エンディングノートとは?書くべき内容や作り方について

相続問題

エンディングノートとは?書くべき内容や作り方について

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹

監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士

近時、エンディングノートを作成する人が増えています。
書店などで様々なエンディングノートが売られていますし、全国各地の自治体、法務局、弁護士会、司法書士会などのホームページから、エンディングノートのデータをダウンロードすることができます。

この記事では、エンディングノートに書くべき内容や、エンディングノートの作り方について、詳しく解説していきます。

エンディングノートとは

エンディングノートとは、自分の身に何かあったときに備えて、自分の希望や、家族が様々な判断や手続を進めるために必要な情報を残すためのノートで、「メッセージノート」とも呼ばれます。

エンディングノートを記入することで、自分の人生を振り返る機会や、これからの人生を考えるきっかけにもなります。

エンディングノートと遺言書の違い

エンディングノートと遺言書の大きな違いは、法的効力の有無と形式の有無です。
エンディングノートは、特に決まった様式がなく、自由に作成することができる代わりに、相続人がその記載内容に従う法的義務はありません。

他方で遺言書は、民法上の要件を満たすものであれば、法的効力が生じます。
自分の死後に相続人間で争いが起こることを防止するためには、法的効力のある遺言書を作成しておく方がよいといえます。

エンディングノートに書くべき内容

自分のこと(個人情報)

エンディングノートにはまず、自分の情報(氏名、生年月日、血液型、住所、本籍地、家族構成、家系図、健康保険証番号、運転免許証番号など)を書きましょう。近時は、パソコンなどのパスワードや、SNSのアカウントに関する情報を記載する方もおられます。

個人情報を書いておくことで、誰が作成したノートかがわかるだけでなく、自分の死後に残された家族が行政の手続などをスムーズに進められます。

財産・資産・形見分けについて

自分の相続をスムーズに進めるために、不動産、預貯金、借入金・ローン、有価証券・株式など、所有している財産・資産を表などにまとめておくとよいでしょう。
不動産の情報は、法務局が発行する登記事項証明書(登記簿謄本)や、市区町村から通知される固定資産税の納税通知書で確認できます。

また、自分の死後に誰かに分け与えたいものがある場合も、エンディングノートに書いておくとよいでしょう。

医療・介護・延命治療に関する希望

認知症や病気の末期症状で自己判断ができなくなった場合には、本人に代わって家族が医療・介護・延命治療に関する決断をすることになりますが、これは家族にとって大きな負担となります。

そのため、病名告知の希望の有無や臓器提供の可否、どのような介護スタイルを希望するか、延命治療をしてほしいか否かなどを、エンディングノートに書いておくことが望ましいです。

葬儀・お墓・納骨方法に関する希望

葬儀・お墓・納骨方法に関する希望も書いておくと、残された家族が迷いなく手続を進めることができます。

信仰している宗教、葬儀の規模、葬儀の時に連絡してほしい人、遺影の写真、葬儀社・斎場、納骨方法・場所などについて書いておくとよいでしょう。

保険情報の詳細な記載

保険の情報も詳細に書いておくとよいでしょう。

自分が契約者、被保険者又は保険金受取人となっているそれぞれの保険について、保険会社名、保険契約の種類・内容、契約者名、被保険者名、保険金受取人名などとともに、保険証券の保管場所も書いておきましょう。

ペットについて

一人暮らしでペットを飼っているなら、自分の入院時や死亡後には、誰かにペットを引き取ってもらわなければなりません。

その時のために、エンディングノートには、ペットの情報(名前、年齢、性別、種類、健康状態、かかりつけの病院、好きな食べ物、お気に入りのおもちゃ、加入しているペット保険、狂犬病のワクチン注射などの情報など)を書いておきましょう。

家族や友人へのメッセージ

家族や友人に面と向かって感謝の気持ちを伝えるのは恥ずかしいものですが、自分の死後に家族などが手に取るエンディングノートであれば、素直な気持ちをつづりやすいかもしれません。

お世話になった人へ伝えたい言葉や感謝の気持ちなど、自由にメッセージを書いてみましょう。

エンディングノートの作成方法・書き方のコツ

先程も述べたとおり、エンディングノートには特に決まった様式がなく、自由に作成することができます。

市販のノートやWeb上でダウンロードできるノートは、穴埋め形式になっているものが一般的なので、書きやすいところから書き始めてみましょう。

一度書いた後も定期的に見直して、自分の意思に変化がないか確かめるとよいでしょう。

エンディングノートのメリット

自分の意思を伝えられる

エンディングノートを作っておけば、急病などで意思表示ができなくなった場合でも、医療などに関して、自身の希望をかなえてもらえる可能性が高まります。

一般的なエンディングノートには必要な項目が用意されているので、項目に沿って自分の考えを整理して書き留めることにより、自分の意思を伝えることができます。

家族の事務的負担を軽減する

エンディングノートに自分の財産についてまとめておくことで、自分の死後に家族が財産を調査する負担を軽減することができます。

預貯金については、金融機関名だけでなく、支店名、口座番号、キャッシュカード・通帳の保管場所も含めて書き留めておくとよいでしょう。その他の財産についても、できるだけ詳細に情報を書いておくことで、家族の事務的負担を軽減することができます。 

エンディングノートを作成しない場合の影響

エンディングノート未作成による身内の負担

先ほど述べたことの裏返しになりますが、エンディングノートを作成していないと、身内が財産調査などに時間をとられることになり、事務的・時間的負担がかかります。

また、葬儀・お墓・納骨方法などについても、エンディングノートなどに自分の意思を書き留めていないと、身内が判断に迷うことになり、精神的負担がかかります。

医療や介護に関する本人の意志が不明確になるリスク

医療や介護の方針について、本人が意思表示できなくなった場合には、本人に代わって家族が決断をすることになります。

エンディングノートを作成していないと、医療や介護に関する本人の意志が不明確になり、本人の希望がかなわないかもしれないというリスクがあります。

資産把握の困難さ

エンディングノートを作成していないと、残された家族が資産を把握することが困難になってしまいます。資産状況を家族に伝えておかないと、思わぬ負債が発覚したり、逆に受け取れるはずの保険金や年金を見落としたりするリスクがあります。

財産調査には相当の労力を要するため、生前のうちに自分の資産状況をまとめておくことが重要です。

相続に強い弁護士があなたをフルサポートいたします

相続問題ご相談受付

0120-979-039

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付
相続問題の経験豊富な弁護士にお任せください

エンディングノートの選び方

エンディングノートの種類

エンディングノートは、書店などで売られているほか、全国各地の自治体、法務局、弁護士会、司法書士会などのホームページから、データをダウンロードすることもできます。

エンディングノートには、以下のようなものがあります。

  • 葬儀や相続の項目が充実しているもの
  • 自分史を書けるもの
  • メッセージ項目が充実しているもの

市販のものの中には、次のような特徴があるノートもあります。

  • 解説やコラムが付いているもの
  • 後で記入項目が増やせるもの(バインダー形式のもの)
  • フリーポケット付きのもの

エンディングノート選びの基準やポイント

エンディングノートを選ぶときは、使用目的に応じて選ぶようにしましょう。
自分の死後に備えたいなら、葬儀・相続の項目が充実しているものがおすすめですし、これまでの人生を振り返りたいなら自分史を書けるものがおすすめです。

近時は多種多様なエンディングノートが出ているので、ノートの中身を見比べてみて、自分に合いそうだと思うものを使ってみるとよいでしょう。

弁護士なら相続に関する様々な面でサポートできます

エンディングノートの内容は、相続と密接にかかわってくるものです。
しかし、法的な効力を生じさせたい内容については、遺言書を作成する必要があります。

弁護士なら相続に関する様々な面で依頼者様をサポートできますので、相続のことでお悩みがあれば、ぜひ弁護士にご相談ください。
遺言書はどうやって作ったらよいのか、エンディングノートと遺言書にそれぞれ何を書けばよいかなどについて、アドバイスいたします。

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹
監修:弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長
保有資格弁護士(大阪弁護士会所属・登録番号:40084)
大阪弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。