刑事事件
監修医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 弁護士
医療過誤事件は、刑法では業務上致死傷罪に該当する可能性があります。過失と因果関係という主要な要件は民事訴訟と同じですが、刑事事件は極めて慎重に運用されているため、有罪になるハードルはかなり高いです。
患者側は証拠保全前には被害届や告訴状を提出するべきではありません。また、医療調査を経る前に被害届や告訴状を提出しても、警察が受け取ってくれないため精神的に苦痛を感じることも多いです。また、医療調査前では見通しを誤るリスクも高いため、被害届や告訴状を提出することは原則として適切ではないと考えます。
刑事事件の捜査には極めて長い時間がかかります。多数の医師の意見が一致するような事案でなければ検察官が起訴してくれない可能性もあります。一般的には、警察が捜査をしてくれることで事案が解明されて、民事事件に有利に働くことを期待することはできません。逆に、民事訴訟で過失と因果関係の存在が認定されれば、捜査機関も捜査するべき事案であることを良く理解してくれます。患者側としては基本的には民事訴訟を先行させるべきであると考えています。
ただし、事後的な隠蔽をしていることが明らかであったり、重大な過失を反復しているような事案では、刑事責任を問うことが相当であると考えられます。このような場合には、協力医の意見書を付けた告訴状を警察に提出する場合もあります。
この記事の執筆弁護士
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大阪弁護士会所属
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保有資格医学博士・弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:29382)東京弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
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