接見禁止とは?
ご家族が逮捕されてしまった場合、いつ本人と会うことができるのか不安に感じる方が多くいらっしゃるかと思います。
逮捕後のおおまかな流れとしては、①逮捕→②検察官へ事件の引継ぎ(逮捕後48時間以内)→③検察官による勾留請求(逮捕後72時間以内)→④勾留or釈放 と手続きは進んでいきます。
①~③の間は、弁護士以外の面会が認められていませんので、④の勾留後か釈放後のいずれかのタイミングでお会いすることができます。
ただし、勾留後であっても、「接見禁止」の決定があった場合には、面会することができないので注意が必要です。
目次
接見禁止とは?
「接見」とは、勾留中の被疑者・被告人が弁護士等の外部の人と会うことをいいます。
「接見禁止」の決定がされてしまうと、被疑者・被告人は、弁護士以外の人と会うことが許されず、家族であっても会うことはできません。また、接見だけでなく書類や手紙のやり取りも制限されます(刑事訴訟法81条)。
接見禁止となるのはなぜか
検察官が裁判所に対して勾留請求をする際、それと同時に接見禁止の申立てをします。
検察官からの申立てを受けた裁判官は、「逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある」といえる場合には、接見禁止の決定をします。
特に、被疑者・被告人が否認している場合や、自白していたとしても組織犯罪・共犯事件である場合には、弁護士以外の者と面会した際に証拠隠滅を指示したり、口裏合わせを依頼したりする可能性が高いとされ、接見禁止の決定がでることが一般的です。
接見禁止の期間
接見禁止の期間については、明確な基準はありません。
裁判所は、逃亡や罪証隠滅のおそれがある場合に接見禁止の決定をだすので、起訴前の勾留期間中は接見禁止とされることが一般的です。
起訴後や捜査機関による捜査や証拠収集がある程度進んだ段階であれば、「罪証隠滅のおそれ」は相対的に低くなっているといえるので、接見禁止を解除されることが多いです。
接見禁止で制限されること
弁護士以外との面会禁止
冒頭でもご説明したとおり、接見がされると、弁護士以外の者と面会することができなくなります。
もっとも、弁護士との面会は憲法上保障されているため、制限されることなく面会することが可能です。
手紙のやり取りの禁止
面会だけでなく、手紙のやり取りも禁止されます。手紙のやり取りを許してしまうと、弁護士以外の者に罪証隠滅の依頼等が可能になり、面会を禁止させた意味が失われてしまうからです。
何かご家族からお伝えしたいことがある場合には、弁護士を通じて話をしてもらう必要があります。
生活必需品以外の差し入れ禁止
接見禁止決定がされると、物の差入れが禁止されますが、衣類や寝具、洗面用具等の日用品、本、お金などの生活必需品に関しては、差入れが可能です。
宅下げの禁止
被疑者・被告人に対して物を渡すことを差入れというのに対し、逆に被疑者・被告人の物を弁護士等が受け取ることを宅下げといいます。
接見禁止の決定がでると、弁護士以外の者は宅下げを受けることができなくなります。
接見禁止でも弁護士は接見可能
冒頭でもご説明しましたとおり、逮捕後72時間以内は弁護士以外の者との面会が認められておらず、勾留決定後も接見禁止決定がでた場合にも被疑者・被告人と面会をすることが制限されます。
これに対し、弁護士は、逮捕後72時間以内であっても、接見禁止決定がでていた場合であっても、自由に接見することができます。
被疑者・被告人には、立会人なくして弁護人と自由に面会できるという「接見交通権」が保障されていることから(憲法34条、刑事訴訟法39条1項)、弁護士は自由に接見することができるのです。
時間制限、回数制限なく面会できる
弁護士は、時間制限や回数制限なく面会することができます。これに対し、一般の方の面会であれば、平日の日中、1回15分程度しか面会することができません。
警察官の立ち合いはない
弁護士が面会する場合、警察官の立ち合いはありません。一般の方が面会する場合、警察官が立ち合い、会話の内容を聞かれることになります。
回数制限なく差し入れができる
弁護士は、回数制限なく、差し入れを行うことができます。一般の方が差し入れする場合、警察署によってルールは異なりますが、差し入れができる回数は1日2回と制限されています。
接見禁止を解除する方法
準抗告・抗告
接見禁止の決定が出ている場合、その決定に対して、準抗告(第1回公判以降は「抗告」)をすることができ、接見禁止決定の全部の取消しを求めることができます。
裁判官は、「逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある」といえる場合には、接見禁止の決定をしますので、「逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」がないということができれば、取消しが認められることになります。
具体的には、捜査機関による捜査や証拠収集が終了していること、共犯者等と接見を望むご家族に何ら接点がないことなどを主張していきます。
接見禁止処分の一部解除申し立て
接見禁止の決定に対する準抗告等が認められなかった場合、接見禁止の一部解除を求めることもできます。
例えば、家族に限って接見の解除を求めたり、家族との手紙のやり取りだけ解除を求めたりすることが考えられます。
勾留理由開示請求
被疑者や被告人、弁護士は、請求により、裁判官に対して勾留の理由を開示するよう請求することができます。これを「勾留理由開示請求」といいます。
勾留理由開示は、公開の法廷で行われ、被疑者・被告人は意見陳述をすることができます。そのため、接見禁止の決定を受けている被疑者の場合、直接会話をすることはできませんが、家族等と法廷で顔を合わせることができます。
接見禁止になっても弁護士なら被疑者との面会や接見禁止解除の働きかけができます。
接見禁止決定がされてしますと、被疑者・被告人は弁護士以外の人とは面会や手紙のやり取りをすることができなくなります。
これは、被疑者・被告人本人にとっても、ご家族にとっても精神的苦痛を強いられるものです。
このような状況であっても、弁護士であれば、被疑者・被告人との面会や接見禁止の解除を求めることができますので、早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。
この記事の監修
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大阪弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。