手指の障害で認定される可能性のある後遺障害等級

手指の障害で認定される可能性のある後遺障害等級

手指の障害

手は上肢に属します。上肢の後遺障害は、骨折・脱臼・神経麻痺に伴って発生します。

骨折で後遺障害が問題となるのは、骨折後の骨の癒合が不良で、癒合位置が不全であるとか、骨癒合が不良で骨折部が関節化するとか(偽関節)、関節が拘縮して可動域制限が生じるとかの場合です。

脱臼は、関節にはまっている骨がズレたとか、あるいは関節から飛び出してしまった状態をいいます。本来、関節を構成する骨は靭帯でひきつけられて容易にずれたり外れたりしないようになっています。しかし、事故の衝撃そのものやあるいは事故により靭帯が損傷、断裂することにより、脱臼が生じることがあります。

神経については、事故により直接神経が断裂等する場合のほか、骨折や脱臼などで神経が圧迫されることにより、神経麻痺等がおこることがあります。

上肢のうち、手指の障害については、欠損障害と機能障害とがあります。障害等級表は下記の通りです。

手指の障害
障害の程度 等級 保険限度額 労働能力喪失率
欠損障害 両手の手指の全部を失ったもの 3級5号 2219万円 100%
手の5の手指又は母指を含み4の手指を失ったもの 6級8号 1296万円 67%
手の母指を含み3の手指又は母指以外の4の手指を失ったもの 7級6号 1051万円 56%
手の母指を含み2の手指又は母指以外の3の手指を失ったもの 8級3号 819万円 45%
手の母指又は母指以外の2の手指を失ったもの 9級12号 616万円 35%
手の示指、中指又は環指を失ったもの 11級8号 331万円 20%
手の小指を失ったもの 12級9号 224万円 14%
手の母指の指骨の一部を失ったもの 13級7号 139万円 9%
手の母指以外の手指の指骨の一部を失ったもの 14級6号 75万円 5%
機能障害 両手の手指の全部の用を廃したもの 4級6号 1889万円 92%
手の5の手指又は母指を含み4の手指の用を廃したもの 7級7号 1051万円 56%
手の母指を含み3の手指又は母指以外の4の手指の用を廃したもの 8級4号 819万円 45%
手の母指を含み2の手指又は母指以外の3の手指の用を廃したもの 9級13号 616万円 35%
手の母指又は母指以外の2の手指の用を廃したもの 10級7号 461万円 27%
手の示指、中指又は環指の用を廃したもの 12級10号 224万円 14%
手の小指の用を廃したもの 13級6号 139万円 9%
手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの 14級7号 75万円 5%

上記障害等級表の用語について解説しておきます。

欠損障害について

(1)「手指を失ったもの」

まず、手の指は、いわゆる親指から順番に、「母指・示指・中指・環指・小指」といいます。

また、手指の骨は、末端から順に末節骨、中節骨、基節骨といいます(母指については、末節骨と基節骨のみです。)。

これを前提に、「手指を失ったもの」とは、

・母指
 指節間関節以上を失ったもの(末節骨と基節骨の間の関節より先を喪失)

・その他の指
 近位指節間関節以上を失ったもの(中指骨と基節骨の間の関節より先を喪失)

(2)「指骨の一部を失ったもの」

指骨の一部を失っている(遊離骨折の状態を含む)ことが、X線、CT、MRI画像により確認できるもの

(3)特殊な例

示指の中節骨と末節骨には受傷せず、中手骨と基節骨の一部を欠損した事案で、残った中手骨と基節骨を接合した結果、約5センチメートルの短縮を生じ、中手指節関節を失った場合。

この場合は、示指を失ったものとして扱うものとされています。

機能障害

(1)「手指の用を廃したもの」

手指の末節骨の半分以上を失い、又は手指節関節若しくは近位指節間関節(母指の場合は指節間関節)に著しい運動障害を残すもの。

具体的には、

・手指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの
・中手指節関節又は近位指節関節(母指にあっては指節間関節)の可動域が健側(健全な指)の可動域角度の1/2以下に制限されるもの
・母指については、橈骨外転又は掌側外転のいずれかが、健全な方の母指の1/2以下に制限されているもの
・手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚が完全に脱失したもの
(医学的に当該部位を支配する感覚神経が断裂しうると判断される外傷を負った事実を確認するとともに、筋電計を用いた感覚神経伝導速度検査(SNAP)が検出されないことを確認できることが必要です。)

の各場合がこれに該当します。

(2)「遠位指節間関節を屈伸することができないもの」

・遠位指節間関節が強直したもの(強直とは、全く動かないことをいいます)
・屈伸筋の損傷等原因が明らかなもので、自動で屈伸ができないか又はこれに近い状態にあるもの

その他

・骨折部にキュンチャー(骨髄内釘)や金属釘を用いたために機能障害が生じている場合には、当該キュンチャー等の除去をしてから等級の認定がされます。キュンチャー等が原因となっていない場合には、創面が治癒したところで等級の認定がされます。
・ギプスによって患部を固定していたために関節に機能障害が残るような廃用性の機能障害については、将来における障害の程度の軽減が考慮され等級が認定されます。

交通事故ページへ戻る 交通事故 コラム一覧

この記事の監修

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹
弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長弁護士 長田 弘樹
大阪弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
大阪弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。