診療録等の医療記録について

代表執行役員 弁護士 金﨑 浩之

監修医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 弁護士

  • 診療録

医療記録の種類について

病院で作成される医療記録には、診療録、看護記録、リハビリ記録、熱型表、手術記録、麻酔記録、諸検査結果記録、画像検査記録、検査レポート、診療情報提供書、救急搬送に関する記録等があります。

医療記録の保存期間について

診療録については5年間の保存義務(医師法24条2項)、診療に関する諸記録については2年間の保存義務があります(医療法21条1項9号、医療法施行規則20条10号)。

医療記録の取得方法について

医療訴訟を行うには、まず、医療記録の取得から始めなければなりません。

医療記録の取得方法は2通りあります。

1つ目は、「任意開示」という方法です。「任意開示」は、患者又は患者の遺族が病院に医療記録の開示申請を行い、取得する方法です。病院は、開示請求を受けた場合、原則応じなければならないとされています(平成15年9月12日付各都道府県知事あて厚生労働省医政局長通知「診療情報の提供等に関する指針」)。

2つ目は、「証拠保全」(民事訴訟法234条)という方法です。「証拠保全」は、裁判所が病院に立ち入り、その場で医療記録の検証を行うものです。患者らは検証調書を通して、提出された医療記録を取得することができます。

上記の2通りの取得方法がありますが、それぞれ長所・短所があります。

事案ごとにどちらの方法が適切か判断する必要がありますので、医療記録を取得する前に弁護士に相談する方がよろしいでしょう。

また、ご自身で医療記録を開示された場合であっても、医療記録の一部が開示されていないケースが散見されます。そのため、既に開示を行った場合でも、漏れなく医療記録を取得できているか確認する必要があります。

診療録、看護記録の記載について

診療録や看護記録に記載された内容と実際に体験した事実との間にズレがあると感じる患者の方は少なくありません。(そもそも診療録や看護記録等は、一方当事者により作成されるものですので、記載された内容との間に若干のズレを感じることはやむを得ないと思われます。)

また、患者やその家族の方の中には、医療記録は、不適切な医療行為を行った可能性がある病院側が作成したものであるから、それらの記載内容は信用できず、有力な証拠にはならないと考える方も多いです。

しかし、裁判上では、「診療録の記載内容は、それが後日改変されたと認められる特段の事情がない限り、医師にとっての診療上の必要性と右のような法的義務(医師法上の作成義務)との両面によって、その真実性が担保されているというべきである。」(東京高裁昭和52年(ネ)第2307号昭和56年9月24日判決)とされ、他の関係証拠と矛盾しない限り、原則として診療録に記載された内容が判断の前提事実となります。

診療録が改竄された場合について

電子カルテの普及に伴い、事後的に改竄されるリスクは軽減したと考えられますが、改竄されるケースが全くなくなったわけではありません。

電子カルテの場合、一般的に修正履歴が残りますが、加除修正までの時間が不自然なまでに経過している場合や、加除修正の内容が従前の内容と著しく異なる場合等については、医師から合理的な説明がなされない限り、記載内容の信用性は低下すると考えられます。

診療録の改竄がなされた場合、それにより直ちに診療行為の過失が認められることにはなりませんが(他の証拠に照らして、過失の有無の判断を行うことになります。)、以下のとおり、被告の過失の判断にあたって、不利益な事情として考慮される場合があります。

(東京地裁平成14年(ワ)第11664号平成15年11月28日判決)

「本件事故についての被告の過失を認定するに当たっての前提事実については客観的な証拠に反しない限り、原告らに有利に認定して過失判断を行うべきであるし、被告が本件診療録及び本件麻酔記録をねつ造したという事実は、被告の過失を認定する上で、被告に不利益になる事情であると考えられる。」

また、診療録の改竄により証明妨害行為がなされた場合に、それ自体が極めて悪質な不法行為であるとして多額の慰謝料が認められたケースもあります(甲府地裁平成10年(ワ)第186号、平成11年(ワ)第293号平成16年1月20日判決)

なお、医療従事者らが診療録の改竄を行った場合、虚偽公文書作成罪(刑法156条)、電磁的記録不正作出罪(刑法161条の2第2項)、証拠隠滅罪(刑法104条)等に当たる可能性があります。

最後に

医療過誤訴訟において、医療記録は、必ず必要なものであり、最も重要な証拠です。

開示方法を誤れば、後々取得が困難となる記録もありますので、過誤が疑われる場合には、医療記録を開示する前に、一度弁護士に相談することをお勧めします。

この記事の執筆弁護士

弁護士 宮本 龍一
弁護士法人ALG&Associates 弁護士 宮本 龍一
大阪弁護士会所属
弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 医学博士 弁護士 金﨑 浩之
監修:医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員
保有資格医学博士・弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:29382)
東京弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。

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