交通事故の示談金相場と増額のポイント

交通事故

交通事故の示談金相場と増額のポイント

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹

監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士

交通事故の被害に遭ったとき、多くの方が気になるのが「示談金はいくらもらえるのか」という点でしょう。

しかし、示談金は一律ではなく、負傷の内容、治療期間・治療内容、後遺障害の有無、事故前の収入、過失割合などによって大きく変わります。
また、保険会社から提示される示談金の額が適正とは限りません。

適正額の示談金を受け取るためには、示談金の内訳や相場、増額のポイントを正しく理解しておくことが重要です。

交通事故の示談金とは

交通事故における「示談金」とは、事故によって生じた損害について、加害者側と被害者側が話し合いにより合意した賠償金の総額を指します。

交通事故は法律上「不法行為」に該当し、民法第709条等に基づき、被害者は加害者に対して損害賠償を請求する権利を有します。

この賠償問題について、判決によらず、当事者間の合意で解決する手続を「示談」といい、その示談で合意した賠償金を「示談金」といいます。

示談金と慰謝料の違い

よく混同されがちですが、「示談金」と「慰謝料」は別物です。

示談金は、事故で発生した損害全体に対する賠償金を指します。
一方、慰謝料は、事故による精神的苦痛に対する賠償金のことであり、示談金に含まれる項目の一つに過ぎません。

示談金はいつ支払われる?

通常、治療終了後に損害額が計算され、保険会社から示談案が提示されます。

被害者が示談内容に合意し、示談書や免責証書の取り交わしよって示談成立となり、その後に示談金が支払われます。

示談金には請求期限(時効)がある

示談金(損害賠償請求権)の請求には消滅時効が定められています。消滅時効が完成すると請求できなくなるため注意が必要です。

事故の種類起算日時効
物損事故事故日3年
人身事故(後遺障害なし)事故日5年
人身事故(後遺障害あり)症状固定日5年
死亡事故死亡日5年
加害者不明の事故加害者が判明した時3年または5年

交通事故の示談金に含まれるもの

入通院慰謝料 入院や通院を余儀なくされたことによる精神的苦痛を損害として補償する費目です。入通院期間や実通院の頻度等を考慮の上、算出されます。
後遺障害慰謝料 適切に治療を尽くしたにもかかわらず、症状が残存した場合の精神的苦痛を損害として補償する費目です。
認定された後遺障害等級(1〜14級)に応じて金額が決まります。
死亡慰謝料 被害者が亡くなったことによる精神的苦痛を損害として補償する費目です。
治療関係費 診察料、手術費、投薬代、入院費などの実費を損害として補償する費目です。
後遺障害逸失利益 後遺障害のために労働能力が低下し、事故が無ければ将来被害者が得たであろう経済的利益相当額を損害として扱う費目です。
死亡逸失利益 事故によって死亡した被害者が生存していれば得られた収入ないしは経済的利益相当額を損害として補償する費目です。
休業損害 事故による傷害の治癒あるいは症状固定までに発生する就労不能ないしは通常の就労ができないことにより生じる収入減少相当額を損害として補償する費目です。
その他 壊れた車の修理費、評価損(事故当時の車両価格と修理後の車両価格との差額)、代車費用、レッカー費用、装具・器具の購入費なども、事故に起因して発生した損害である限り、補償の対象となります。

交通事故の示談金の相場

状況別の示談金相場
状況示談金相場
死傷者のいない物損事故数万~30万円程度
他覚所見のないむちうちなど、軽症の人身事故数十万~100万円程度
完治する人身事故数十万~200万円程度
後遺障害が残る人身事故数百万~数千万円程度
死亡事故数千万~1億円程度

入通院慰謝料

入通院慰謝料は、入通院期間、通院頻度、実通院日数等を考慮の上で算定されます。
ただ、通院態様が同じであっても、算定基準次第で、示談金額について倍近い差が生じることもあります。

以下では、実通院日数が10日の場合を仮定して、通院期間ごとの入通院慰謝料の額について、最低限の補償である自賠責基準と、弁護士か交渉する際に用いられる弁護士基準(裁判基準)を対比します。

【通院のみ、実通院日数10日の相場】
通院期間自賠責基準弁護士基準
1ヶ月8万6000円軽傷19万円/重傷28万円
2ヶ月17万2000円軽傷36万円/重傷52万円
3ヶ月25万8000円軽傷53万円/重傷73万円
4ヶ月34万4000円軽傷67万円/重傷90万円
5ヶ月43万円軽傷79万円/重傷105万円
6ヶ月51万6000円軽傷89万円/重傷116万円

軽い接触事故だった場合の示談金相場は?

軽い接触事故でも、事故によるけがが認められれば示談金は発生します。
たとえば、追突によるむちうちで数ヶ月通院したケースでは、治療費や通院交通費に加え、入通院慰謝料が認められます。

他方、車にほぼ傷がない、受診が遅い、通院頻度が不自然に低いといった事情があると、事故とけがとの因果関係や慰謝料額が争われやすくなります。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、自賠責保険会社から後遺障害等級の認定を受けることで請求可能となります。

【介護を要する後遺障害の場合】
後遺障害等級自賠責基準弁護士基準
1級1650万円(1600万円)2800万円
2級1203万円(1163万円)2370万円
【介護を要さない後遺障害の場合】
後遺障害等級自賠責基準弁護士基準
1級1150万円(1100万円)2800万円
2級998万円(958万円)2370万円
3級861万円(829万円)1990万円
4級737万円(712万円)1670万円
5級618万円(599万円)1400万円
6級512万円(498万円)1180万円
7級419万円(409万円)1000万円
8級331万円(324万円)830万円
9級249万円(245万円)690万円
10級190万円(187万円)550万円
11級136万円(135万円)420万円
12級94万円(93万円)290万円
13級57万円180万円
14級32万円110万円

死亡慰謝料

死亡慰謝料は、被害者の家庭内での役割や、遺族の数によって変動します。

【自賠責基準】
自賠責基準では、被害者本人の慰謝料(400万円)に、遺族の人数に応じた金額等が加算されます。

請求権者1人550万円
請求権者2人650万円
請求権者3人以上750万円
被扶養者がいる場合上記にさらに200万円を加算

【弁護士基準】
弁護士基準では、被害者の属性(一家の支柱かどうか等)によって基準額が設定されています。

一家の支柱2800万円
母親、配偶者2500万円
その他2000万~2500万円

積極損害

積極損害とは、事故がなければ発生しなかった現実の支出を指します。
代表例は、治療費、通院交通費、入院雑費、付添看護費、診断書料、装具費、車両修理費、代車費用、レッカー代、葬儀費などです。

請求にあたっては、こういった支出に関する客観的資料が必要となるため、請求に先立ち、これらの領収書等の支払明細を漏れなくお手元に保管しておかれることが肝要です。

消極損害

消極損害とは、事故がなければ得られたはずの将来の経済的利益相当額かかる損害を指します。

代表例は、傷害や入通院のために就労不能に陥った、あるいは就労が制限されたことに起因する減収(休業損害)や、後遺障害・死亡に起因する将来分の減収(逸失利益)です。

休業損害

休業損害とは、事故による傷害や入通院のために就労不能に陥った、あるいは就労が制限されたことに起因する減収額をいいます。

給与所得者だけでなく、事業所得者や家事従事者も請求可能です。また、未成年者のアルバイトについても、事故による減収がある限り、同様に請求可能です。

休業損害について詳しく見る

逸失利益

逸失利益とは、事故に起因する後遺障害の残存や死亡結果が生じなければ、被害者が将来得られたはずの収入をいいます。

後遺障害逸失利益は、基礎収入、労働能力喪失率、喪失期間、ライプニッツ係数などを用いて算定されます。

死亡逸失利益は、被害者の基礎収入から被害者本人の生活費として一定割合を控除し、これに就労可能年数に応じたライプニッツ係数を乗じることで算定されます。

逸失利益について詳しく見る

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

交通事故被害者専門ダイヤル

0120-688-043

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付
交通事故の経験豊富な弁護士にお任せください

交通事故の示談金シミュレーションツール

ご自身のケースでどのくらいの示談金がもらえるのか、大まかな目安を知りたい方には、オンラインで利用できる以下の計算ツールが便利です。

以下のシミュレーションツールでは、通院期間や年収、後遺障害等級を入力するだけで、弁護士基準に近い損害賠償額を素早く算出できます。

損害賠償計算ツール

(※実際の事案では過失割合や個別の事情により変動するため、正確な金額は弁護士にご相談ください)

交通事故の示談金を増額させる4つのポイント

完治または症状固定まで治療を受け続ける

自己判断で治療を早く打ち切ってしまうと、治療費や入通院慰謝料が低くなり、後遺障害申請にも不利になることが少なくありません。

したがって、医師の指示に従い、治癒もしくは症状固定まで定期的な通院を継続することが、適正な示談金を算定することに繋がります。

適切な後遺障害等級を認定してもらう

後遺障害慰謝料や逸失利益は、後遺障害等級認定の有無・内容で大きく変わります。

たとえば14級と12級では、慰謝料だけでも大きな差が生じます。
それにもかかわらず、症状を裏付ける画像所見、診断書、通院経過、可動域測定などの資料が不十分だと、本来より低い後遺障害等級等級や非該当との判断を受けることに繋がります。

そのため、主治医への症状の説明や申請資料を不足なく収集することが重要です。

弁護士基準で請求する

保険会社が提示する示談金案は、あくまでその会社の内部基準(いわゆる保険会社基準)に従って算定された金額であり、弁護士基準に従って算定する金額よりも低くなるように設定されています。

そのため、弁護士が介入することによって、裁判を見越した基準(弁護士基準)での示談金の算定・交渉が可能となり、これによって適切な金額の示談金を受け取りやすくなります。

適切な過失割合で交渉する

過失割合とは、事故の責任原因が双方にどの程度あるかという比率です。

こちら側に過失が1割認められるだけでも、受け取ることができる示談金は10%減額(過失相殺)されるとともに、相手側の損害の1割をこちら側で負担しなければならなくなるため、過失割合について争いになることは少なくありません。

そして、保険会社から提示される過失割合は、必ずしも事故の実態を正確に反映しているとは限りません。事故の実態に即した過失割合で合意するためには、ドライブレコーダーの映像や実況見分調書を精査のうえ、保険会社と交渉していくことが必要です。

弁護士介入の結果、示談金が増額した事例

後遺障害等級が認定されていたにもかかわらず、保険会社からは「有利な提示である」として500万円程度の賠償額しか提示されていなかった事案において、当事務所の弁護士が介入し、交渉を重ねた結果、最終的に1200万円での示談が成立した事例がございます。

示談金を適切な額で受け取るためにも、示談交渉は弁護士にお任せください

示談金は、多様な損害費目の積み重ねによって算出されます。

そのため、入通院の期間や頻度、後遺障害等級認定の有無、休業損害の立証、逸失利益の計算方法、そして過失割合といった数多くの論点のうち、たった一つの要素が変わるだけでも、最終的な受取総額は大きく変動します。

しかも、一度示談が成立してしまうと、原則としてやり直しは不可能です。適正な額を受け取るためには、適切な証拠収集、弁護士基準を踏まえての交渉が必要不可欠です。

少しでも示談金額の適否にご不安がございましたら、お早めに弁護士へ相談されることをおすすめいたします。

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹
監修:弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長
保有資格弁護士(大阪弁護士会所属・登録番号:40084)
大阪弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。