監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士
交通事故の過失割合は,実務上,争点化しやすい重要な問題です。事故状況自体に争いがあるケース,事故状況に争いはないものの具体的な過失割合に争いがあるケースなど,様々な事案が存在します。
今回は,交通事故の過失割合について,どのように判断されるのか,どのように交渉を進めていったらよいのかなどについて説明していきたいと思います。
目次
交通事故で過失割合に納得いかない!修正できる?
交通事故で過失割合に争いが生じる場合としては,①信号の色や一時停止の有無など事故状況自体に争いがあるケース,②事故状況自体に争いはないものの,具体的な過失割合に争いがあるケースなどにわけられます。
具体的な事案ごとの判断とはなりますが,①②のいずれのケースであっても,弁護士が交渉することで過失割合の修正ができることがあります。
納得いかない過失割合を修正してもらう方法
自分で示談交渉する
ご自身で示談交渉される場合,過失割合が妥当でないと考える根拠を整理した上で,具体的に希望する過失割合を示して交渉すべきです。可能であれば,客観的な根拠があったほうがより望ましいと思います。
ただし,弁護士による示談交渉ではないため,相手方もしくは相手方保険会社が過失割合の修正に応じてくれない場合も多いと思われます。
弁護士に依頼する
前述のとおり,過失割合に争いが生じる場合としては,①信号の色や一時停止の有無など事故状況自体に争いがあるケース,②事故状況自体に争いはないものの,具体的な過失割合に争いがあるケースなどがあります。
弁護士が示談交渉する場合,まず,①について争いが生じるケースでは,当方の主張する事故状況を裏付ける客観的資料(実況見分調書等の刑事記録・物件事故報告書・ドライブレコーダーの映像など)を収集した上で,当該客観的資料に基づき事故状況の分析を行い,当該分析結果に基づき主張を行うことが多いものと思われます。
また,②について争いが生じるケースでは,実務上よく使用される過失割合をまとめた書籍による基本的過失割合をベースとしつつ,過去の裁判例などを精査し,当方に有利な事情による修正を求めていくことが多いものと思われます。
まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
過失割合で相手がゴネる…ゴネ得させないための方法は?
過失割合では合理的な理由なく相手がゴネることがあります。
たとえば,基本的な過失割合は「相手方9:当方1」であるにもかかわらず,相手が保険を使いたくないなどの不合理な理由で「相手方7:当方3」といった主張をしてくることがあります。
このようなゴネ得を許さないためには,客観的資料によって相手方の主張を排斥することが極めて重要です。実況見分調書などの刑事記録やドライブレコーダーの映像などの客観的資料をできる限り収集した上で,適切な反論を行うことが必要となります。
これらの客観的資料が存在しない場合,いわば水掛け論のような形となり,当方の主張が認められなくなる可能性があることに注意が必要です。
交通事故の過失割合の修正を弁護士に依頼するメリット
交通事故の過失割合を修正するためには,刑事記録が極めて重要です。
実況見分調書等の刑事記録は,基本的には弁護士会を通じた「弁護士会照会」によってのみ入手可能となりますので,弁護士に依頼する大きなメリットがあるといえます。警察の刑事記録は,事故状況を客観的に記録した重要な資料ですので,当該刑事記録に基づき,合理的な主張を行うことで過失割合の修正をできることがあります。
また,刑事記録や事故現場の状況から双方の速度や信号の色を推測したり,過去の類似裁判例を精査し当方に有利な主張を行うこともあります。
よくある質問
もらい事故なのになぜ過失がつくのか納得できません。過失0にできませんか?
「私に過失があるのが納得いかない」「もらい事故ではないか」というご相談は多いです。
ただ,自動車同士の事故の場合,過失が100:0となるケースは,基本的には追突事故や相手方の赤信号無視などの場合に限られ,それ以外の場合ですと過失が100:0となるケースは多くありません。
過失を100:0にできるかは客観的資料をみてからの判断となりますが,仮に過失を0にできないとしても,有利に修正できる可能性がありますので,ご不満がある場合には,まず弁護士にご相談されるとよいでしょう。
まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
交通事故の過失割合に納得できない場合は弁護士にお任せください
交通事故事案において,過失割合に争いが生じることは非常に多いです。損害賠償額は過失割合に応じて算定されることとなるため,過失割合を1割でも修正できれば,受け取ることのできる損害賠償額は大きく増加します。
これまで説明してきたとおり,交通事故の過失割合を修正するためには,客観的資料の収集や,過去の裁判例や事故状況に照らした専門的な判断・主張が必要となります。過失割合に納得がいかない,修正したいという方は,少しでも早く弁護士に相談されることをおすすめします。
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保有資格弁護士(大阪弁護士会所属・登録番号:40084)