交通事故の過失割合について

交通事故

交通事故の過失割合について

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹

監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士

交通事故の「過失割合」について

たくさんの事例の積み重ねの結果、どちらがどれくらいの割合で過失を認めるかを現在実務上では定型化しております。

たとえば、自動車と歩行者で、信号の色で基本的な過失割合を決めています。

また、夜間で見通しが悪い・酔っぱらった等でふらふら歩いている・商店街等人通りの多い道などの場合、修正する要素を定型化しています。

過失割合は誰が決める?

過失割合は、当該事故状況と過去の裁判例等を照らし合わせながら決められることになります。裁判になった場合、事故直後に作成された実況見分調書や防犯カメラの映像、目撃者の証言等を証拠として、できる限り有利な過失割合になるよう主張することとなります。

過失相殺とは?

交通事故のような不法行為のため損害が発生したとき、被害者にも損害を発生させるような落ち度があったといえる場合、これを考慮して損害賠償額を定めることを過失相殺と言います。

民法第722条2項において「被害者に過失があった時に、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」と規定されていることからわかるとおり、過失相殺は、被害者から加害者に対する損害賠償の金額を算定する際に考慮されます。なお、基本的には、費目ごとに過失相殺を行った金額を足していくのではなく、被害者の治療費を含めた総損害額を算定してから過失相殺を行います。

たとえば、被害者側の過失が3割あるケースですと、治療費が毎回7割しか支払われないということではなく、治療費を全額保険会社から賠償してもらう代わりに、最終的に損害額として決定した金額に0.7を掛けてから、既払いの治療費を差し引くということになりますので、保険会社が治療費を負担した分だけ被害者が最終的に手元に受け取る保険金の金額が少なくなるということです。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

交通事故被害者専門ダイヤル

0120-979-039

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付
交通事故の経験豊富な弁護士にお任せください

四輪車同士の事故のケース別過失割合

青信号対赤信号で出会い頭に衝突した場合

・基本的な考え方
青信号に従って自動車で走行していたところ、交差点で赤信号無視の自動車が飛び出してきて衝突したような場合。
赤信号無視は交通事故を引き起こす可能性の高い極めて危険な行為であり、基本的には、赤信号を無視した自動車側が100%の責任を負うことになります。

・過失割合が変更される場合
もっとも、赤信号無視で交差点内に進入してきた自動車があったとしてもこれを事前に察知し、容易に回避することができた場合には、青信号側にも一定の過失が認められる可能性があります。青信号側の運転者が携帯電話の画面を注視していたとか、酒気帯び・酒酔い運転であったとかいう事情が加われば、その過失は当然ながらさらに大きく評価され得ます。

赤信号車同士で衝突した場合

・基本的な考え方
交差点内で衝突した両車が共に赤信号無視であった場合。
赤信号車同士が事故を起こした場合には、両車ともに赤信号違反の重大な過失があり、一般的に、両車の行為の危険性の点に差はないと考えられているため、基本の過失相殺率は双方共に50パーセントです。

・過失割合が変更される場合
もっとも、交差点内に進入した他方の車両を事前に察知し、容易に回避することができた場合には、発見することができた側に過失割合が修正される可能性があります。また、他の交差点内の事故と同様にはなりますが、運転者が携帯電話の画面を注視していたとか、酒気帯び・酒酔い運転であったとかいう事情等があれば、双方の過失割合に変動をもたらします。

高速道路の合流地点において衝突した場合

・基本的な考え方
高速道路においては、合流車は本線車の進行を妨害してはならないものとされていますので、基本的な過失割合としては合流車の過失が70%程度と評価されます。
しかし、合流車が本線車道に接続する加速車線を走行している場合、本線車は、今後合流車が本線に進入してくることを当然予測すべきであり、減速等の衝突回避措置をとることが可能です。また、合流車も本線車の速度を見て進路変更を行いますから、過失相殺率には本線車の速度等によっても大きな前後があります。

・過失割合が変更される場合 合流車に、本線車との車間距離が短いにもかかわらず進路変更を行ったというような軽度の落ち度があることは、基本過失割合(合流車:本線車=7:3)の中に含めて評価されています。
しかし、合流車について、車間距離の短さがあまりにも著しく本線に進路変更をすれば本線車と衝突することが一見して明らかであるのに進路を変更した等の不適切な合流方法が認められる場合や、酒酔い運転、脇見運転がある場合には、合流車に著しい過失・重過失があるとされ、合流車の過失割合を10~20%程度上方修正します。
また、本線車の方も、合流車の手前で急加速をした場合や、時速20km以上の速度違反がある場合等には、合流車に進路変更をする時機を見誤らせますので、事故を起因するといえます。したがって、この場合、本線車の方の過失割合を10~20%上方修正します。

道路外から右折して道路に進入してきた車両と衝突した場合

・基本的な考え方
道路から道路外に出たり、道路外から道路に進入したりする車両を、道路外出入車(以下、「路外車」といいます。)といいます。道路外のコンビニや駐車場への出入りをする場合を想定していただければいいと思います。
本項では、道路外から右折して道路に進入しようとする路外車が、道路を走行してきた直進車と接触した場合を想定しています。
路外車は、道路への進入の際、合図を出し、徐行運転を行うと考えられますので、直進車が前方を注視していれば路外車の存在は通常認識可能ですから、車両接触の場合直進車にも軽度の前方注視義務違反があると考えられます。一方、路外車の道路への進入は、基本的に交通の流れに逆らう操作として規制されています。
そのため、基本となる過失割合は直進車:路外車=20:80とされます。

・過失割合が変更される場合 もっとも、路外車が右折を完了した後に左方直進車と接触した場合は、路外車と直進車の車間距離によっては直進車による追突と評価されます。どちらであるのかは具体的事情によりますが、中間値を取って解決される例もあります。
また、どちらの車両にも、過労等の事情で正常な運転ができない状態で運転していた場合、酒酔い運転の場合等は、過失割合が増加する方向に評価されます。
その他、直進車がゼブラゾーンを進行していた場合には直進車の過失が20%程度加算修正される等、路外車と直進車の接触事故は個別的な事情による要素が多いケースです。

単車と四輪車の事故のケース別過失割合

追越禁止場所で単車が四輪車を追い越した際に衝突した場合

・基本的な考え方
ここで「追い越す」とは、単に前方の四輪車に追いついて四輪車の側方を直進するだけでなく、さらに四輪車の前方に単車が進路を変更する場合をいいます。
この「追い越す」という行為は、単車が四輪車の直線進路上に進入するため、四輪車が必ずしも減速・ハンドル操作等によって単車を回避できるとは限らない以上、事故を招く危険の高い行為ですから、単車の過失割合は80%と評価されるのが基本です。

・過失割合が変更される場合
もっとも、四輪車について、単車の存在と事故に至る具体的な危険が認識でき、かつ対向車等との関係で回避措置が取れたのにもかかわらず適切な措置を取ることを怠った場合や、単車の追越中に四輪車が加速して単車の進路変更を妨害した場合には、四輪車の過失割合が増加する(単車の過失割合は減少する)方向に評価されます。
また、単車の側も、過労等の事情で正常な運転ができない状態で運転していた場合、酒酔い運転の場合や危険な体勢で運転していた場合などは、単車の過失割合が増加する(四輪車の過失割合は減少する)方向に評価されます。

過失割合に納得できない場合は弁護士にご相談下さい

過失割合は交渉により変動する余地がありますので、相手方から想定外のことを言われる等ありましたら、早めに弁護士にご相談ください。

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹
監修:弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長
保有資格弁護士(大阪弁護士会所属・登録番号:40084)
大阪弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。