遺産分割協議の流れと注意点

遺産分割協議の流れと注意点

相続において遺産分割協議は避けて通れない重要な手続です。できる限り円滑に進むよう、相続人間で納得のいく協議がなされる必要がありますが、どのようなところに気を付けるべきでしょうか。

遺産分割協議開始前に確認しておくこと

遺産分割協議を行うにあたって特に重要なことは、相続人の範囲の確定です。相続人が全員そろった状態で遺産分割協議を開始しなければ、せっかく成立した遺産分割協議が無効となってしまいますので十分注意しましょう。

相続人全員がそろっていることを確認する

遺産分割協議の当事者は、原則として共同相続人全員になります。遺産分割協議に相続人の一部が漏れている場合には、当事者参加制度により手続に加わることができるので(家事事件手続法41条)、申立時に相続人が全員そろっていなくても、調停成立又は審判が確定するまでであれば、当事者参加により遺産分割協議を有効とすることができます。

しかし、相続人の一部が除外されたまま遺産分割の調停が成立したり審判が確定した場合、その全部が無効となります。

相続する財産を把握できているか確認する

相続が開始すると、被相続人の財産に属した一切の権利義務が相続人に承継されることになりますが、被相続人の一身に専属する権利については承継されません(民法896条)。債務のような消極財産も同様に承継されるので、消極財産が積極財産を超えている場合には、相続放棄を検討すべきでしょう。

また、相続財産が多岐にわたっている場合には、相続人間の主張を整理するために、財産目録を作成しておくとよいでしょう。

遺産分割協議の流れ

遺産分割の流れは、以下のような手順で進められることになります。

①相続人の範囲を確定する、②相続分を確定する、③遺産の範囲を確定する、④遺産を評価する、⑤特別受益の額を確定する、⑥寄与分を確定する、⑦具体的相続分を確定する、⑧遺産分割取得分の額を算定する、⑨遺産分割方法を決定する、⑩遺産分割協議書を作成する。

相続人間でそれほど争いになっておらず、裁判外で協議する場合は、特別受益や寄与分等について主張がないまま遺産分割協議が成立する場合もあります。

遺言書がある場合の遺産分割協議

遺言とは、遺言者の死亡とともに、遺言者が生前に行った意思表示について効果意思通りの効力を生じさせて、その最終意思の実現を図るための相手方のない要式的単独行為です。したがって、相続人がそれぞれ遺産分割協議に意見がある場合でも、原則としては遺言書の内容が優先されることになります。

遺言書が詳細に書かれており、内容に不満がなかった場合

全ての相続人が、遺言書が有効という前提で遺言書の内容に納得していれば、遺言書の内容に従って遺産が承継されることになります。遺言によって指定されるなどして遺言執行者が選任されている場合は、遺言執行者が相続人に代わって遺言の執行に必要な行為を行います(民法1012条1項)。

遺言書の内容に不満がある場合

遺言書の内容に不満がある場合、遺言書の内容とは別の内容で遺産分割協議を行うことはできるでしょうか。
この点、相続人全員の同意があれば、遺言と異なる遺産分割をすることは可能とされています。

さらに、遺言執行者が指定されている場合で、遺言執行者が執行に着手する前に、相続人全員が遺言と異なる遺産分割を望んだ場合も、遺言執行者の同意のもとに、合意が利害関係を有する相続人ら全員でなされ、かつ、その履行として処分行為がなされた場合に、相続財産の処分行為を有効とした裁判例があります(東京地判昭63.5.31)。

割合のみで具体的な内容が書かれていなかった場合

被相続人は、遺言で相続分を指定することができます(民法902条1項)。相続分の指定をすることで、相続に関する紛争を防止することの一助にはなりますが、遺産分割方法が定まっていなければ、結局その点について協議をしなければならないため、終局的な解決には足りないと言えるでしょう。

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遺産分割協議で話し合う内容

遺産分割協議で話し合う内容としては、主に遺産の範囲及び遺産分割方法になるでしょう。つまり、被相続人の遺産の洗い出しと、それを相続人間でどのように分けるのかという点です。特に、不動産や株式などが複数ある場合に、換価せずに特定の相続人が承継する場合には、それぞれの相続人がそれらを希望するか否かの事情によって代償金による調整が必要となる場合があります。遺産の中に相続人間の不平等を解消するだけの現預金があれば問題ないのですが、現預金が十分にない場合には、相続人が自身の財産から代償金を拠出しなければならない場合があります。

なお、遺産分割協議は、必ずしもどこかに集まって対面で行わなければならないわけではなく、電話やメールでやりとりすることも可能です。ただし、最終的には相続人の意思遺産分割協議書に明確に現れなければなりませんし、相続人間でお互い納得のいく結論を出すためには、遺産目録を用意して協議を尽くすべきでしょう。

話し合いがまとまったら遺産分割協議書を作成する

相続人それぞれが遺産分割の内容に納得し合意に至れば、遺産分割協議の内容が一義的に明確になるよう遺産分割協議書を作成すべきです。特に、遺産に不動産が含まれており、法定相続分とは異なる相続分で遺産分割を行う場合や遺言書がなく場合で、調停や審判を行わずに遺産分割を進めたいのであれば、遺産分割協議書の作成は必須です。このような場合は、遺産分割協議書がなければ相続登記を行うことができないので注意が必要です。

遺産分割協議がまとまらなかった場合

相続人間で遺産分割協議が成立しなかった場合、遺産分割調停を申し立てることになります。遺産分割調停を申し立てる場合の管轄は、相手方の住所地又は当事者が合意で定める家庭裁判所に申し立てることになります(家事事件手続法245条1項)。

そして、調停が不成立で終了した場合には、調停の申立時に遺産分割の審判の申立てがあったものとみなされ、遺産分割手続に移行して審判手続が開始することになります(家事事件手続法275条2項)。

遺産分割協議で揉めないために、弁護士にご相談ください

遺産分割協議を行うにあたっては、細心の注意を払って進めなければ、後々に紛争の火種を残したまま成立させてしまうこともありえます。また、調停や審判手続では、証拠を吟味し主張の内容を精査したうえで書面を作成する必要があります。

弁護士法人ALG&Associates大阪法律事務所では、遺産分割協議の経験が豊富な弁護士が在籍しており、納得のいく結果を得るためのお手伝いをいたします。ぜひお気軽にご相談ください。

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この記事の監修

弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹
弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長弁護士 長田 弘樹
大阪弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
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