コロナウイルスと医療紛争

代表執行役員 弁護士 金﨑 浩之

監修医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 弁護士

  • コロナウイルス

コロナウイルスにより私たちの生活は一変しました。医療の世界でも、コロナウイルスの影響は様々であり、最前線で多忙を極めている方もおられるでしょうし、逆に患者が減少して経営的な問題を抱えている病院もあると思われます。

弁護士の世界にもコロナウイルスの影響が出ております。裁判の期日もマイクロソフトチームズによるウェブ会議を利用できるようになりました。弊所は従前からウェブ会議による相談に対応しておりましたが、依頼者側が従前よりもウェブ会議に慣れておられる印象があります。個人的に一番困っているのは、病院に対する証拠保全の期日が緊急事態宣言の期間中であると、病院の性質によっては期日を延期せざるを得ない場合があることです。

コロナウイルスは医療紛争にも影響を与えています。例えば、患者さんのご家族は見舞いに行くことができない場合が多くなったため、医療過誤の疑いを患者さんの家族が認知する機会が減少した可能性があります。他方で、見えないからこそ、過誤の有無に関わらず、疑心暗鬼になってしまう場合もあると考えられます。コミュニケーションの質がコロナウイルスの影響で損なわれている恐れがあります。

また、コロナウイルスによる感染症に関連して医療紛争が生じることもあるようです。弊職自身は相談を受けたことはありませんが、訴訟に至るケースもあるようです。報道によると就業先のコロナ感染対策の懈怠を主張して提訴した事案が存在するようです。確かに、アメリカのトランプ元大統領が一時期はマスクの着用を避けていたように、コロナウイルスに対する対応には価値観が反映されるため、コロナ対策が極端に不十分な企業が存在する可能性はあります。他方で、勤務先でコロナウイルスに感染したことが疑われる事案では、通勤経路によっては感染経路の特定が困難な場合もあるため、因果関係の立証には工夫が必要かもしれません。

いずれにせよ、当職としては一日も早いコロナウイルスの収束を願うばかりですし、コロナウイルスに関連する医療紛争が適切に処理されることを願っています。

この記事の執筆弁護士

大阪法律事務所 副所長 弁護士 髙橋 旦長
弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 副所長弁護士 髙橋 旦長
大阪弁護士会所属
弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 医学博士 弁護士 金﨑 浩之
監修:医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員
保有資格医学博士・弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:29382)
東京弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。

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