遺言書とは|遺言書があった場合の対応と効力について

遺言書とは|遺言書があった場合の対応と効力について

ここでは、遺言書について説明させていただきます。
人には寿命があります。そのため、どのような方にとっても相続という問題から逃れることはできません。
自分が亡くなった後、ご家族が自身の財産のためにもめることがないよう、あるいはご親族の相続でご家族ともめることのないよう、遺言書について理解を深めておくことは重要です。
以下の記載をお読みいただき、そのお考えの一助になれば幸いです。

遺言書とは

遺言書とは、相続財産の分け方や婚外子の認知、祭祀承継者の指定等、作成する人の死後の法的処理に関して記載する書面になります。

ちなみに法律用語では「いごんしょ」と読みます。「ゆいごんしょ」と読むほうが一般的かもしれませんが、仮にご相談に行かれた弁護士が「いごんしょ」と呼んでいても間違いというわけではありません。

遺書、エンディングノートとの違い

遺言書と似たものに遺書やエンディングノートと呼ばれるものがあります。
これらは、書かれた方が自身の家族に、ご自分の気持ちを書き記したものという意味では共通しています。

違いは、遺言書は、遺書やエンディングノートと違って、法的な意味を有するということです。
法的な効果があるという違いから、自由に記載すればよい遺書やエンディングノートと違って、遺言書の要件は厳格になっています。

遺言書を作成しようと考えた際には、きちんと要件が充足されるよう専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。また、お亡くなりになられた後遺言書を発見されたご遺族の方についてもトラブルになる前に専門家にご相談いただければと思います。

遺言書の種類

一口に遺言書といいましても、複数の種類があります。
具体的には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類です。
きちんと有効なものであれば、種類が違うからと言って何か効果が違うというものではありません。

ただ、後述しますように自筆証書遺言や秘密証書遺言であれば検認が必要な場合があるなど、取り扱い方が違う場合がありますので、遺言書を作成しようとする場合にはどの遺言書を作成するのか、ということを決める必要があります。また、相続人の方においても、執るべき手続が異なってくることがありますので、遺されていたのがどの種類の遺言書かということは把握する必要があります。

遺言書の保管場所

遺言書の保管場所は、先ほどご説明した種類によって、異なってきます。

公正証書遺言については公証役場に保存されています。全国各地の公証役場で遺言の存否等を調べることができます。

自筆証書遺言については必ずしも保存場所が決まっていません。生前、大事なものを置いていた場所や銀行や貸金庫などに保管されている可能性があります。また、法改正により令和2年7月10日から法務局でも保管ができるようになりましたので、そちらをあたってみることも必要です。

秘密証書遺言については、作成した記録自体は公証役場に残るものの、保管は自身でおこなわれるものであるため、自筆証書遺言と同じように保管場所を把握する必要があります。

遺言書はその場で開封しないようにしましょう

自筆証書遺言の場合、上述のように、被相続人の方がご自身で保管されていることが多いため、見つかった際、開封してしまうことがあります。

しかし、法律では、遺言書の開封は裁判所での検認手続によって行うものとされています。
勝手に開封してしまいますと、5万円以下の過料が課される等の危険性があったり、他の相続人から遺言書を改ざんしたと疑われかねませんので止めるようにしてください。

開封には検認の申立てが必要

遺言書のうち、自筆証書遺言と秘密証書遺言については裁判所での検認手続を申し立てる必要があります。
検認とは、遺言書の偽造等を防止するために行われるもので、出席した相続人らの立会いの下、遺言書について開封等を行う手続になります。

ただし、自筆証書遺言であっても、法改正に基づき法務局で保管されていたものについては、検認が不要です。また公正証書遺言についても検認を行う必要はありません。

「勝手に開封すると効果がなくなる」は本当か?

先ほど、遺言書を勝手に開封しないようにしていただきたい旨記載しましたが、勝手に開封しても、遺言書の効力に直ちに影響を及ぼすものではありません。
ただ、開封した人が改ざんしたのではないか?等不要な争いを生じさせることになりかねない点には注意が必要です。

知らずに開けてしまった場合の対処法

上述のように、遺言については勝手に開封することはご法度です。それでも知らずに開けてしまった場合には他の相続人に開けてしまったことを打ち明けた上で速やかに検認手続を申し立てるようにしましょう。

他の相続人に黙っていた場合後からトラブルになりかねませんし、不正行為をしたと認定されてしまうと相続の資格を失うことにもなりかねませんので注意をするようにしてください。

遺言書の内容は何よりも優先されるのか

遺言書の内容は被相続人の意思が現れたものになりますので、有効な遺言書であれば、相続発生と同時に財産の所有権が指定された相続人に移転される等の効力が生じることが原則です。

しかし、そのような遺言書であっても各相続人が有する遺留分を侵害することはできません(なお、兄弟姉妹に遺留分はありません。)。

その為、相続人である特定の子に一切財産を与えない旨の記載になっていたとしても、その相続人が遺留分減殺請求権を行使すれば、一定程度の相続財産を取得することになります。

遺言書の内容に相続人全員が反対している場合

本来、有効な遺言書が存在し、それによりすべての相続財産の帰属が確定するのであれば、遺言書の内容通りに相続がなされ、終了するということになります。あるいは、遺言書に漏れている相続財産があるのであれば、その財産の帰属のみ定めることとするのが原則です。

しかし、すべての相続人がこれに反対し、別の内容にて協議が成立するのであれば、必ずしも遺言書通りにしなければならないわけではありません。

遺言書に遺産分割協議を禁止すると書かれていたら

民法上、遺言によって最大5年間遺産分割を禁止することを定めることができるとされています。
その為、遺言書にそのような記載があった場合原則として遺産分割協議を行うことはできないことになります。
また、遺産分割禁止になっていても、相続税の申告期限は変わらないことに注意が必要です。

遺言書の内容に納得できない場合

上述のように、被相続人の意思が現れた遺言書であっても、遺留分を侵害することはできません。
仮に、ご自身への相続が全く記載されていない、あるいは明らかに僅少である場合などには遺留分減殺請求権の行使を検討する必要があります。

遺留分減殺請求権の行使には期限もありますので、お早めに専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

遺言書の通りに分割したいけれど、反対する相続人がいる場合

この場合、家庭裁判所に対して遺言執行者の選任を請求する方法がございます。

遺言執行者は遺言の内容を実現するために活動する人のことです。
遺言執行者は遺言書で指定されることもありますが、遺言書で選任されていない場合には家庭裁判所へ請求することを考えてもよいかと思います。

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遺言書で指定された財産を受け取りたくない場合

遺言書で指定された財産を受け取りたくない場合、相続放棄を行えば、相続人ではなくなるため、受け取らないことができます。
また、相続人でない方で、特定の財産の遺贈を受けた方については、法律上いつでも放棄することができるとされています。

遺言書が2通出てきた場合

遺言書が複数出てきた場合、原則としては新しい遺言書が有効であり、新しい遺言書の内容と矛盾する古い遺言書の内容は無効となります。

もっとも、作成時に認知症が進行していた場合など、新しい遺言書が無効と判断される可能性もありますので、遺言書の内容や被相続人の方の作成時の健康状態などは慎重に把握する必要があります。

遺言書にない財産が後から出てきた場合

遺言書にない財産が後になって出てきた場合については、相続人全員でその財産を相続するものを定めなければなりません。
場合によっては既に分割した財産についても協議の対象とし直すことも考えられます。
相続人間でトラブルになる前に一度弁護士に相談することをお勧めいたします。

遺産分割協議の後に遺言書が出てきた場合、どうしたらいい?

遺産分割協議を終えた後に、遺言書が出てくることがあります。
相続人全員がそれでもなお協議の内容に納得するのであれば、問題ありません。
ただ、そうでない場合については協議が無効になる可能性が高いと言えます。

また、無効となることをおそれて他の相続人に存在を隠したりすると、後々大きな紛争になる可能性もありますので、遺言書が出てきた場合は他の相続人にも共有することをお勧めいたします。

遺言書が無効になるケース

遺言書が無効になるケースとしては、①作成時に認知症などが進行し、遺言を作成する能力がなかったと認定されるようなケースと、②遺言書の要件が備わっていない場合があります。

①については、どのような種類の遺言書であっても問題になりうるものですが、②については特に自筆証書遺言について、署名がない、日付がない等の理由によって無効となることが考えられます。

遺言書の内容を見て、「本当に被相続人がこのような内容を残すかな?」と疑問に思われた方は、一度専門家にご相談いただいたほうが良いかもしれません。

遺言書に関するトラブルは弁護士にご相談ください

以上述べましたように、遺言書をめぐっては様々なトラブルが生じることがあります。
そのようなトラブルには早めの対応を心がけることで速やかな終息が図れるものも少なくありません。

トラブルになってしまっている方はもちろん「もしかしたらトラブルになるかも?」と思われている方についても一度相続の専門家である弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

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この記事の監修

弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹
弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長弁護士 長田 弘樹
大阪弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
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