監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士
交通事故に遭われた際、弁護士に依頼すると、保険会社との交渉の負担がなくなる、慰謝料の増額が見込めるなど、多くのメリットがあります。
しかし、ケースによっては、弁護士費用が得られた損害賠償金額を上回り、費用倒れとなってしまう可能性もあります。
この記事では、交通事故で弁護士に依頼した際の費用倒れの原因や、注意すべきケース、費用倒れを回避するための方法などについて、解説いたします。
交通事故で弁護士に依頼すると費用倒れになりやすい5つのケース
①物損事故
交通事故で受けた損害が「物損」のみの場合、弁護士に依頼しても賠償額はわずかであり、費用倒れになるおそれがあります。
「物損」とは、物に生じた損害のことをいい、車の損傷や、積載物・携行品の破損などを指します。物損事故では、人損事故と異なり、基本的に慰謝料が認められないうえ、損害賠償額についても修理費や車の時価額など客観的な基準で判断されます。
そのため、人損と比較しても、弁護士が介入しても大幅な増額に繋がりにくい傾向にあります。
②加害者が任意保険に未加入
加害者が任意保険に入っていない場合、加害者の資力によっては賠償金を回収することができず、費用倒れになる可能性があります。
対人・対物賠償保険・共済の加入率は9割弱であり、任意無保険の車も稀ではありません。
任意保険に未加入である場合は、自賠責保険に請求をかけることになりますが、その支払いは自賠責の基準によることになります。また、傷害は120万円、後遺障害は75万円ないし4000万円、死亡は3000万円と支払金額の上限もあります。
任意保険に未加入の加害者は資力が乏しいことも多いため、弁護士が関与しても回収額はあまり増えない場合があります。費用倒れのリスクを避けるため、被害者側の人身傷害保険、無保険車傷害保険等の適用がないかを確認することも重要です。
③怪我が軽傷
怪我が軽傷な案件では、慰謝料の増額幅が限られてくるため、弁護士が介入しても大きな増額が見込めない可能性がございます。
たとえば、比較的軽微とされる「むちうち」(頚椎捻挫など)で1ヶ月通院し、実通院日数が15日の場合の慰謝料相場は、自賠責保険や任意保険の基準で約13万円、弁護士基準で約19万円です。
この例では、弁護士が介入しても増額は最大で約6万円程度しかできません。
弁護士費用によってはこの増額分を上回るため、費用倒れになるリスクがあります。
④被害者の過失割合が大きい
被害者の過失割合が大きいと、加害者から回収できる賠償金が少なくなり、費用倒れになるおそれがあります。
過失割合とは、発生した事故の責任が、被害者と加害者にどの程度あるかを示すものです。
具体例をあげますと、過失割合が「加害者:被害者=6:4」の事故で、保険会社の提示額が100万円であったとします。
弁護士が介入し交渉した結果、120万円に増額できた場合、損害賠償金額は20万円増えているものの、被害者の過失分の40%が差し引かれるため、実際の増額は12万円にとどまってしまいます。
このように、被害者の過失割合が大きい場合、実際の増額幅に比べて、被害者の手元に十分な利益が残らない可能性がございます。
⑤事故の証拠不足
証拠が不足している場合、増額の客観的な根拠が不十分であるとして、賠償額を増やすことが難しくなり、結果として費用倒れとなる可能性があります。
たとえば、過失割合について争いがある場合、事故状況を裏付ける資料が不足していると、結果として自身に不利な過失割合を認定され、賠償額の増額が見込めない可能性があります。
また、通院記録や診断書が不十分な場合は、治療費の賠償や、後遺障害等級の認定に影響する可能性もあるため、注意が必要です。
他には、休業損害の算定において、事故による休業の必要性や、事故前の収入額を裏付ける資料が不足している場合には、休業損害が認められない場合もございます。
早めに弁護士に相談し、適切に証拠集めをしておくことが重要です。
交通事故で弁護士に依頼して費用倒れになる理由
交通事故の弁護士費用の内訳
交通事故で弁護士に依頼する際、発生する費用は、一般的に以下のとおりです。
- 法律相談料:依頼前に、弁護士に相談する際の費用。一般的に30分に5000円程度が相場です。
- 着手金:弁護士に正式に依頼するときに支払う費用。
- 成功報酬:示談や裁判で、賠償金を受け取ったときに支払う費用。固定報酬の場合もありますが、「獲得した金額の●%」と定められることが多いです。
- 日当:弁護士が裁判に出頭する際や、現地調査を行う際に発生する費用。
- 実費:郵送費、交通費、コピー代など、必要な経費。
まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
費用倒れになる賠償金額の目安
具体的に、弁護士に依頼した場合に費用倒れとなる金額の目安を見てみましょう。
契約内容によって異なる部分もあるものの、たとえば以下のようになります。
| ケース | 着手金(税込) | 成功報酬(税込) | 費用倒れになる経済的利益 |
|---|---|---|---|
| ケース1 | 0円 | 経済的利益の11%+22万円 | 約25万円以下 |
| ケース2 | 0円 | 経済的利益の11%+19.8万円 | 約22万円以下 |
| ケース3 | 11万円 | 経済的利益の22% | 約14万円以下 |
ケース1、2のように、着手金が無料であっても、成功報酬の計算方法によっては費用倒れになってしまうこともございます。
また、成功報酬のうち、固定金額部分が高い場合も、費用倒れになりやすい傾向があるといえます。
弁護士費用の総額と、得られる賠償額の見込みについて十分に説明を受け、料金体系を理解したうえで依頼することが重要です。
交通事故での費用倒れを避ける4つの方法
①弁護士費用特約を利用する
費用倒れを防ぐ方法として代表的なものは、弁護士費用特約の利用です。
この特約を利用すれば、弁護士費用の多くが保険会社の負担となります。
着手金・成功報酬・実費を含め、上限300万円まで保険会社が負担するため、費用倒れの心配はほぼなく、安心して弁護士に依頼することができます。
加入している保険会社の保険証書を確認するか、保険会社に問い合わせることで、弁護士費用特約を付けているかどうかがわかります。
思いがけない保険に、弁護士費用特約がオプションで付いていることもあるので、契約している保険はすべて確認することをおすすめいたします。
②事前に弁護士に見積もりを出してもらう
弁護士に依頼する前に、相談の場などで、支払わなければならない弁護士費用と、受け取れる見込みのある賠償額について、見積りを確認しておくことも大切です。
弁護士に依頼した場合、どのぐらいの金額が手元に残るのか、事前に把握しておきましょう。
特に費用倒れのリスクがある事故案件については、事前に弁護士に相談をし、不安な点を解消してから依頼されることをおすすめします。
③完全成功報酬型の弁護士に依頼する
「完全成功報酬型」とは、成果が上がった場合にのみ報酬が発生し、着手金や固定費などの費用が発生しない料金体系のことです。
着手金などの初期費用がかからないため、費用倒れになるリスクを抑えることができます。
しかし、「完全成功報酬型」であっても、法律事務所によって定められている計算方法が異なるため、予想以上に費用がかかる場合もございます。
事前に計算方法を確認し、可能であれば見積もりをとっておきましょう。
④司法書士・行政書士に依頼する
費用を抑えたい場合は、弁護士よりも比較的報酬が低額な傾向にある、司法書士や行政書士に依頼する方法も考えられます。
しかし、司法書士・行政書士に委任できる内容には限りがあるため、依頼できる内容かどうかは事前に確認しておくことが必要です。
たとえば、認定司法書士であれば、簡易裁判所における140万円以下の民事事件について、相談や交渉等の代理を行うことができます。行政書士については、官公庁に提出する書類作成を業としていますので、損害賠償の交渉自体は行うことができません。
これらを踏まえた上で、依頼したい内容に適しているかを確認する必要があります。
交通事故の弁護士費用は相手に請求できる?
基本的には、弁護士に依頼するかどうかは個人の自由であるため、交渉の段階では、弁護士費用を相手に請求することはできません。
一方、裁判となると、事故と相当な因果関係のある損害とみなされ、弁護士費用の一部を請求することが可能です。
一般的には、裁判所が認容した賠償額全体の1割程度が、損害として認容されます。
具体的なイメージとしては、賠償額が300万円と認められた場合は、弁護士費用30万円分が損害と認められることが一般的です。
弁護士法人ALGの無料相談では費用倒れの可能性を確認できる
弁護士法人ALGでは、基本的に相談料や着手金は無料であり、成功報酬が後払いの料金体系となっております(なお、後遺障害の認定、異議申立、第三者機関や訴訟等に移行した場合には、別途着手金や諸経費をお支払いいただく必要がございます。)
そのため、費用倒れのリスクを抑えながらご依頼いただけるのが特徴です。
無料相談では、かかる弁護士費用と得られる賠償金の見込みをお伝えしますので、最終的に手元に残るお金をイメージしていただくことが可能です。
また、費用倒れの可能性が高い場合は無理に依頼をすすめることはいたしません。
保険の活用など、より負担を抑えられる方法をご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
交通事故による弁護士費用で費用倒れが心配な方は、まずは無料相談をご活用ください。
交通事故に遭われた際、費用倒れを懸念して、弁護士へ依頼するかどうか悩む方は多くいらっしゃるのではないかと思われます。
これまでご説明したとおり、まずは無料相談をご活用いただき、かかる費用と得られる賠償金の見込みを明らかにし、費用倒れのリスクの程度をご確認いただくことをおすすめいたします。
その際には、費用倒れのリスクのみならず、解決までの見通しもご説明することも可能です。
相手保険会社との示談交渉や、後遺障害等級認定の申請はとくに専門性の高い分野であり、弁護士に依頼されることで、より大きな賠償額を得られる可能性が高まります。
弁護士法人ALGでは、交通事故の豊富な実績を活かし、ご依頼者が適正な結果を得られるよう、サポートに尽力させていただきます。

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保有資格弁護士(大阪弁護士会所属・登録番号:40084)
