監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士
足指は下肢に属します。下肢の後遺障害は、主に骨折・脱臼・神経麻痺に伴って発生します。
骨折で後遺障害が問題となるのは、骨折後の骨の癒合が不良で、癒合位置が不全であるとか、骨癒合が不良で骨折部が関節化するとか(偽関節)、関節が拘縮して可動域制限が生じるとかの場合です。
脱臼は、関節にはまっている骨がズレた、あるいは関節から飛び出してしまった状態をいいます。本来、関節を構成する骨は靭帯でひきつけられて容易にずれたり外れたりしないようになっています。しかし、事故の衝撃そのものやあるいは事故により靭帯が損傷、断裂することにより、脱臼が生じます。
神経については、事故により直接神経が断裂等する場合のほか、骨折や脱臼などで神経が圧迫されることにより、神経麻痺等がおこることがあります。
下肢のうち、足指の障害については、欠損障害と機能障害とがあります。障害等級表は下記の通りです。
障害の程度 | 等級 | 保険限度額 | 労働能力喪失率 | |
---|---|---|---|---|
欠損障害 | 両足の足指の全部を失ったもの | 5級8号 | 1574万円 | 79% |
足の足指の全部を失ったもの | 8級10号 | 819万円 | 45% | |
足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの | 9級14号 | 616万円 | 35% | |
足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの | 10級9号 | 461万円 | 27% | |
足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの | 12級11号 | 224万円 | 14% | |
足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの | 13級9号 | 139万円 | 9% | |
機能障害 | 両足の足指の全部の用を廃したもの | 7級11号 | 1051万円 | 56% |
足の足指の全部の用を廃したもの | 9級15号 | 616万円 | 35% | |
足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの | 11級9号 | 331万円 | 20% | |
足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの | 12級12号 | 224万円 | 14% | |
足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの | 13級10号 | 139万円 | 9% | |
足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの | 14級8号 | 75万円 | 5% |
上記後遺障害等級表の用語について解説しておきます。
欠損障害について
「足指を失ったもの」
まず、足の指は、いわゆる親指から順番に外側の指に向けて、「第1指・第2指・・・第5指」といいます。いわゆる小指が第5指となります。
また、足指の骨は、末端から順に末節骨、中節骨、基節骨、中足骨といいます(第1指については、末節骨と基節骨及び中足骨です。)。
これを前提に、「足指を失ったもの」とは、中足指節関節から先を失ったものをいいます(中足指節関節とは、中足骨と基節骨の間の関節をいいます)。
機能障害
「足指の用を廃したもの」
第1指の場合
末節骨の1/2以上を失ったもの又は指節間関節に著しい運動障害を残すもの
その他の指
遠位指節間関節以上を失ったもの又は中足指節間関節若しくは近位指節間関節に著しい運動障害を残すもの
※近位指節間関節
第1指にあっては末節骨と基節骨の間、その他の指あっては末節骨と中節骨の間
※遠位指節間関節
第1指以外の指の基節骨と中節骨の間
具体的には、
・第1の足指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの
・第1の足指以外の足指を中節骨若しくは基節骨を切断したもの
又は遠位指節間関節若しくは近位指節間関節において離断したもの
・中足指節関節又は近位指節関節(第1指にあっては指節間関節)の可動域が健側(健全な指)の可動域角度の1/2以下に制限されるもの
その他
・骨折部にキュンチャー(骨髄内釘)や金属釘を用いたために機能障害が生じている場合には、当該キュンチャー等の除去をしてから等級の認定がされます。キュンチャー等が原因となっていない場合には、創面が治癒したところで等級の認定がされます。
・ギプスによって患部を固定していたために関節に機能障害が残るような廃用性の機能障害については、将来における障害の程度の軽減が考慮され等級が認定されます。
まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
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保有資格弁護士(大阪弁護士会所属・登録番号:40084)