監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士
交通事故に遭ってしまった場合には、保険会社や加害者から交通事故の被害について賠償金を支払ってもらう必要があります。
保険会社や加害者に賠償金を支払ってもらうための交渉は自らしてもよいのか、弁護士に相談や依頼をした方がよいのか悩まれる方が多いと思われます。
結論から申し上げると、交通事故に遭われた場合、できる限り早期に弁護士に相談・依頼することが望ましいといえます。
今回はなぜ交通事故に遭われた場合に早期に弁護士に相談・依頼するべきなのか、弁護士に相談・依頼するメリットとデメリットを踏まえてご説明したいと思います。
目次
交通事故で弁護士に相談・依頼するメリットとは?
交通事故で弁護士に相談・依頼するメリットとしては、①慰謝料が増額する可能性が高くなること、②後遺障害等級認定に関するサポートを受けられること、③適切な通院頻度や治療に関する助言を受けられること、④正しい過失割合を主張できること、⑤保険会社や加害者の対応を全て弁護士に任せられることが挙げられます。
以下では、これらのメリットについて詳細にご説明します。
慰謝料が増額する可能性が高くなる
交通事故の慰謝料の基準は、自賠責基準、任意保険基準、裁判基準の3つがあります。
自賠責基準は交通事故の損害賠償責任の最低限を補填するもの、任意保険基準は任意保険会社が自社で定めた支払基準、裁判基準は裁判所が認定する適正な賠償額を定めた基準です。
任意保険会社は、被害者に弁護士が入っていない場合には任意保険基準による慰謝料を提示しますが、残念ながら裁判基準より低額となっています。
しかし、弁護士に依頼した場合には、弁護士は適正な賠償基準である裁判基準に基づいた支払いを保険会社に求めますし、保険会社も裁判基準を前提とした提示を行うようになります。
したがって、弁護士が依頼を受けた場合には、保険会社の支払基準を裁判基準にすることにより慰謝料が増額する可能性が高くなります。
後遺障害等級認定をサポートしてもらえる
交通事故によって後遺障害が残ってしまった場合にはその賠償金を請求することになりますが、そのためには後遺障害等級認定を受ける必要があります。
この後遺障害等級認定は、医師の後遺障害診断書などの資料に基づいて認定機関が独自の基準で審査しますが、必ずしも医師の診断と同様の後遺障害が認定されるわけではありません。
中には後遺障害診断書の記載が不適切であったため後遺障害等級認定がなされない例も多数存在します。
また、思うような後遺障害等級認定を受けられなかった場合には異議申立てをすることになりますが、なぜ当初の判断が不合理なのかを説得的に伝えることや、新たな資料の提出が必要となります。
弁護士が相談・依頼を受けた場合には、後遺障害等級認定のポイントを踏まえた上で、後述のような通院治療に関するアドバイス、後遺障害診断書の内容の確認や異議申立てなど症状に応じた適切な後遺障害等級認定を受けられるようサポートします。
適切な通院頻度・治療のアドバイスを受けられる
交通事故の怪我を完治させるには適切な治療を受けることが大切です。
適切な治療を、適切な通院頻度で受けていない場合には、今後の治療の必要性がないとして保険会社から治療費の支払いを打ち切られてしまうこともあります。
また、適切な治療を受けていない場合には、症状が残っているにもかかわらず後遺障害等級認定を受けられないこともあります。
弁護士に相談・依頼した場合には、保険会社の対応や後遺障害等級認定を見据えた適切な通院頻度・治療のアドバイスを受けることができ、それによって安心して治療に専念することができます。
さらに適切な通院頻度・治療を受けることにより後遺障害等級認定でも有利に考慮される状況を作ることができます。
正しい過失割合を主張できる
交通事故において、被害者側にも交通事故を引き起こす要因となった過失があった場合には、その過失に応じて賠償額の減額がなされます。
保険会社は示談交渉において被害者側にも過失があったとして、被害者に不利な考慮をした過失割合に基づいて賠償金の減額を主張してくることがあります。
しかし、交通事故実務に関する知識を持っていなければ保険会社の主張する過失割合が実際に正しいのか、またどのように正しい過失割合を主張すれば良いのか判断するのは困難です。
弁護士に相談・依頼した場合には、法律の専門家として保険会社との交渉で適切な過失割合による賠償を求めることにより、被害に遭われた方が適正な賠償金を受け取れることができます。
保険会社や加害者への対応を全て任せられる
交通事故の被害者となってしまった場合は、損害状況や治療経過などの報告、交通事故の損害賠償に関する交渉などで保険会社や加害者と頻繁なやり取りが求められます。
これらの対応は、交通事故に遭われた被害者にとっては多くの時間を奪われる上、慣れない手続きや交渉を求められることによって心身に大きな負担がかかります。
被害に遭われた方にとって最も重要なのは、治療に専念することによって怪我を完治させ、これまでどおりの日常に戻ることです。
弁護士に依頼した場合には、弁護士に保険会社や加害者への対応を全て任せて自身は治療に専念することができます。
弁護士に相談・依頼することでデメリットはある?
弁護士に相談・依頼することのデメリットとしては、相談料や弁護士費用がかかってしまうことです。
弁護士費用は多くの場合、着手金と成功報酬の2つに分かれています。
着手金は、弁護士が仕事を開始する際にいただくお金です。これに対して、成功報酬は依頼いただいた目的を達成できた際にいただくお金です。
特に着手金は保険会社から賠償金を受け取る前にかかってしまう費用であるため、弁護士への依頼は被害者の方にとって経済的な負担となってしまうことがあります。
また、軽微な交通事故の場合には、弁護士に依頼することによって増額できる賠償金よりも、弁護士費用の方が高額となってしまうという「費用倒れ」のケースもございます。
費用の不安を解消する「弁護士費用特約」とは?
もっとも、自身の加入する自動車保険などに「弁護士費用特約」が付いている場合には、弁護士費用を保険から支払うことができます。
弁護士費用特約とは、保険に加入している被害者が加害者などから賠償金を受け取るため弁護士に依頼した際に生じた弁護士費用について、保険金を受け取れることを内容とする特約です。
もちろん保険金として受け取れる限度額はありますが、限度額内であれば実質負担なしで弁護士に依頼できます。
また、自動車保険に弁護士費用特約が付いていない場合でも、個人賠償責任保険、火災保険、家族加入の保険などに交通事故で利用できる弁護士費用特約が付いていることもあります。
したがって、弁護士費用特約を使うことができるか、弁護士費用を弁護士費用特約の保険金で賄えないか一度弁護士に相談してみましょう。
交通事故で特に弁護士に依頼した方が良いケースとは?
交通事故によって被害者に生じる被害には、「物」に対する被害である物的損害と「人」に対する被害である人身損害の2つがあります。
物的損害のみが生じている場合であって損害額も少額であり、弁護士費用特約が使えず「費用倒れ」になるケースは弁護士に依頼しなくともよいケースといます。
これに対して、身体や生命が害されたなどの人身損害が生じているような場合には、特に弁護士に依頼した方が良いケースといえます。
なぜなら、①裁判基準により大きく増額できる可能性があること、②後遺障害等級認定のサポートを受けられること、③通院・治療に関するアドバイスを受けられること、④不相当な過失相殺による賠償金の減額を防げること、⑤治療に専念できることといった先ほど紹介した弁護士に依頼するメリットを最大限享受することができるためです。
弁護士費用特約がない場合であっても、弁護士費用以上の増額やメリットを享受することができるケースが多いため一度弁護士に相談してみましょう。
弁護士に相談・依頼するベストタイミングはいつ?
交通事故の被害に遭った場合、事故直後から弁護士にはいつでも相談・依頼をすることができます。
もっとも、弁護士に相談・依頼するタイミングによって享受できる利益の程度は大きく異なるため、そのタイミングが大切となります。
なるべく早い段階で相談・依頼した方がメリットは多い!
弁護士に相談・依頼するメリットは、①賠償額増額につながる助言や主張をしてもらえるという経済面のメリット、②専門家である弁護士のサポートがあることによる安心感といった心理面のメリット、③保険会社との対応や交渉を任せることができる手続面のメリットが挙げられます。
これらは交通事故直後から弁護士に依頼することによって得られるメリットですので、可能な限り早い段階で弁護士に相談・依頼した方がメリットは多いといえます。
弁護士への相談・依頼が手遅れになってしまうケースも
一方、弁護士に相談・依頼するのが遅くなってしまった場合、弁護士が入ってもできることが少ないこともあります。
例えば、弁護士の助言なく不適切な頻度や方法で治療を受けてしまったために保険会社から治療費の支払いを受けられず、後遺障害等級も認定されずに後遺障害の賠償金も受け取れなかった場合です。
このような場合には、既に下されてしまった治療の必要性なしという保険会社の判断を覆すことは困難となりますし、後遺障害等級認定の基礎となった事実も変えられないため当初から弁護士に依頼していた場合と比べてどうしても後遺障害等級が認定されにくくなってしまいます。
交通事故に強い弁護士を選ぶためのポイント
交通事故は弁護士が取り扱う業務分野の中でも特殊な分野であり、交通事故の知識経験が必要となる専門性が高い分野です。
したがって、交通事故に関して弁護士に依頼する場合には、「交通事故に強い弁護士」を選ぶことが大切です。
交通事故の実績が豊富な事務所の弁護士を選ぶ
「交通事故に強い弁護士」を選ぶにあたっては、弁護士個人や弁護士事務所全体の交通事故案件の解決実績が参考となります。
交通事故案件の解決実績が豊富な事務所では、弁護士個人に交通事故の知識、経験やノウハウがあることに加え、他の所属弁護士が取り扱ってきた交通事故に関する知識、経験やノウハウも事務所全体に蓄積・共有されています。
したがって、交通事故の実績が豊富な事務所に所属する事務所の弁護士は多くの知識、経験、ノウハウを持った「交通事故に強い弁護士」であることが多いといえるでしょう。
無料相談を利用して弁護士を選ぶ
「交通事故に強い弁護士」を選ぶにあたっては、無料相談を利用して実際に弁護士と話してみることも有効な手段です。
「交通事故に強い弁護士」は交通事故に関する知識、経験、ノウハウに基づいて相談の段階から解決までの見通しを立てているため、実際に相談で見通しを聞いてみるとよいでしょう。
また、弁護士に依頼する際には、なによりご自身が依頼する弁護士を信頼できると感じるかが重要です。
弁護士法人ALGが解決へ導いた事例のご紹介
ここで、弁護士法人ALG大阪法律事務所が賠償額の増額に成功した交通事故事例を2つ紹介します。
弁護士が交渉を行った結果、賠償額が約250万円増額した事例
本事故は、ご依頼者様の車両が直進中している際に、相手方車両が左側の脇道から飛び出しためご依頼者様の車両の側面に衝突した交通事故です。
ご依頼者様はこの事故によって14級9号の後遺障害等級が認定されましたが、弁護士が交渉する前に保険会社が提示した賠償額はご依頼者様の受けた被害を考慮すると低額に過ぎると言わざるを得ませんでした。
そこで、弁護士法人ALGの弁護士がご依頼を受けたところ、相手方保険会社との交渉の末に約250万円の賠償金の増額に成功しました。
弁護士の介入で後遺障害等級が認定され、賠償金を1000万円以上獲得した事例
本事故は、ご依頼者様が青信号の横断歩道を横断している際に右折する相手方自動車に衝突された交通事故です。
ご依頼者様はこの交通事故によって数か所を骨折した上骨折した箇所に痛みが残ってしまい、これによって歩行や立ち座りの動作を行うことが困難になっていました。
そこで、弁護士法人ALGの弁護士がご依頼を受けたところ、後遺障害等級認定においては後遺障害等級12級13号の獲得に成功し、賠償金として1000万円以上の支払いを受けることができました。
まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
よくある相談内容
弁護士に相談・依頼すれば過失割合を10対0にできますか?
過失割合は具体的な事故態様によって決まるものであるため、弁護士に相談・依頼したからといって過失割合を10対0にできるわけではありません。
しかし、弁護士に相談・依頼いただいた場合には、被害者の方に過失があるとされる事案であっても、こちらに有利な事実が見落とされていないか事故態様を精査した上で、できる限り過失相殺によって減額されないよう主張や交渉をします。
交通事故による怪我が軽傷の場合でも、弁護士に相談した方が良いですか?
たとえ交通事故直後の怪我が軽傷であったとしても、後から痛みが出てくることもあれば、痛みなどの症状が残り続けてしまうこともあります
そして、弁護士への相談や依頼が遅くなってしまった場合には、後遺障害が認定されなくなるなど取り返しのつかない事態となってしまうこともあります。
このような事態を避けるべく、たとえ交通事故による怪我が軽傷の場合であっても、まずは弁護士に相談することが望ましいでしょう。
交通事故を弁護士に依頼した場合、解決までの日数はどれぐらいかかりますか?
交通事故を弁護士に依頼した場合に解決までに要する日数は個々の交通事故によって異なります。
人身損害がある場合には、怪我の治療終了や、後遺障害等級認定がなされて初めて損害を確定することができ、その後ようやく具体的に交渉を進めることとなります。
後遺障害が残らなかった場合には事故から半年程度で解決することもありますが、後遺障害が残った場合には解決までに1年程度かかることもあります。
交通事故の被害に遭ってお困りなら、ぜひ弁護士への相談・依頼をご検討ください。
交通事故の被害に遭った場合には、たとえ軽傷であってもできる限り早い段階で弁護士に相談・依頼することが重要となります。
弁護士法人ALGには数多くの交通事故案件の増額を成功させてきた実績があり、交通事故に強い弁護士が多数在籍しています。交通事故の被害に遭われた方が被害から回復し、日常を取り戻せるよう尽力いたします。
交通事故の被害に遭ってお困りでしたら、我々にご相談、ご依頼ください。
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保有資格弁護士(大阪弁護士会所属・登録番号:40084)