亡くなった人が連帯保証人だった場合の相続

相続問題

亡くなった人が連帯保証人だった場合の相続

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹

監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士

お亡くなりになった方が連帯保証人だった場合,相続人は連帯保証人の地位を相続するのでしょうか。それを回避する方法はあるのでしょうか。期間制限はあるのでしょうか。
今回は,こういった「連帯保証人と相続」というテーマについて,以下で具体的に説明していきたいと思います。

亡くなった人が連帯保証人だった場合の相続はどうなる?

相続人は,「被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」(民法896条)ため,連帯保証債務についても,保証人の死亡により,相続人が相続することとなります。
そのため,相続人が連帯保証人に代わり,連帯保証債務の履行を行う必要があります。

連帯保証人の債務負担の相続割合は?

相続人が複数人存在する場合,連帯保証債務は,相続人それぞれの法定相続分(民法900条,901条)にしたがって負担することとなります。
たとえば,連帯保証人である夫が死亡し,妻と子2名が相続人であった場合,妻が2分の1,子2名はそれぞれ4分の1の割合で連帯保証債務を負担する必要があります。

相続開始後に発生した債務は?

連帯保証債務は,主たる債務を保証するものですので,連帯保証人が死亡したとしても,その死後に保証債務の対象となる債務が発生した場合には,責任を負う可能性があります。
たとえば,賃借人Aさんの連帯保証人になっていたBさんが死亡し,Bさんの相続人Cさんが連帯保証人Bさんの地位を相続したというケースで,Bさんの死後にAさんが賃料を滞納した場合には,Cさんは当該未払賃料について,連帯保証人としての責任を負うことになります(※賃料債務のような一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(個人根保証契約)については,民法改正により極度額の定めがなければ無効となりますが,ここでは有効な個人根保証契約であることを前提としています)。

連帯保証の時効について

①令和2年4月1日以降に成立した連帯保証契約については,連帯保証債務の消滅時効期間は,債権者が「権利を行使することができることを知った時から5年」または,「権利を行使することができる時から10年」です(民法166条1項1号・2号)。

②令和2年3月31日までに成立した連帯保証契約については,連帯保証債務の消滅時効期間は,「10年」です(旧民法167条1項)。

相続放棄をすれば連帯保証人にならずに済む

連帯保証人が死亡した場合,相続人は,相続放棄をすることにより,連帯保証債務を免れることができます。相続放棄は,被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。ただし,相続放棄は,「自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内」に行う必要がありますので(民法915条1項),注意が必要です。

連帯保証人の地位は他の相続人に引き継がれる?

連帯保証人が死亡した場合に,相続人2名のうち1名の相続人が相続放棄を行うと,残りの1名の相続人が連帯保証人の地位を単独で相続することとなります。
また,第1順位の相続人全員が相続放棄をした場合,次順位の相続人が連帯保証人の地位を相続することとなります。

連帯保証人であることを知らなかった場合の対処法

相続人が「被相続人が連帯保証人であること」を知らずに,被相続人の死亡から3ヶ月が経過してしまったとしても,相続放棄ができる場合があります。相続人が,被相続人の預貯金や不動産等の他の相続財産を含めて相続財産の存在を一切知らなかった場合には,相続放棄の熟慮期間がまだ経過していないとして,相続放棄を行うことができる可能性がありますので,速やかに弁護士にご相談ください。

相続人が亡くなった人の連帯保証人だった場合は?借金は一人で相続するの?

Aさんが主債務である貸金債務を負っており,配偶者のBさんが当該貸金債務について連帯保証人であった場合,Aさんの死亡によってBさんは貸金債務を相続するのでしょうか。
答えは「YES」です。主債務者が被相続人,連帯保証人が相続人というケースの場合,相続人は,被相続人の死亡によって,被相続人の主債務を相続することになります。したがって,相続人がBさん1名であった場合には,Bさんは単独で被相続人Aさんの貸金債務を負うこととなります。

この場合は相続放棄をしても責任を免れない点に注意が必要

では上記のケースで相続人Bさんは相続放棄をすることにより,Aさんが負っていた貸金債務の返済を免れることができるでしょうか。
答えは「NO」です。主債務の相続人であるBさんが相続放棄をしたとしても,Bさんは連帯保証人でもありますので,連帯保証債務によって,貸金を返済する義務があります。

連帯保証人の相続は弁護士にご相談ください

これまで説明してきたとおり,連帯保証人の相続に関しては,複雑な法的問題が多数存在しています。特に相続放棄に関しては,3ヶ月という期間制限がありますので,被相続人の死亡後に適切な対応を取らずに放置してしまった結果,連帯保証債務を免れることができなくなるリスクもあります。
連帯保証人の相続が発生した場合には,「できる限り速やかに」弁護士へご相談されることが極めて重要となります。

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監修:弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長
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