離婚調停が不成立になった場合の対応

離婚問題

離婚調停が不成立になった場合の対応

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹

監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士

離婚調停が不成立になる時とは?

調停手続は、あくまで当事者間の話し合いにより紛争の解決を目指す手続きとなりますので、当事者が合意に至らない場合は、不成立となります。調停手続の終了事由としては、不成立、取下げ、手続自体の当然終了が挙げられます。

調停委員によって不成立と判断される

離婚調停においては、離婚意思や、離婚に付随する諸条件について調停手続が進行します。
どの点で対立が生じるのかは事案によって様々であり、一方は離婚を求めているが、他方は離婚を望んでいないケースでは離婚意思自体に対立が生じていますし、双方ともに離婚自体には合意しているものの、親権や養育費、面会交流、財産分与、慰謝料等を巡って対立しているというケースもあります。
調停の成立の見込みがないとはいえない場合は、調停手続は続行されますが、意見の隔たりが大きく双方が譲歩をしない場合は、調停不成立として調停手続が終了することになります。
1回目の調停期日でも、離婚意思が全くないなどの理由で調停成立の見込みがない場合は、調停不成立とされることもあります。

離婚調停を途中で取り下げる

離婚調停の申立人は、調停が終了するまではいつでも調停を取り下げることができます(家事事件手続法273条1項)。調停期日外で取り下げる場合は、書面による必要がありますが、調停期日において取り下げる場合は、口頭で取り下げることも可能です(家事事件手続法273条2項、民事訴訟法261条3項)。

離婚調停を取り下げた場合、離婚訴訟を提起することができるでしょうか。
離婚訴訟を提起するためには、訴訟提起前に調停を申し立てる必要がありますが、(家事事件手続法257条1項)、調停を経ずに離婚訴訟を提起した場合であっても、離婚訴訟提起が不適法となるのではなく、裁判所が職権で調停に付すにとどまります(家事事件手続法257条2項)。

また、調停に付すことが相当ではない場合は、調停に付すことなく離婚訴訟の審理を進めることも認められています(家事事件手続法257条2項但書)。

このことから、離婚調停において十分に話合いがなされた上で、離婚調停が取り下げられ、その後に離婚訴訟が提起された場合は、調停の成立見込みがなく、離婚訴訟の審理が進むことになります。

当然終了

離婚調停の当事者の一方が死亡した場合は、離婚ができなくなりますので、調停は終了となります。

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離婚調停が不成立と判断されるケース

離婚調停は、当事者の意見に相違があり、調停成立の見込みがない場合に不成立とされます。具体的には、下記のような状況では調停不成立とされることがあります。

離婚調停を相手が欠席

相手方が離婚自体に応じるつもりがなく、調停を欠席する場合があります。初回期日を相手方が連絡なく欠席した場合は、2回目の期日を設けることもありますが、初回期日が開かれる前に相手方が裁判所に対して調停に応じる意思がない旨の手紙を送付しているようなケースでは、初回期日にて調停不成立とされることもあります。

相手が離婚を拒否

相手方が離婚自体を拒否しているケースでは、それ以外の条件について話し合うこともなく不成立とされることがあります。

調停はあくまで話合いによる解決を目指す手続であるため、相手方に離婚する意思がない場合は離婚調停の成立が見込めないため、不成立となります。

ただ、表面上、相手方が離婚を拒否しているというケースであっても、よくよく相手方の話を聞いていくと、離婚後の生活にかかる金銭面での不安が主な拒否理由であるというケースもあり、そういったケースでは離婚後の生活に関する条件について話し合えば調停成立に至るケースも少なくありません。

調停委員を介して相手方と話し合っている場合は、調停委員に丁寧に相手方が離婚を拒否している理由を聞いていただくことで解決の糸口が見えることもあります。

親権で争っている

子どもがいる夫婦の場合、離婚時には親権者を定める必要があります(民法819条)。

日本の民法では、離婚後の親権者は父母のいずれか一方のみがなるものとされているため、父母双方が子どもに対して愛情を強く有していると、親権を巡って対立が大きくなることがあります。

親権の中身は、財産管理権と身上監護権の二つに大別されるため、どちらかを父が、どちらかを母が持つという形で解決を図ることもありますが、このような解決は例外的です。また、親権を巡る紛争の多くは、身上監護権(子どもの身の回りの世話をする権限)を巡っての紛争であるため、財産管理権と身上監護権の分属では解決ができません。

面会交流を充実させることで、別居親の納得が得られる場合は、面会交流について条件を定めることで解決を図ることが多いですが、それでも解決が難しいケースでは、調停は不成立となります。離婚訴訟の上で判決が出される場合は、裁判官が親権者を定めることになります。

財産分与の対象や額に納得できない

夫婦双方が離婚に同意をしていても、財産分与を巡って対立が大きい場合も調停不成立となる場合があります。
もっとも、財産分与は離婚後においても財産分与調停を申し立てることが可能です。財産分与調停では、調停が不成立となっても裁判官が判断を下す審判手続へと移行しますので、紛争を解決させる見込みが立ちます。
そのため、離婚意思や親権について争いがないのであれば、離婚は成立させた上で、別途財産分与調停を申し立て、解決を図るという方法も考えられます。

離婚調停が不成立と判断された場合のその後

離婚調停が不成立となった後、それでも離婚を望む当事者はどのような手続をとればよいのかをご説明します。

当事者間で再び協議する

離婚調停が不成立となった後でも、当事者間で協議が調えば、協議離婚を行うことも可能です。
離婚調停では、多くの調停で、相手方と顔を合わせずに話し合いが進みますので、疑心暗鬼にかられ、調停が不成立となるケースもあります。そういったケースでは、疑心暗鬼が解消されることで協議離婚に至ることもあります。

再調停はできるのか

離婚調停が不成立となった後でも、再度離婚調停を申し立てることが禁止されているわけではありません。
再度離婚調停を申し立てますと、裁判所によっては調停委員会のメンバーも変わる可能性もありますので、解決に向けたアプローチの仕方にも変化が生じる可能性があります。

審判離婚

審判離婚は、調停が成立しない場合において相当と認められる場合に、裁判所が審判によって離婚を認めるものです。調停期日を重ね、当事者双方が離婚条件全てについて同意しているものの、一方当事者が遠方に住んでいるため、調停期日に裁判所に出廷することができないときなどに利用されることがあります。

離婚裁判

離婚裁判は、人事訴訟法に基づいて提起する訴訟手続であり、離婚を命じる判決を裁判所に求める手続となります。

離婚裁判では、離婚を命じる判決が確定すれば、他方当事者の意思に関わりなく、離婚に至ることになりますので、他方当事者に対する影響力が大きいものとなります。そのため、民法770条1項各号に定める離婚原因が認められなければなりません。

訴訟手続では、和解による解決が試みられることもあります。和解によって離婚に至る場合は、和解した日をもって離婚が成立することになります。

離婚調停不成立にならないためにできることとは?

離婚調停が不成立となると、それでもなお離婚を求めるためには、通常、離婚裁判を行わなければなりません。時間も労力も要することになるため、調停での解決を目指すためには下記の点にご留意いただくことをお勧め致します。

希望の条件に優先順位をつけておく

希望する離婚条件に優先順位をつけておくことで、調停がスムースに進む可能性が高まります。
条件面で悩んだ場合は、その場で結論を出す必要もありませんので、次の期日までの間に検討していただくのも一つです。

感情的にならない

調停では相手方から自分が認識している事実と異なる事実を主張されることや、無茶な要求がなされることもあります。
そのような場合であっても、感情的にならず、自分の主張や条件を整理していくことが調停の成立に向けて手続を前に進めていくことにつながります。

弁護士に頼る

調停手続が話し合いの手続であるといっても、無茶な要求が通るというわけではありません。
法的にどのような請求が可能で、逆に、どのような内容については応じた方がよいのか、法的な見通しをもっておくことで自分自身の優先順位を整理できることも多いと思います。
その意味では、弁護士に依頼の上で調停手続を進めていただくことも、調停での解決に資すると思います。

よくある質問

離婚調停不成立後、別居する際に気を付けることはありますか?

調停不成立後に、別居が開始すると、別居の事実が積み重なることによって「婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号)」の根拠となる場合があります。
また、別居時に従前の監護状況に照らし、子の監護者と評価されない者が子を連れて別居を開始した場合は、子の連れ去りと評価される可能性があります。
別居時に荷物の持ち出しが問題とされるケースもあります。夫婦共有財産や自分のみが使用していた財産を別居と共に持ち出す場合は、違法性がないとされることが多いと思われますが、感情的トラブルに発展する可能性も高いため、本当に持ち出す必要があるのか、検討された方がよいでしょう。別居後に相手方に無断で立ち入って荷物を持ち出すと、住居侵入とされる可能性もあるので注意が必要です。

離婚調停が不成立で終わった場合でも養育費や婚姻費用は受け取ることはできますか?

養育費は離婚後に子どもに対する扶養として受け取るもの、婚姻費用は離婚するまでの間に配偶者分も含めて受け取るものであるため、離婚調停が不成立となった場合、「養育費」は受け取ることができません。「婚姻費用」を任意に支払ってもらえる場合は問題はありませんが、任意に支払ってもらえない場合、離婚調停とは別に、婚姻費用分担請求調停を申し立てておく必要があります。婚姻費用分担請求調停は、調停不成立となった場合であっても、審判により裁判所が定めることになりますので、それにより支払義務者が負担する金額が定まることになります。

調停不成立から裁判を起こすまでに決められた期間はありますか?

期間制限はありません。
調停不成立となった後すぐに離婚訴訟を提起しても構いませんし、調停不成立から一定期間を経て離婚訴訟を提起しても構いません。
もっとも、調停不成立から一定期間を経て離婚訴訟を提起した場合、裁判所が再調停に付す可能性もあります。

離婚調停が不成立になった場合、別の裁判所で再度離婚調停や離婚裁判などを行うことはできますか?

離婚調停については、相手方の住所地を管轄する裁判所で申し立てるのが原則となりますが(家事事件手続法245条1項前段)、相手方と管轄について合意ができる場合は、合意で定めた裁判所で行なうことになります(家事事件手続法245条1項後段)
そのため、再度離婚調停を行う場合に、相手方住所地が前の調停と異なっており、その住所地を管轄する裁判所が前の調停とは異なるときや、相手方と別の裁判所で離婚調停を行うことに合意ができる場合は、前の調停とは異なる裁判所で調停を行うことが可能です。
これに対し、離婚訴訟については、当事者の住所地を管轄する裁判所で提起することが可能ですので(人事訴訟法4条1項)、自分の住所地を管轄する裁判所で提起することが可能です。

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離婚調停の不成立を回避したい場合、経験豊富な弁護士への依頼がお勧めです。

離婚調停については、裁判所への出廷のための労力や時間がかかることや、子どもを巡る紛争のように法律論だけでは解決が困難な内容を含みます。
調停の利点は、当事者の合意によって柔軟な解決を図ることができる点にあります。
しかし、法的に許容し得る条件や、全く受け入れようがない条件など、その判断を行う上では法的知識や経験も不可欠です。
調停によって解決を図りたい場合、離婚調停の経験が豊富な弁護士への依頼がお勧めです。

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹
監修:弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長
保有資格弁護士(大阪弁護士会所属・登録番号:40084)
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