交通事故の過失相殺とは|計算方法や計算例など

交通事故

交通事故の過失相殺とは|計算方法や計算例など

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹

監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士

交通事故事案においては、多くの場合、事故当事者双方の過失割合が問題となります。
そこで本稿では、過失相殺・過失割合の定義、過失割合の決め方、過失相殺の計算方法・流れ等について、以下、解説いたします。

過失相殺とは

過失相殺とは、交通事故の発生・損害の拡大について、被害者側にも「過失(不注意)」があった場合に、損害の公平な分担の観点から、被害者側の過失の割合(過失割合)相当分を、被害者側に生じた損害額より差し引く制度をいいます。

なお、過失とは、「損害の発生が予見可能であって、それを回避すべき行為義務があったにもかかわらず、それを怠ったこと」というところ、被害者に損賠の発生が予見できない場合や、結果回避が期待できない場合には、被害者に過失がないものと判断されます。

過失割合とは

過失割合とは、交通事故の発生・損害の拡大に対する各当事者側の過失(不注意)の割合について、数字で表したものです。
被害者側の過失割合が大きいほど加害者に請求しうる金額は減少するため、適切な過失割合を基に、過失相殺することが肝要です。

過失割合は誰が決める?

過失割合は、下記のような流れで交通事故の当事者またはその代理人間で話し合い(示談交渉)、合意によって決めることがほとんどです。

  1. ①当該事故態様に関する事故当事者双方の認識のすり合わせを行う
  2. ②当該事故態様と近しい裁判例を参考にしつつ、当該事故の個別事情を考慮し、当該裁判例を修正すべきか否か・修正すべき程度について協議する
  3. ③合意可能な過失割合を定める

当事者またはその代理人間での話し合いで合意できず、裁判に至った場合には、裁判所が過去の裁判例を参考に、過失割合を認定します。

過失相殺の計算方法・流れ

過失相殺の計算方法・流れは、おおよそ、以下のとおりです。

  1. 1 事故当事者の過失割合を決定する
  2. 2 被害者に生じた損害額から、被害者側の過失割合相当分を差し引く(過失相殺)
  3. 3 加害者に生じた損害額から、加害者側の過失割合相当分を差し引く(過失相殺)
  4. 4 上記2から上記3を差し引いて算出する

労災や健康保険を使った場合

被害者側に過失がある場合、労災保険や健康保険を利用すると、被害者が加害者から受け取ることができる賠償金額に影響する可能性があります。
まず、労災保険を使った場合、療養給付は、基本的に治療費からのみ損益相殺され、休業給付および障害給付は、休業損害および逸失利益からのみ損益相殺されるところ(この考え方は、「費目間拘束」と呼ばれています。)、労災保険を使わない場合に比べて、受取可能額が大きくなる余地があります。

次に、健康保険を使った場合、療養給付を過失相殺前に損害額から控除できる点や、医療点数単価が自由診療の場合に比べて一般的に小さくすることができる点で、健康保険を使わない場合に比べて、受取可能額が大きくなる余地があります。  

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

交通事故被害者専門ダイヤル

0120-979-039

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付
交通事故の経験豊富な弁護士にお任せください

過失相殺の計算例

過失割合7対3のケース

過失割合が「7(加害者):3(被害者)」、加害者の損害額100万円、被害者の損害額300万円のケースにおいて、被害者が加害者から受け取ることができる賠償金額の計算は、以下のとおりです。

まず、被害者が加害者に請求可能な金額を、損害額300万円から過失割合の3割相当分を差し引いて算出します。
300万円×(100%-30%)=210万円

次に、加害者が被害者に請求可能な金額を、損害額100万円から過失割合の7割相当分を差し引いて算出します。
100万円×(100%-70%)=30万円

最後に、被害者が加害者から受け取ることができる賠償金額を、上記金額を差し引いて算出します。
210万円-30万円=180万円

以上より、被害者が加害者から受け取ることができる賠償金額は、180万円となります。

過失割合7対3、加害者が高級車の場合

過失割合が「7(加害者):3(被害者)」、加害者の損害額300万円、被害者の損害額500万円のケースにおいて、被害者が加害者から受け取ることができる賠償金額の計算は、以下のとおりです。

まず、被害者が加害者に請求可能な金額を、損害額300万円から過失割合の3割相当分を差し引いて算出します。
300万円×(100%-30%)=210万円>

次に、加害者が被害者に請求可能な金額を、損害額100万円から過失割合の7割相当分を差し引いて算出します。
500万円×(100%-70%)=150万円

最後に、被害者が加害者から受け取ることができる賠償金額を、上記金額を差し引いて算出します。
210万円-150万円=60万円

以上より、被害者が加害者から受け取ることができる賠償金額は、60万円となります。

被害者の過失割合を修正した解決事例

弊所の弁護士が被害者の方の代理人として示談交渉し、過失割合を修正した解決事例について、以下、ご紹介いたします。

当該事例は、相手方から提示された「85(加害者):5(ご依頼者様)」から「95:5」へ、ご依頼者様に10%分、有利に修正できた事例です。
当該事例では、丁字路(以下、「本件交差点」といいます。)を南東から北西に向けて直進していたご依頼者様車両(原動機付自転車)と、本件交差点を北西から南東に向けて直進し、本件交差点において、右折進行した加害者車両(普通乗用自動車)とが衝突した事故の過失割合が問題となりました。

そして、本件事故の基本過失割合は、相手方からの提示どおり「85:5」でした。

しかし、本件事故のその刑事記録には、加害者車両が、交差点の少なくとも7.8メートル以上手前の段階で「右折を開始」しており、本件交差点の手前の段階では、既に対向車線に完全にはみ出した逆走状態となっていた旨が記載されていました。
そこで、かかる記載に着目した弊所担当弁護士は、当該刑事記録上の記載を引用しながら、加害者には道路交通法34条2項違反(いわゆる「早回り右折」もしくは「著しい過失」)が認められる旨を指摘して、基本過失割合の修正について交渉しました。

そして、かかる交渉が奏功した結果、上記のとおり、ご依頼者様の有利に過失割合が修正されました。

過失相殺の不明点は弁護士にご相談ください

上記のとおり、過失割合の大きさや労災保険・健康保険の利用の判断は、被害者が加害者から受け取ることができる賠償金額に大きく影響します。

しかし、これらの判断には、交通事故事案に関する専門的知識・経験を要するため、被害者の方が自ら対応される場合には、大きな負担となってしまうことが容易に想像されるところ、交通事故事案に精通した弁護士へご相談されることをお勧めいたします。

この点、弊所には、交通事故事案に関する知識・経験が豊かな弁護士が多数在籍しております。
過失相殺、過失割合についてのご不安・お悩み等は、ぜひ、弊所弁護士までご相談ください。

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹
監修:弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長
保有資格弁護士(大阪弁護士会所属・登録番号:40084)
大阪弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。