接見とは?ご家族の方の不安を弁護士が取り除きます
監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士
本ページにおいては、刑事事件においても非常に重要となる接見について解説させていただきます。
ニュースにおいて、冤罪や再審といった言葉をお聞きになられた方は多いかと思いますが、ご自身やご家族・友人の方が突如逮捕されるという可能性は、身に覚えがない場合であったとしても否定できるものではありません。
自身や身の回りの方を守るためにも、接見という重要な権利について知っておくことが重要になります。
目次
接見について
接見交通権とは
接見交通権とは、身体拘束を受けた被疑者と接見し、書類や物の授受をする権利のことを指します。その中で、警察官などの立会人なくして、つまり誰にも監視されることなく、被疑者と接見する権利を秘密交通権といいます(これは弁護士についてのみ認められています。)。
なぜ接見交通権が必要か?
逮捕や勾留によって身柄を拘束されてしまった場合、周りに自分の味方はおらず、非常に不安に感じられることかと思います。また刑事事件について詳しい知識を持っていることも少ないため、捜査機関による自白の強要等に屈してしまう可能性も否定できるものではありません。
そのような中で被疑者の味方として、直接面談することは、取調べなどについての具体的なアドバイスを受けることが出来るという点はもちろんのこと、不安な気持ちを取り除くという点でも大きい意味を有します。
逮捕直後の接見についての重要性
まず、弁護士以外の方の接見については、法律上、勾留という手続が行われてからしか認められていません。
勾留という手続は逮捕後72時間以内に行われる手続です。これはすなわち、弁護士以外の方は、逮捕された方の友人であっても、家族であっても、逮捕後72時間以内に行われる勾留手続が行われない限りは、逮捕された方に会えないということになります。
逮捕直後の動きで重要なポイント
逮捕により、その方の身柄が拘束されることになり、警察官などの捜査機関から取り調べを受けることになります。そこで気が動転し、やってもいないことを認めてしまうなどすると、まさに冤罪として有罪判決を受けることもなりかねません。また、逮捕された直後で相談できる人もおらず、強い不安を抱くことが通常です。
そのため、逮捕直後に取り調べを受けるにあたってのアドバイスなどを受ける必要性は非常に高いといえます。
逮捕されたら早期に動くことが重要です!弁護士へご相談下さい
上述のように逮捕された直後はご家族で会ったとしても会いに行くことが出来ません。
そのため、すぐにでも弁護士にご相談いただき、取調べなどに対応することが重要となってきます。
ご家族やご友人が突然逮捕されたといった方におかれてはすぐにでも弁護士に相談してみることをお勧めいたします。
接見禁止・接見指定とは
接見禁止とは文字通り、身柄拘束をされた方との接見を禁止する処分となります。弁護士以外の方の場合、この接見禁止処分がなされてしまいますと、身柄拘束された方に会えないこととなります(なお、弁護士にこの効力は及びませんので、弁護士は接見することが可能です。)。
次に接見指定とは、弁護士による接見について、捜査の必要性から、日時・場所などを指定するものとなります。弁護士に対しては接見を禁止することが出来ませんので、あくまで日時・場所などを指定するにとどまるものとなります。
一般面会について
一般面会とは、弁護士ではなく、ご家族の方やご友人の方が被疑者と面会することをいいます。弁護士でなくても会うことが出来るのであれば、弁護士に相談した上で、自分でアドバイスをしに行けばいい(その方が本人にも直接会うことが出来るし、顔色なども確認できる)とお考えになる方もいらっしゃるかと思います。ただし、以下に記載いたしますように一般面会は弁護士の行う接見とは異なる点が多くあります。
接見との違い
弁護士が行う接見とは異なり、ご家族などの一般面会は法律上の制約を受けることになります。例えば、接見禁止が下された場合には、一般面会を行うことはできなくなりますし、また逮捕直後については、そもそも法律が一般面会を認めていないので接見禁止があるかどうか以前の問題として面会することが出来ないこととなります。さらに、弁護士と異なり警察官などの立会いの下でしか面会を行うことが出来ません。
差し入れがしたい場合
身柄拘束をされてしまった方に様々な物品を差し入れを入れることは可能です。接見等禁止の処分が出された場合、差し入れることが出来るものに制限がされますが、それでも現金や日用品などを差し引入れることはできます。
しかし、差し入れが許されないものも存在します。
例えば、一般的な衣類は差し入れ可能とされているものの、ベルトや長い靴下などは認められておりません。
弁護士ができること
逮捕直後の接見
上述しましたように、逮捕された直後にご家族やご友人が面会をすることはできないとされています。
そのため、その段階においては、弁護人又は弁護人になろうとする弁護士のみが接見することが出来ます。
ご本人にとってもショックの大きい逮捕直後においては、取調べにおいて、やってもいないことを認めてしまい供述調書を作成されてしまうといった危険性も十分に考えられるところです。そのため、逮捕直後に取り調べ等に対するアドバイスを受けることは非常に重要なことだと言えます。
接見禁止を受けた場合の解除
接近禁止とは、被疑者とされる方がご家族などと面会することによって証拠を隠滅したり、逃亡したりすることを防ぐことを目的とするものです。そうすると、そのようなリスクが無くなった場合には接見禁止を維持する必要はないこととなります。
そのため、捜査の進捗に応じて弁護士から接見禁止を解除するよう働きかけることが出来る場合があります。
精神的なサポート
接見禁止が出されている場合などは、身柄拘束されている方は自分の味方になってくれる人と会えない中で取り調べなどに挑まなくてはならないこととなります。
これが、精神的に非常に辛いものであることは皆さんにもご理解いただけるかと思います。
取調べに対するアドバイスなどももちろんですが、精神的なサポートという点でも弁護士の存在には大きな価値があると思います。
社会生活への影響緩和
逮捕されてしまった場合、外部との連絡手段が遮断されてしまいますので、勤務先や学校にも連絡をすることが出来なくなります。無断欠席として、勤務先を解雇されてしまったり、学校の単位を落としてしまったりするリスクが生じることとなってしまいます。
弁護士は、本人と接見の上で、連絡をとらなければならない相手を確認し、ご家族などと協力して、関係各所に連絡を取ることも可能です。
弁護士がご家族との懸け橋となりサポート致します
身柄拘束された際に、心のよりどころになるのは、ご家族やご友人の存在であることは間違いありません。
しかし、取り調べを受ける際の注意点や方向性などのアドバイスは弁護士であるからこそできるものです。
弁護士にご依頼いただいた場合、ご家族と協力することにより、法律面・精神面の双方からサポートを行うこととなります。
接見に関するよくある質問
友人が勾留されたのですが、家族ではなくても接見・面会は可能ですか?
弁護士以外の面会について、法律上ご家族には限定されていません。そのため、ご家族ではないご友人の肩であっても面会をすることは可能です。ただ、ご家族の場合と同様に、接見禁止となってしまうと、面会できないこととなります。
差し入れと併せて手紙を渡したいのですが。
接見禁止が出ていない場合には基本的に手紙についても渡すことが可能です。ただし、拘置所などの職員が事前に中身を検査することが可能とされています。仮に手紙の内容が証拠隠滅を唆すような内容であった場合には、それを証拠として、取調べなどを受ける可能性も否定できませんので、注意が必要となります。
勾留が決定したら面会に行きたいと思うのですが。
勾留が決定した後であれば接見禁止となっていない限り、本人に会いに行くことが可能です。
しかし、取り調べなどに対するアドバイスという点については勾留が決定してからでは遅いというのが正直なところです。
仮に、勾留が決定した後に、インターネット等で調べた取り調べ等に対するアドバイスをしようと考えていらっしゃるのであれば、今すぐに弁護士に相談し、弁護士に接見に行ってもらうべきかと考えます。
接見・面会の時間はどの程度なのでしょうか?
ご家族の方による一般面会の場合、面会時間は極めて限定的なものとされています。身柄が拘束されている施設にもよりますが、1回あたりの面会時間は10分程度とされていることも珍しくありません。
これに対し、弁護士の場合特に制限がありませんので、自由に面談することが可能です。初回の接見ですと、様々な事情の聞き取りがあるので、1~2時間程度要することも少なくありません。
弁護士への依頼で早期解決できる可能性があります
このように、弁護士は一般の方よりも早く身柄拘束された方に会うことができ、取り調べについてのアドバイスなどを行うことができます。これは、早期の釈放や不起訴処分を目指すうえで、非常に重要なことです。ご家族やご友人が逮捕された場合などはできるだけ早く弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
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保有資格弁護士(大阪弁護士会所属・登録番号:40084)