物損事故とは | 物損で請求できる損害賠償

交通事故

物損事故とは | 物損で請求できる損害賠償

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹

監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士

被害者が物損事故に遭った場合、損害賠償請求できる範囲や、対応の仕方、物損事故の事故処理の流れ、人身事故への切り替え方法等、注意するポイントが多数あります。下記では、これらに事項について説明していきます。

物損事故とは

交通事故は人身事故と物損事故に分類されます。物損事故とは、被害者は怪我をしていないが、被害者の物に損傷が生じた事故をいいます。物損事故では、実況見分調書は作成されませんし、慰謝料の請求も困難とされており、人身事故と異なる点があります。

物損事故で請求できる損害賠償

修理費

事故に遭った場合、被害者の車は損傷します。この車を修理に出した場合、修理費用の相当額を加害者に請求できます。修理費用額をどのように証明するかですが、見積書や請求書を提示するのが通常です。

格落ち損(評価損)

評価損は、修理してもなお機能に欠陥を生じ、あるいは事故歴により商品価値の下落が見込まれる場合、その価値の減少分の損害ことをいいます。格落ち損ともいいます。初度登録からの経過期間、走行距離、車種(高級車種かどうか)、損傷や修理の内容等に応じて、評価損の有無程度は判断されます。

代車料

事故車両の修理・買替期間中に、代車を利用した場合にその費用を請求することができます。相当な修理・買替期間につき、代車費用が認められます。具体的には、修理期間が1~2週間、買替期間が2~4週間程度とされています。事情によっては延長が認められます。代車の車種については、事故に遭った車と同程度であることが原則ですが、事情によっては高級車の使用料が認められることもあります。

買替差額

事故車両が修理不能か、修理費が車両時価額に買替諸費用の合計を上回る場合は、買替差額の請求ができます。買替差額とは、事故時の事故車両の時価相当額から、事故車両を売却した代金を差し引いて算出します。 なお、時価をどのように認定するかについては、「オートガイド自動車価格月報」(いわゆるレッドブック)等が参考資料とされています。

登録手続関係費

上記のように被害者が車両を買い替えた場合にかかる手続費用の請求も認められています。 具体的な手続費用としては、移転登録費用・車庫証明費用・廃車費用といった法定費用、自動車取得税、廃車時の解体処分やリサイクルに関する費用、手続代行費用等が挙げられます。

休車損害

営業車両が損傷し、修理・買替のために使用できなかった場合、営業を継続していれば得られたであろう利益を休車損害として請求することができます。もっとも、代車使用料が認められる場合には、代車を使用して営業ができるため、休車損害は認められません。

その他

  • ・車両保管料
  • ・レッカー代
  • ・廃車料

物損の場合は慰謝料が請求できない?

物損事故では慰謝料の請求は認められないのが原則です。人身事故と異なり、物の損傷が生じても、一般的には精神的苦痛が生じるとは考えられていないことがその理由です。しかし、精神への影響の程度等によっては例外的に慰謝料が認められることもあります。

例外的に物損でも慰謝料が認められる場合

例外としては、被害者のペットに対する損害が挙げられます。ペットを家族として扱っている方が多い現状から、裁判所にとってもペットが損傷した場合に被害者の精神的苦痛を理解し易いといえます。そのため、ペットへの損傷があれば、例外的に慰謝料が認められる可能性があります。

名古屋高等裁判所平成20年9月30日判決では、被告車両に追突されたことによって原告の飼い犬が骨折を伴う後肢麻痺の傷害を負ったことについて、慰謝料として20万円の支払いが認められました。「ペットが家族の一員のような存在になる」「このことは広く世間に知られている」ことを重視して、飼い主には精神的損害があると判断されました。

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物損事故の事故処理の流れ

交通事故に遭ったら、警察へ通報しなければなりません。人身事故でなくても報告義務があるため、注意が必要です。
警察が到着するまでの間、加害者の氏名、電話番号、住所、保険会社の有無を確認しておきましょう。また、車両やナンバープレートの写真も撮影しておきましょう。示談交渉するためには加害者を特定して連絡をとれる状態にしておく必要があるからです。

少しでも人的損害があった場合は物損事故ではなく人身事故に切り替える

交通事故の加害者から物損事故にしてほしいとの申し出を受けることがあります。しかし、加害者には物損事故にするメリットがあるのに対して、被害者にはデメリットしかありません。そのため、容易に応じてはなりません。

人身事故を物損事故にしておくリスク

物損事故扱いにすることの加害者のメリットとしては、免許の点数が減点されずに行政処分を受けることがないことや、刑事罰を受けることがないこと、また被害者の物の損害についてのみ民事上の責任を負うということが挙げられます。

これに対して、被害者のデメリットとしては、交通事故の直後には自覚症状がなかったが、日数が経過してから症状が現れた場合に保険会社に治療費の支払い等を拒否されるおそれがあることや、実況見分調書が作成されずに事故態様の立証が困難になること、賠償の範囲が物損に限定されてしまい賠償額が低額になること等が挙げられます。

物損事故から人身事故に切り替える方法

人身事故への切り替え方法としては、まず、交通事故後に病院に行き、医師に診断書を作成してもらいます。その際、怪我と交通事故との因果関係が疑われることを防ぐため、怪我と交通事故との因果関係についての内容を含めて記載してもらうようにしましょう。

次に、人身事故への切り替えの手続のために、上記診断書と、事故の車両本体(持参不能な場合には、ナンバープレートを撮影した写真)、車検証、運転免許証、印鑑を警察署に持参して、切り替えの申請をして下さい。

物損事故の弁護士依頼は損?費用倒れにならないケースとは

物損事故では、弁護士に依頼すると費用倒れとなる可能性があります。これは物損事故では損害額が少額であることが多いためです。

過失割合が少ない

もっとも、過失割合について争いがあり、弁護士に依頼することで大幅に過失割合を変更することができれば、弁護士に依頼しない場合よりも高額の利益を取得でき、費用倒れにならない可能性があります。

評価損が認められた

評価損の判断方法については、様々な見解があり、実務においても判断基準が定まっていません。そのため、損害として認められにくい傾向にあります。このような性質の評価損について、被害者が保険会社と直接交渉しても損害として認められない又は低額でしか認めてもらえない可能性があります。そのため、評価損が問題となる場合には、専門的知識を有する弁護士に依頼したほうがいいこともあります。

物損でも場合によっては弁護士の介入がプラスになることがあります。まずはご相談ください

上記の通り、物損事故では弁護士に依頼すると費用倒れとなる可能性があります。 しかし、評価損が争われたり、過失割合が争われたりする場合には、弁護士に相談した方が結果的に高額の利益を獲得できる可能性があります。物損であっても示談交渉等でお悩みの方はぜひご相談下さい。

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹
監修:弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長
保有資格弁護士(大阪弁護士会所属・登録番号:40084)
大阪弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。