高次脳機能障害で認定される可能性のある後遺障害等級

交通事故

高次脳機能障害で認定される可能性のある後遺障害等級

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹

監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士

高次脳機能障害を判断する基準とは

高次脳機能障害については、厚生労働省労働基準局通達(平成15年8月8日基発第808002号)において、意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力及び社会行動能力の4つの能力(以下「4能力」という。)の各々の喪失の程度に着目し評価を行うことと規定されています。その際、複数の障害が認められるときには原則として障害の程度の最も重篤なものに着目して評価を行うこととされています。

認定基準には高次脳機能障害に関する傷害の程度別の例が記載されていますが礼二の一部であって、「認定基準に示されたもの以外の4能力の喪失の程度別の例については、「神経系統の機能又は精神の障害に関する医学的事項等」の別紙「高次脳機能障整理表」を参考にすることとされています。

高次脳機能障害で認定される可能性のある後遺障害等級

障害の程度 等級
高次脳機能障害のために、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、常に他人の介護を要するもの
・重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護が必要なもの
・高次脳機能障害による高度の認知症や情意の荒廃があるため、常時監視が必要なもの
1級の1
高次脳機能障害のために、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、随時介護を要するもの
・重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に随時介護が必要なもの
・高次脳機能障害による認知症、情意の障害、幻覚、妄想、頻回の発作性意識障害等のため随時他人による監視が必要なもの
・重篤な高次脳機能障害のため自宅内の日常生活動作は一応できるが、1人で外出することなどが困難であり、外出の際には他人の介護を必要とするため、随時他人の介護が必要なもの
2級の2
生命の維持に必要な身の回り処理の動作は可能であるが、高次脳機能障害のため、労務に服することができないもの
・職場での他の人と意思疎通を図ることができない場合(意思疎通能力の全部喪失)
・課題を与えられても手順通りに仕事を全く進めることができず、働くことができない場合(問題解決能力の全部喪失)
・作業に取り組んでもその作業への集中を維持することができず、すぐにその作業を投げ出してしまい、働くことができない場合(作業負荷に対する持続力・持久力の全部喪失)
・大した理由もなく突然感情を爆発させ、職場で働くことができない場合(社会行動能力の全部喪失)
・意思疎通の能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力・持久力、社会行動能力(4能力)のうち2つ以上の能力の大部分を喪失した場合
3級の3
高次脳機能障害のため、極めて軽易な労務のほか服することができないもの
・4能力のうち1つ以上の能力の大部分を喪失した場合
・4能力のうち2つ以上の能力の半分程度を喪失した場合
5級の2
高次脳機能障害のため、軽易な労務にしか服することができないもの
・4能力のうち1つ以上の能力の半分程度を喪失した場合
・4能力のうち2つ以上の能力の相当程度が失われた場合
7級の4
通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの
・4能力のうち1つ以上の能力の相当程度が失われた場合
9級の10
通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、軽微な障害を残すもの
・CT、MRI等による他覚的所見は認められないものの、脳損傷のあることが医学的に見て合理的に推測でき、高次脳機能障害のため、僅かな能力喪失が認められる場合
12級の13
通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、軽微な障害を残すもの
・CT、MRI等による他覚的所見は認められないものの、脳損傷のあることが医学的に見て合理的に推測でき、高次脳機能障害のため、僅かな能力喪失が認められる場合
14級の9
別紙「高次脳機能障整理表」

高次脳機能障害の障害認定は、上記の4能力に係る喪失の程度に応じた認定基準に従って行うものであるが、別紙の高次脳機能障害整理表は障害の程度別に能力の喪失の例を参考として示したものである。
なお、別紙の高次脳機能障害整理表の「喪失の程度」の欄と認定基準における労働能力の喪失の程度の関係は、以下のとおりである。

  • 「A:多少の困難はあるが概ね自力でできる」は、能力を「わずかに」喪失 (第14級の認定基準参照)
  • 「B:困難はあるがおおむね自力でできる」は能力を「多少」喪失 (大12級の認定基準参照)
  • 「C:困難はあるが多少の援助があればできる」は能力の「相当程度」を喪失 (第9級の認定基準参照)
  • 「D:困難はあるがかなりの援助があればできる」は、能力の「半分程度」を喪失 (第7級の認定基準参照)
  • 「E:困難が著しく大きい」は能力の「大部分」を喪失 (第5級の認定基準参照)
  • 「F:できない」は、能力の「全部」を喪失 (第3級の認定基準参照)

そして、自賠責保険の後遺障害認定手続きにおいては、以下の類型(症状の残存が認められる場合)に当てはまるものを高次脳機能障害に該当するのではないかと考えて審査の対象としています。

①初診時に頭部外傷の診断があり、経過の診断書において、高次脳機能障害、脳挫傷、びまん性軸索損傷、びまん性脳損傷等の診断がされている症例

②初診時に頭部外傷の診断があり、経過の診断書において、認知・行動・情緒障害(人格変化など)を示す具体的な症状や失調性歩行、痙性片麻痺といった高次脳機能障害に伴いやすい神経系統の障害が認められる症例

③経過の診断書において、初診時の頭部画像所見として頭蓋内病変が記述されている症例

④初診時に頭部外傷の診断があり、初診病院(救急搬送された病院など)の診断書において、当初から意識障害(JSCが2~3桁・GCSが12点以下)が少なくとも6時間以上あるもの。

⑤④程の意識障害ではなくとも、健忘、軽度の意識障害(JSCが1桁・GCSが13~14点)が少なくとも1週間以上続いていることが確認できる症例

⑥その他、脳外傷による高次脳機能障害が疑われる症例

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