私が正しい」「あなたはいつも間違っている」と決めつけ続けるケースです。

話し合いの場でも、夫の意見を途中で遮り、人格そのものを否定するような言動が繰り返されると、夫は「何を言っても無駄だ」と感じ、精神的に追い込まれていきます。
そのため、このような行為も精神的DVと評価され得ます。

夫を悪者にする

家庭内外で一貫して夫を「悪者」と位置付け、「子どもや親族、友人の前で夫だけが悪い」と吹き込むケースです。

例えば、「お父さんがダメだからお金がない」「お父さんは何もできない人」などと子どもの前で繰り返し話す行為は、夫の人格権を侵害するだけでなく、子どもの健全な成長にも悪影響を及ぼします。このような行為も精神的DVと評価され得ます。

元々の性格が細かく文句が多い

「性格が細かい」「口うるさい」だけで直ちにモラハラになるわけではありません。

しかし、日常的に些細なことまで執拗に指摘し、「そんなこともできないの」「本当に使えない」「生きている価値がない」など人格否定を伴う文句が繰り返されると、単なる性格の問題ではなく精神的暴力と評価され得ます。

妻のモラハラが子供に与える影響

モラハラ妻と親権の関係

離婚時の親権者・監護者は、「子の利益」を最も優先して決めなければならないとされています(民法766条1項・819条6項)。

妻のモラハラが子どもにも向けられている場合や、子どもの前で夫を激しく罵倒する「面前DV」が続いている場合、子どもの人格形成に深刻な悪影響を与えるとして、モラハラを行う親が親権者として不適当と判断されることがあります。

もっとも、個々の事案では、監護実績や子どもの意思なども総合的に考慮されるため、モラハラが即座に親権喪失につながるとは限らず、証拠に基づいた主張立証が重要です。

モラハラを理由に妻と離婚できる?

協議離婚で妻が離婚に応じるのであれば、モラハラの有無にかかわらず合意により離婚が成立します(民法763条)。

相手が離婚を拒否する場合には、調停や裁判で離婚を求めることになり、この場合、民法770条1項各号に定める離婚原因の存在を立証する必要があります。
妻による継続的な暴言や人格否定、経済的支配などは、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(同項5号)に該当し得るとされ、これに該当すれば離婚をすることができます。

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モラハラ妻と離婚する方法と手順

証拠集め

モラハラ離婚を有利に進めるには、まず証拠の確保が重要です。

裁判離婚ではモラハラが「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当することを被害者側が立証しなければならず、暴言の録音データ、メールやSNSのメッセージ、モラハラを受けて心身に異常をきたしたことを示す診断書や通院記録などが証拠として有効となります。

離婚について話し合い(協議離婚)

証拠を確保したうえで、まずは夫婦間で協議離婚を検討します。

離婚に合意できるかだけでなく、財産分与、慰謝料、親権、養育費、面会交流などの条件も具体的に話し合い、書面(離婚協議書)に残すことが重要です。
相手との直接の話し合いが怖い・負担が大きい場合には、弁護士を代理人として交渉してもらう方法もあります。

夫婦での話し合いが成立しなければ離婚調停へ

協議による話し合いがまとまらない場合や、そもそも冷静な話し合いが困難な場合には、家庭裁判所に離婚調停を申立てます。

調停では、中立な調停委員を介して、離婚するかどうかや、親権・養育費・財産分与・慰謝料などを話し合います。調停の場で、これまでに集めたモラハラの証拠や経緯を丁寧に主張していくことが大切です。

調停が成立しなければ離婚裁判を申し立てる

調停でも離婚や条件面での合意ができない場合、離婚訴訟(裁判)に進みます。

裁判では、民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるかどうかが争点となり、モラハラの程度・期間・婚姻生活への影響などを、提出した証拠や本人・証人尋問を通じて裁判所に判断してもらうことになります。
手続きや主張立証は専門性が高いため、弁護士への依頼がほぼ必須といえます。

離婚成立まで時間がかかる場合は別居を検討する

モラハラが続いて心身に大きな負担がかかっている場合、離婚成立を待たずに別居を検討すべきこともあります。

別居により、加害者と物理的距離を置き、安全と心身の安定を図ることができますし、長期の別居は「婚姻を継続し難い重大な事由」の判断要素にもなります。
もっとも、別居後の生活費や住居の確保、子どもの生活環境への影響なども踏まえ、計画的に進めることが重要です。

妻のモラハラで慰謝料はいくらもらえる?

モラハラ離婚の慰謝料は、モラハラの内容・期間・被害の程度などにより異なりますが、数十万円~数百万円程度の範囲で認められることが多く、個別事情に左右されます。

モラハラ妻との離婚を検討している方は弁護士にご相談ください

モラハラは、精神的DVでありながら、外からは分かりにくく、被害者自身も「自分が悪いのでは」と思い込んでしまいがちです。

しかし、適切な証拠を集め、手順に沿って進めれば、モラハラを理由とする離婚や慰謝料請求が認められる可能性があります。

ひとりで抱え込まず、早い段階で離婚問題に詳しい弁護士に相談し、ご自身とお子さんの今後の生活設計まで見据えた解決を一緒に考えてもらうことをお勧めします。

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹
監修:弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長
保有資格弁護士(大阪弁護士会所属・登録番号:40084)
大阪弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。