神経系統の機能又は精神障害で認定される可能性のある後遺障害等級

神経系統の機能又は精神障害で認定される可能性のある後遺障害等級

神経系統の機能又は精神障害の後遺障害等級と認定基準

交通事故による後遺障害は、自賠法で規定されており、1~14級の140種類の後遺障害が35系列に分類されて規定されています。そして後遺障害等級に応じて労働能力喪失率が導かれ、後遺障害逸失利益が算出されます。

後遺障害を規定する認定基準は、労災保険の障害等級認定基準がそのまま利用されています。

神経系統の機能又は精神の障害については、以下のように、神経系統の機能の障害又は精神の障害並びに局部の神経系統の障害というように分けることができ、特に介護を要するものについて高い等級が定められています。

神経系統の機能又は精神の後遺障害等級と認定基準
障害の程度 等級 労働能力喪失率
要介護 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
(生命維持に必要な身の回り処理の動作について常時介護を要するものが該当)
1級の1 100%
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
(生命維持に必要な身の回り処理の動作について随時介護を要するものが該当)
2級の2 100%
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
(生命維持に必要な身の回り処理の動作は可能であるが、労務に服することができないものが該当)
3級の3 100%
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
(極めて軽易な労務にしか服することができないものが該当)
5級の2 79%
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
(軽易な労務にしか服することができないものが該当)
7級の4 56%
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することのできる労務が相当な程度に制限されるもの
(通常の労務に服することはできるが、就労可能な職種が相当程度に制約されるものが該当)
9級の10 35%
局部の神経系統の後遺障害等級と認定基準
障害の程度 等級 労働能力喪失率
局部に頑固な神経症状を残すもの
(通常の労務に服することはでき、職種制限も認められないが、時には労務に支障が生じる場合があるものが該当)
12級の13 14%
局部に神経症状を残すもの(12級よりも軽度のものが該当) 14級の9 5%

神経系統の機能又は精神障害の後遺障害等級の認定基準は8つの区分に分けられる

神経系統の機能又は精神の後遺障害に関しては、「神経系統の機能又は精神の障害に関する傷害等級認定基準(厚生労働省労働基準局通達(平成15年8月8日基発第808002号))」において、以下の区分に分けて説明がなされています。

8つの区分
1.脳の器質的損傷(高次脳機能障害・脳損傷による身体性機能障害(麻痺))
2.脳の非器質性精神障害(うつ、PTSD等)
3.脊髄の障害
4.末梢神経障害
5.外傷性てんかん
6.頭痛
7.失調、めまい及び平衡機能障害
8.疼痛等感覚障害

脳の器質的損傷(高次脳機能障害・脳損傷による身体性機能障害(麻痺))

脳の器質的損傷は、①高次脳機能障害(器質性精神障害)と②身体性機能障害(神経系統の障害)に区分できます。

高次脳機能障害

高次脳機能障害の後遺障害等級認定については、以下のページををご覧ください。

高次脳機能障害で認定される可能性のある後遺障害等級

身体性機能障害

脳損傷による身体性機能障害について、麻痺の範囲(四肢麻痺、片麻痺、単麻痺)・程度(高度、中等度、軽度)、介護の有無・程度により、後遺障害等級が認定されます。多くの後遺障害と同じなのですが、身体的所見やCT、MRI等によって他覚的に裏付けられることが必要となります。

身体性機能障害に着目した後遺障害等級は以下のようになります。

障害の程度 等級
身体性機能障害のために、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、常に他人の介護を要するもの
・高度の四肢麻痺
・中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要する場合
・高度の片麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要する場合
1級の1
身体性機能障害のために、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、随時介護を要するもの
・高度の片麻痺
・中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要する場合
2級の2
生命の維持に必要な身の回り処理の動作は可能であるが、身体性機能障害のため、労務に服することができないもの
・中等度の四肢麻痺で常時又は随時介護を要しない場合
3級の3
身体性機能障害のため、極めて軽易な労務のほか服することができないもの
・軽度の四肢麻痺
・中等度の片麻痺
・高度の単麻痺
5級の2
身体性機能障害のため、軽易な労務以外には服することができないもの
・軽度の片麻痺
・中等度の単麻痺
7級の4
通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの
・軽度の単麻痺
9級の10
通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、多少の障害を残すもの
・運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残す場合
・運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められる場合
12級の13

麻痺の範囲や程度については、身体的所見及びMRI、CT等によって裏付けることができることを要するとされています。

麻痺の範囲については、以下のようになります。
・四肢麻痺=両側の四肢の麻痺
・片麻痺 =片側上下肢の麻痺
・対麻痺 =両上肢又は両下肢の麻痺
・単麻痺 =上肢又は下肢の一肢のみの麻痺

麻痺の程度については、「高度」「中等度」「軽度」に分類されています。

麻痺が「高度」とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性がほとんど失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作(下肢においては歩行や立位、上肢においては物を持ち上げて移動させること)ができないものをいいます。例えば完全強直又はこれに近い状態にあるものです。

麻痺が「中等度」とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が相当程度失われ、障害のある上肢又は下肢の動作にかなりの制限があるものをいいます。
例えば、障害を残した片方の上肢では仕事に必要な軽量のもの(概ね500g)を持ち上げることができないもの又は障害を残した片方の上肢では文字を書くことができない状態です。

麻痺が「軽度」とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が多少失われており、障害のある上肢又は下肢の基本動作を行う際の巧緻性及び速度が相当程度損なわれているものをいいます。例えば、障害を残した片方の上肢では文字を書くことに困難を伴う状態です。

脳の非器質性精神障害(うつ・PTSD等)

脳の非器質性精神障害(うつ・PTSD等)については、以下のページををご覧ください。

脳の非器質性精神障害(うつ・PTSD等)で認定される可能性のある後遺障害等級

脊髄の障害

脊髄の障害に関する後遺障害等級認定については、以下のページををご覧ください。

脊髄の障害で認定される可能性のある後遺障害等級

末梢神経障害

末梢神経障害に関する後遺障害等級認定については、以下のページををご覧ください。

末梢神経障害で認定される可能性のある後遺障害等級

頭痛

頭痛に関する後遺障害等級認定については、以下のページををご覧ください。

頭痛で認定される可能性のある後遺障害等級

疼痛等感覚障害

疼痛等感覚障害に関する後遺障害等級認定については、以下のページををご覧ください。

疼痛等感覚障害で認定される可能性のある後遺障害等級
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この記事の監修

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹
弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長弁護士 長田 弘樹
大阪弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
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