監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士
兄弟姉妹と絶縁していても、法律上は相続人になり得るため、相続手続を勝手に進めると後から無効になったり、やり直しを求められたりするリスクがあります。
相続人の順位・遺産分割のルールを踏まえ、現実的な進め方を整理します。
目次
絶縁した兄弟姉妹との遺産相続はどうなる?
兄弟姉妹と絶縁していても、法律上の相続関係には影響しません。
民法では、被相続人に配偶者・子・直系尊属がいない場合、兄弟姉妹が法定相続人となります(民法889条1項2号)。
感情的に関係が断絶していても、相続人である以上、遺産分割協議への参加や、相続分の取得権は失われません。
絶縁状態であることを理由に、相続から当然に排除されることはない点に注意が必要です。
絶縁した兄弟姉妹がいる場合の遺産相続の進め方
相手の連絡先を知っているケース
連絡先が分かっている場合は、原則として遺産分割協議への参加を求める必要があります。
遺産分割は相続人全員の合意がなければ成立しません(民法907条1項)。
感情的な対立がある場合でも、弁護士を通じて連絡を取ることは可能です。
無視して手続きを進めると、後に無効を主張されるリスクがあるため、適切な方法で通知することが重要です。
相手の連絡先を知らないケース
兄弟姉妹の連絡先が分からない場合でも、相続手続きを先に進めることはできません。
まずは戸籍をたどって相続人を確定し、住所の手掛かりとして戸籍の附票や住民票の除票を取得して所在を調査します。
弁護士に依頼すれば、職務として必要な範囲で戸籍謄本・戸籍の附票・住民票等を職務上請求により取り寄せて調査を進められるため、当事者が自力で集めるより手続が円滑になりやすいです。
相手の生死が7年以上不明のケース
兄弟姉妹の生死が7年以上不明な場合、失踪宣告の申立てを検討できます(民法30条1項)。
家庭裁判所が失踪宣告をすると、その者は法律上「死亡したもの」とみなされます(民法31条)。これにより、当該兄弟姉妹を相続人から除外して相続手続きを進めることが可能になります。
絶縁した兄弟姉妹に相続させたくない場合の対処法
兄弟姉妹に相続させたくない場合、最も有効なのは生前に遺言書を作成することです。
兄弟姉妹には遺留分がないため(民法1042条1項)、遺言で相続分をゼロにすることも可能です。
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絶縁した兄弟姉妹との遺産相続を弁護士に相談するメリット
絶縁した兄弟姉妹との相続では、感情的対立や連絡困難が大きな障害になります。
弁護士に依頼すれば、直接のやり取りを避けつつ、法的に適切な手続きを進めることが可能です。
また、不在者財産管理人の申立てや、遺産分割調停への対応など、専門的な手続きも一括して任せられます。トラブルを最小限に抑えるためにも、早期の相談が有効です。
絶縁した兄弟姉妹との遺産相続についてのQ&A
絶縁した兄弟に遺産相続の連絡をしましたが返事がありません。放っておいて手続きを進めても良いですか?
返事がない場合でも、相続人全員の合意がなければ遺産分割は成立しません。
一部の相続人だけで行った遺産分割は無効となる可能性があります。
一定期間連絡を試みても反応がない場合は、家庭裁判所で遺産分割調停を申し立てるなど、法的手続きを取る必要があります。
遺言書に絶縁した兄弟の名前がありませんでした。連絡せずに相続手続きしても良いですか?
遺言書がある場合でも、その内容によっては兄弟姉妹が相続人となる可能性があります。遺言で全財産の承継先が明確に指定されていない場合、法定相続が適用される部分が生じます。
その場合、兄弟姉妹への連絡や関与は避けられません。
遺言の内容を正確に確認することが重要です。
絶縁状態の兄弟に連絡をせず勝手に遺産分割や相続手続きを行ったらどうなりますか?
相続人の一部を除外して行った遺産分割協議は無効となります。
その結果、すでに名義変更した不動産や預金について、やり直しを求められる可能性があります。
絶縁状態であっても、法的手続きを無視することは大きなリスクを伴います。
兄弟姉妹との遺産相続でトラブルにならないためにも弁護士にご相談ください
兄弟姉妹との相続は、感情的対立が深刻化しやすい傾向があります。特に絶縁状態にある場合、連絡方法や手続きの進め方を誤ると、長期化・紛争化するおそれがあります。
弁護士に相談することで、法的に適切な選択肢を整理し、不要なトラブルを回避できます。
将来の紛争予防の観点からも、相続が発生した段階で専門家の助言を受けることを強くおすすめします。

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保有資格弁護士(大阪弁護士会所属・登録番号:40084)
