監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士
頭痛
頭痛による後遺障害等級認定は、それのみを理由とする場合、相当困難と言わざるを得ません。
頭痛は、そもそもその発生のメカニズムが多様です。交通事故との関係では、①頭部に挫傷や創傷がある場合に当該部位から生じる疼痛、②動脈の発作性拡張で生じる血管性頭痛(片頭痛が代表的)、③頚部、頭部の筋から疼痛が発生する筋攣縮性頭痛、④後頚部交感神経の異常により発生する頚性頭痛(バレ・リュー症候群)、⑤上位頚神経の痛みの大後頭神経痛と後頭部から額面や眼にかけての三叉神経痛、の5つの類型が考えられます。
後遺障害等級認定との関係では、頭痛の型にかかわらず、疼痛による労働または日常生活上の支障の程度を疼痛の部位、症状、強度、頻度、持続時間及び日内変動及び疼痛の原因となる他覚的所見により把握し、等級認定を行っていくことになります。他覚的所見の存在と医学的な証明が重視されるのは、むち打ちの場合などと共通です。
等級 | 障害の程度 | 保険限度額 | 労働能力喪失率 |
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9級10号 | 通常の労務に服することはできるが激しい頭痛により、時には労働に従事できなくなる場合があるため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの | 616万円 | 35% |
12級12号 | 通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の強い頭痛がおこるもの | 224万円 | 14% |
14級10号 | 通常の労務に服することはできるが、頭痛が頻回に発現しやすくなったもの | 75万円 | 5% |
交通事故の影響で頭痛が発現する場合、外傷性頚部症候群や頚椎捻挫にともなって訴えられることが多く、これらとともに後遺障害診断書に記載されるのが通常です。
頭痛により後遺障害等級認定を得る場合、「疼痛による労働または日常生活上の支障の程度を疼痛の部位、症状、強度、頻度、持続時間及び日内変動」を立証しなければならないわけですが、これは自分の体のことですから、自分で記録することが大切です。頭痛が、いつ、どの程度、どのような痛みで、どこに発生し、どれくらい続いたかを継続的に、できる限り詳細に記録を残していくことで、頭痛の発生を立証する一助とできるのです。また、併せて服薬の記録も残しておくとよいでしょう。
こうした記録をとることで、診療にあたる医師も診察しやすくなります。
なお、むち打ちとの関係では、低髄液圧症ないし、いわゆる脳脊髄液減少症の症状の一つとして起立性頭痛が挙げられることもあり、専門的な診断が必要な場合もあり得ます。
単なる頭痛だと軽視することなく、きちんと記録を残した上で脳神経外科や脳神経内科を受診するようにしましょう。
まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
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保有資格弁護士(大阪弁護士会所属・登録番号:40084)