相続手続きの一覧と期限について

相続手続きの一覧と期限について

初めて身内の方が亡くなられた場合、ほとんどの方は相続に伴い、どのような手続を取ればよいかわからないかと思います。
そこで、本稿では、そのような方に向けて、相続の際に行わなければならない手続についてお話しさせていただきます。

相続の手続きには期限のあるものが多い

そもそも、相続手続には期限が設けられているものが多くあります。
知らなかったですませられるものではなく、場合によっては相続人の方に不測の損害が生じることにもなりかねません。行わなければならないことをきちんと押さえるようにしましょう。

7日以内に必要な手続き

死亡届の提出
お亡くなりになられた後7日以内にしなければならないこととして死亡届の提出があります。
死亡届は、お亡くなりになられた方の死亡地、本籍地、あるいは届け出をする人の所在地にある市区町村役場に提出する必要があります。
死亡届の提出にあたっては死亡診断書あるいは死体検案書が必要です。葬儀社の方が代わりに提出してくださる例もあるようですので、確認してみることをお勧めいたします。

10日以内に必要な手続き

被相続人の年金受給の停止(厚生年金)
厚生年金受給者の方がお亡くなりになった場合、お亡くなりになってから10日以内に年金受給を停止する手続が必要となります。
仮に手続が遅れてしまい、年金が支払われてしまった場合には返還が必要になりますので、遅れないように手続を行うことが肝要です。

4日以内に必要な手続き

保険証の返還

健康保険証はお亡くなりになられた翌日から使用ができなくなりますが、資格喪失の手続きは行わなければなりません。

お亡くなりになられた方が会社員であった場合などは会社が手続きをしてくれる場合も多いようですが、自営業者等であった場合には喪失届とともに健康保険証を返却する必要があります。必要書類等は自治体によっても異なるようですので、お早めに問い合わせいただくことをお勧めいたします。

被相続人の年金受給の停止(国民年金)

上述の厚生年金同様、国民年金を受け取っておられた方がお亡くなりになった場合にも、年金中停止の手続をとる必要があります。ただ、その期間がお亡くなりになられてから14日以内とされています。
この場合にも手続が遅れ、年金が支払われてしまった場合には返還が必要になりますので、速やかに手続をとることをお勧めいたします。

3ヶ月以内に必要な手続き

相続方法の選択

お亡くなりになられた後、3か月以内の間に、相続方法を決めなければなりません。
具体的には、お亡くなりになられた方の財産・借金などの全てを相続する単純承認、お亡くなりになられた方の財産・借金を全て清算し、プラスの財産の方が多かった場合のみ相続を行う限定承認、すべての財産・借金を放棄する相続放棄の3つの選択肢から選択することとなります。

・単純承認
単純承認は上述のように、お亡くなりになられた方の財産・借金を全て相続するものになります。単純承認を行う場合、何の手続もとる必要はありません。何もすることなく3か月が経過した場合には単純承認と取り扱われます。

・限定承認
限定承認とは、相続人が相続によって得たプラスの財産の範囲内でのみ、借金等のマイナスの遺産の責任を負うというものです。簡単に言えば、遺産の内容としてプラスの財産の方がマイナスの財産より多ければ、多い分を相続し、マイナスの財産の方が多ければ何も相続しないというものになります。

・相続放棄
相続放棄は上述のように、お亡くなりになられた方の財産・借金を全て放棄する手続になります。お亡くなりになられた方に多くの借金があった場合などはこの手続を執ることとなります。仮に、何もせずに3か月経ってしまった場合、単純承認となり、すべての借金等も負担しなければならなくなりますため、借金が多いと考えられる場合には、速やかに相続放棄の手続を執る必要があります。

相続財産の調査、目録の作成

上記の相続方法を選択するにあたって、また単純承認を選択する場合には他の相続人と遺産分割協議を行うにあたって、お亡くなりになられた方の相続財産については早期に調査し、その目録を作成する必要があります。その際には、現金・預貯金や不動産だけではなく、株式や投資信託などの財産についても調査し、また住宅ローンなどのマイナスの財産についても調査する必要があります。

4ヶ月以内に必要な手続き

準確定申告
お亡くなりになられた方が事業を営んでいる等、確定申告を行うことが必要な方であった場合、ご遺族は準確定申告を行わなければなりません。提出書類等は通常の確定申告とあまり大きくは変わりませんが、通常の確定申告と異なり、お亡くなりになられてから4カ月以内に行わなければならない点に注意が必要です。
また、3月15日までにお亡くなりになり、前年の確定申告が未了だった場合には、前年分の確定申告も行わなければならない点にも注意が必要です。

10ヶ月以内に必要な手続き

相続税の申告及び納税

被相続人がお亡くなりになられてから10カ月以内には相続税の申告及び納税を行わなければなりません。仮に、その時点において相続人間で遺産分割協議が整っていなくても行う必要があります。
また小規模宅地等の特例のように、相続税を減額できる制度として10カ月以内に行わなければならないものもありますので、この手続については必ず期限内に行うようにしましょう。

遺産分割協議書の作成

上で述べました小規模宅地等の特例は、要件を満たす方が相続したときにしか用いることができません。そこで、基本的には相続税の申告前までに遺産分割協議を終えなければなりません。
仮に対象の土地を誰が相続するか定めることができなかった場合には、申告期限後3年以内の分割見込書というものを提出する必要があります。
そのため、相続税で損をしないために、できる限り早く遺産分割の話を進めるとともに、話がまとまらない場合にも備えておくことが必要となります。

1年以内に必要な手続き

遺留分侵害額請求
仮に、遺言などでご自身に全く相続財産を取得しない内容となっていた場合などには遺留分減額請求の手続を執ることを検討しなければなりません。
権利として有していても、ご自身の遺留分が侵害されていることを知ってから1年経過した場合、その権利は消滅することになりますので、お早めにご対応いただく必要があります。

2年以内に必要な手続き

埋葬料・葬祭費の請求
お亡くなりになられた方が、国民健康保険あるいは後期高齢者医療制度に加入していた場合には葬祭費が、健康保険に加入していた場合には埋葬料の支給を申請することができます。
これらの支給の申請はお亡くなりになられてから2年以内に行わなければなりません。
ただし、この支給は、お亡くなりになられたことに対してではなく、葬儀等に対して支払われるものですので、葬儀や埋葬を実際には行っていない場合、支給は認められない点に注意が必要です。

3年以内に必要な手続き

生命保険(死亡保険)の生命保険会社への請求

お亡くなりになられた方を被保険者とする生命保険が存在する場合、保険金の受取手続を行うことが必要となります。
契約していたかどうかわからない場合であっても、お亡くなりになられた方宛ての郵便物や銀行口座からの引き落としの履歴を確認することで発覚する場合があります。
生命保険金は、受取人の方が請求するまで支払われるものでもなく、事項もありますので、忘れないうちに手続を行うことが必要となります。

相続税の軽減措置

相続税の軽減措置である小規模宅地等の特例については、相続税の申告時に申告期限後3年以内の分割見込書を提出していても、相続開始後3年以内に遺産分割協議をまとめた上で更正の請求を行うことが必要となります。
いったん分割見込書を出したとしても、それで全く安心できるというわけではない点に注意が必要です。

5年以内に必要な手続き

相続税の還付請求
相続税を過大に支払っていた場合などには更正の請求という手続を行い、相続税の還付を受けることができます。
しかし、この手続はいつまでもできるわけではありません。相続税の申告期限から5年以内とされていますので、過大に支払っていると気付いた際には速やかに手続を行う必要があります。
土地などの評価において誤りがあった場合には還付を受けることができる金額がかなりの多額になる可能性もあります。気になる方は一度専門家に相談することをお勧めいたします。

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期限のない相続手続き

以下で説明することは、上で説明した各手続と異なり、必ずしも期限があるわけではありません。
ただ、放ったらかしにしておくと、解決が煩雑になることも多いため、上でご説明した手続が一通り落ち着きましたら、あるいはそれと並行して速やかに手続を進めることをお勧めいたします。

法定相続人の確定

お亡くなりになられた方の法定相続人を確定させる必要があります。
例えば知れた子らだけで遺産分割協議を行った後、別に子がいることが発覚して遺産分割協議の内容が無効になってしまうことは現実に生じることがあります。
遺産分割協議を行うにあたっても、まずは戸籍等を収集し、法定相続人を確定させるようにしましょう。

遺言書の有無の確認、検認

また、お亡くなりになられた方が遺言書を残していないかについても確認するようにしましょう。公正証書遺言を残していたのであれば、公証役場で探すことができますし、自筆証書遺言であれば、銀行の貸金庫や法務局(令和2年7月10日から開始した制度になります。)に保管されている可能性があります。

また、自筆証書遺言については一部の例外を除き、家庭裁判所において検認の手続を行う必要があります。
遺言書の存在は遺産分割協議の内容に大きな影響を及ぼすものです。速やかに存否や内容を確認するようにしましょう。

遺産分割協議

相続人を確定し、また遺産の内容もそろいましたら相続人間で遺産分割協議を行う必要があります。
遺産分割協議を放置してしまうと、相続人がお亡くなりになって、孫の代、曾孫の代まで相続問題が解決できない事態が生じかねません。その場合、利害関係人も増えることとなりますので、解決も困難なものとなります。
面倒くさがらず、速やかに話し合いを始めることが円満な相続のためにも肝要といえるでしょう。

預貯金などの解約、名義変更

お亡くなりになられた方の預貯金は、その方の死亡が金融機関に発覚することによって凍結されることになります。この場合、相続人全員で手続を行う場合や、払い戻し制度を用いなければその預貯金を引き出すなどの行為ができなくなります。
そのため、遺産分割協議等が終わりましたら、解約や名義変更等の手続をとるようにしましょう。

(不動産を相続する場合)相続登記

遺産分割協議によって、お亡くなりになられた方が有した不動産(土地、建物)について誰が相続するか決まった場合、その不動産の名義の変更を行う必要があります。
手続をしなくても、所有者がその相続人であることに違いはありませんが、他の相続人に悪用されてしまう可能性なども考えると、遺産分割協議成立後、速やかに手続を行っておくことをお勧めいたします。

(車やバイクを相続する場合)名義変更

遺産分割協議によって、お亡くなりになられた方が有した車やバイクを相続する人が決まった場合、その方が名義変更の手続を行う必要があります。
陸運局において移転登録申請書を提出したり、廃車手続を行ったりする必要があります。なお、原動機付自転車の場合には、扱いが異なりますので、注意が必要です。

相続の手続きは自分でできる?

相続手続は必ず弁護士を就けなければならないわけではなりませんので、当初はご自身で手続を進める方も少なくありません。

しかし、相続手続きは、ほとんどの方にとって経験の乏しいことであり、自分がミスをしていないかなど不安に苛まれながら手続を進めていくことにもなりかねません。また、相続人の調査等のため平日に何度も役所に赴く必要がある等日常生活に与える影響は決して小さいものでは有りません。

そのため、自力でもできるものではあるが、なかなか大変というところが正直なところかと思います。

相続手続きについてわからないことがあったら弁護士にご相談ください

相続手続きは、しなければならないことが多く、また遺産分割協議などは親族間で行うものであり、話し合いのやり方によっては、その後の親族関係にもヒビが入ることになりかねません。
何かわからないことが生じたとき、自分の独断で判断するのではなく、専門家に相談することで、避けられる紛争も数多く存在します。

一般の方にとって弁護士に相談というとなかなか仰々しく感じられてしまうようではありますが、体調を崩した際、早くにお医者さんに診てもらったことによって大事にならなかったという話を聞くように、弁護士に対しても早くに相談をして損をすることはありません。
相続で少しでもお悩みの方においてはお気軽に弁護士に相談することをお勧めいたします。

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この記事の監修

弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹
弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長弁護士 長田 弘樹
大阪弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
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