性格の不一致による離婚について

離婚問題

性格の不一致による離婚について

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹

監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士

配偶者と話が合わない、将来のビジョンが異なるといったことを理由に、離婚したいと考える方はたくさんいらっしゃるでしょう。しかしながら、生まれ育ってきた環境の異なる他人同士が共同生活を送るという婚姻関係において、価値観にずれがあることは当然のことといえます。そのため全ての場合に、一方的に離婚することができるとは限りません。

性格の不一致で離婚することはできるのか

双方が話合いによって個人関係解消の合意の元で離婚するのは自由です。理由は問われません。
しかし、一方が離婚したくないという状況で、性格があわないことを理由に離婚を成立させることは困難です。以下でみていきましょう。

性格の不一致とは

性格の不一致とは、子供の教育方針、金銭感覚の相違といった、共同生活を送るにあたっての価値観が大きく異なることで、婚姻生活の維持・継続が困難であると認められる場合をいいます。
婚姻生活の維持・継続が困難であるか否かは、個別具体的な事情を総合的に考慮し、判断されることになります。

法律が定める離婚原因とは?

民法上、離婚原因は、大きく分けて不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、強度の精神病および婚姻を継続し難い重大な事由とされています。婚姻を継続し難い重大な事由とは、夫婦関係が継続できないような破綻状態にあることをいいます。いわゆる性格の不一致は、夫婦関係の破綻の有無を判断する上での一要素として扱われます。
しかしながら、他人同士が共同生活を送る婚姻生活において、価値観のずれがあることは当然のことであり、単なる性格の不一致で、離婚が認められるわけではありません。

性格の不一致で離婚する場合に必要な要素

すでに述べたように単なる性格の不一致では、双方の合意なしで離婚することは難しいでしょう。離婚をするために婚姻関係の破綻を立証する必要があります。

夫婦関係が破綻した証拠を集める

婚姻関係の破綻の証拠としては、様々な物があります。最も客観的な証拠としては、別居です。別居期間は夫婦共同生活を送っていないので、婚姻関係が破綻していることが明白です。その他には、相手の暴力や暴言などの録音・録画や、相手方の不貞行為の客観的証拠などがあげられます。また、相手方の発言を記録した手書きやスマホ等のメモ、日記なども証拠とすることはできます。同居していても家庭内では事実上別居しているような関係の希薄さを示すことができれば破綻が認定される可能性があります。

長期間の別居

別居が最も明確に証明する証拠となりますが、婚姻関係が継続不可能なほどの破綻となるには、短期間の別居では充分ではありません。また、単身赴任等による別居も破綻を原因とする別居ではないので意味がありません。あくまでも夫婦共同生活を解消するための別居を行い、別居期間も少なくとも3年から5年の期間が生じて初めて婚姻関係の継続が困難であるいう判断に傾きます。

性格の不一致での離婚の進め方

まずは、離婚に向けて夫婦間で話し合いをすることになります。当事者間での協議がまとまらない場合には、離婚調停において裁判機関を利用した話合いを行います。日本では、離婚調停でもまとまらない場合にはじめて、離婚訴訟を提起することが認められており、これを調停前置といいます。離婚訴訟においては、性格の不一致だけを原因とする離婚は認められにくい傾向にあります。

離婚の切り出し方やタイミング

子供が独り立ちしたときや定年退職時など人生の節目で離婚しようと長年我慢される方もいらっしゃいますが、性格の不一致が認められるような場合には、離婚に向けて準備が必要になります。また、性格の不一致だけでは離婚は難しいとはいえ、それが単なる性格の不一致にはとどまらず、モラハラやDVに該当する可能性もあります。婚姻生活における事情は、ご本人様だけでは客観的な判断も難しいため、早めに専門家にご相談されることをお勧めします。

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性格の不一致と離婚後の子供の親権について

性格の不一致を原因とする離婚において、親権に有利不利はありません。親権は子供の福祉の観点から、子供の監護状況等をふまえ判断されることになります。
別居するにあたって子供を連れて行く場合には、子の意思を尊重し、この福祉の観点から慎重に検討することが必要です。嫌がっているお子様を無理矢理連れて行くような行為は避けるべきです。また、主たる監護者でない方が突然子を連れて別居を行うと、違法な連れ去りがなされたと認定される可能性があり、注意が必要です。

性格の不一致での慰謝料請求について

離婚に伴う慰謝料とは、不法行為責任を根拠とするものです。性格の不一致とは、価値観のずれ等が大きいため婚姻生活の維持・継続が困難であるとされることであるため、不法行為を構成するものではありません。そのため、性格の不一致を原因とする離婚の場合は、慰謝料が認められることはあまりありません。離婚の原因が、双方の性格の不一致ではなく、相手方に責任(DVや強いモラハラなど)がある場合には認められる可能性あります。

よくある質問

性格の不一致で離婚しても財産分与を受け取ることは可能ですか?

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して形成した夫婦の共有財産を、離婚に際して2人で分け合うことをいいます。そのため、離婚原因にかかわらず、財産分与を受け取ることは可能です。性格の不一致の場合であっても、婚姻期間中に夫婦で協力して獲得した財産は、財産分与の対象となり通常2分の1で分けます。

離婚裁判で相手が離婚を拒否し続けた場合、離婚は認められないのでしょうか。

性格の不一致のみが離婚原因の場合は、相手方が離婚を拒否し続けた場合には、離婚は認められにくいといえます。一般的に性格の不一致のみで、婚姻生活の維持・継続が困難であると認定されにくい傾向にあるからです。性格の不一致に加え、相手方の暴言・暴力といった事情などがあれば、総合的考慮のうえ離婚が認められる場合もあります。

性格の不一致で離婚した場合のデメリットはありますか?

性格の不一致のみを理由に離婚を求めることは困難であるため、別居期間を相当期間とる必要があるなど、離婚を決断してから実際に認められるまでに時間を要することが想定されます。 また、財産分与は可能ですが、それ以上に慰謝料等を貰える可能性は低くなります。

性格の不一致で離婚したい場合は弁護士にご相談ください

すでに述べてきたように、性格の不一致のみを理由とする離婚は認められにくい傾向にあります。そのため、配偶者との性格の不一致に悩んでおられ、離婚を検討する場合には、事前に十分な準備が必要となってきます。早い段階で専門家に相談し、アドバイスを受けることをおすすめいたします。

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹
監修:弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長
保有資格弁護士(大阪弁護士会所属・登録番号:40084)
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