特別寄与料とは?請求方法や認められる条件について解説

相続問題

特別寄与料とは?請求方法や認められる条件について解説

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹

監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士

このページでは、相続人以外の方が請求できる特別寄与料について解説いたします。そもそも特別寄与料とは何なのか、いつまで請求できるのか、どういった場合に請求できるのか、など一つずつ詳しく見ていきましょう。

特別寄与料とは

特別寄与料とは、相続人以外の親族が、被相続人の療養看護を行い、その財産の維持・増加に寄与した場合に、その寄与に応じた金額を支払うよう請求することができる制度をいいます(民法1050条)。2018年の民法改正により新設された比較的新しい制度です。

この制度が設けられるまでは、相続人でない限りはどれだけ被相続人に貢献したとしてもその貢献が金銭的に報われることはありませんでした。しかしながら、例えば相続人の妻が被相続人の介護を行っているようなケースは多々ある中、そのような貢献が報われないというのは公平性を損なって不適切であると考えられたため、「特別寄与料」の制度が設けられたのです。

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特別寄与料の範囲は?請求できるのは誰?

特別寄与料の請求を行う権利を有しているのは相続人以外の「被相続人の親族」です(民法1050条)。そして「親族」とは、六親等内の血族・配偶者・三親等内の姻族を指します(民法725条)。これらのうち、相続放棄をした者、相続欠格事由に該当する者、相続廃除された者は特別寄与料の請求を行うことはできません。

特別寄与料が認められる要件は?

特別寄与料が認められるための要件としては、3つの要件が必要です。以下でそれぞれ確認していきましょう。

①被相続人に対して療養看護その他の労務の提供をしたこと
療養看護型の代表例としては、被相続人の介護を献身的に行っていたことが挙げられます。その他の労務の提供とは、被相続人が営んでいる事業を手伝ったというようなことが挙げられます。

②①の労務の提供が無償で行われたこと
①の労務の提供が有償であった場合には、特別寄与料を認めると却って利益を得ていることとなりますから、労務提供が無償であることが必要となります。

③相続財産の維持又は増加について特別の寄与をしたこと
労務の提供によっても相続財産が維持・増加していない中で特別寄与料を認めると却って不公平となるため、相続財産の維持又は増加について特別の寄与をしたことが必要となります。

いつまで請求できる?時効はあるの?

特別寄与料については消滅時効があり、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月間とされています(民法1050条第2項)。また、相続開始の時から1年経過すると、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知っているかどうかにかかわらず、その請求を行うことができなくなるという除斥期間が定められています。

遺産分割終了後でも請求できる?

特別寄与料は相続人以外の者が請求できるもので、遺産分割とは異なる次元のものです。そのため、遺産分割が終了しているかどうかは、特別寄与料請求の可否に影響を与えません。

特別寄与料の相場はどれくらい?計算方法は?

特別寄与料の相場についてご質問いただくことは大変多いです。相場や計算方法について明確な定めがあるわけではなく、「寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して」定めるとされています(民法1050条第3項)。

一般論としての相場や計算方法があるわけではないので、事件ごとに個別具体的な判断をしていくことになります。

介護した場合(療養看護型)

療養看護型では、職業看護者の費用を参考に決定することが多いです。職業看護者の報酬日額に対し、介護者が専門職ではないことを考慮した裁量割合を乗じて日額を算定し、介護日数を乗じて特別寄与料を算出します。

裁量割合については、通常0.5~0.8とされています。

事業を手伝った場合(家事従事型)

事業を手伝った場合には、特別寄与者が当該事業を手伝わずに別の事業を行っていれば得られたであろう金額を参考に決定することが多いです。賃金センサス等を参考にして算定しますが、生活費割合に相当する額を控除することが多いです。その控除を行う理由としては、被相続人の財産から特別寄与者の生活費がある程度賄われていることが多いことにあります。

特別寄与料の請求先は?誰が払うの?

特別寄与料の請求先は相続人全員になります。全員に対して請求してもよいですし、相続人の一部にのみ請求する形でも問題ありません。これは、特別寄与料が相続人の負う個別の負担であること、請求期間が短いことから全員に対して請求しなければならないとすることは困難であることが理由です。

各相続人は、それぞれの法定相続分もしくは遺言による相続分の指定がなされている場合にはその指定相続分の割合に応じて、特別寄与料を負担することになります。特別寄与者は、各相続人に対しその特別寄与料全額を請求することはできず、各相続人の負担割合部分のみを請求できるのです。

特別寄与料請求の流れ

特別寄与料の請求については、特別寄与者と相続人とで話し合った上で合意に至らなければ、調停・審判を家庭裁判所に申し立てることが考えられます。もっとも、話し合いによる解決がスムーズにいかない可能性は大いにあり、他方、時効・除斥期間の短さを考えると、話し合いから調停・審判の申立てに移行するタイミングはあまり遅くならない方がよいといえます。

特別寄与料の受け取りに税金はかかる?

特別寄与料については、支払われるべき額が確定した時には、被相続人から遺贈によって取得したものとみなされて、相続税が課税されます(相続税法第4条第2項)。この際、特別寄与者は被相続人の1親等の血族ではないため、算出された相続税額に2割加算して納税する必要があることに注意が必要です(相続税法第18条)。

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特別寄与料の請求は非常に短い期間制限がある中で、要件充足性や金額の算定の検討、またそれらを立証する資料を速やかに収集しなければなりません。さらに被相続人の財産を相続人以外に渡さなければならないという点で、心情的に見てもスムーズな進行が難しい事件であるといえるでしょう。

少しでも早く弁護士にご相談いただき、要件や金額、それらを立証するための資料の準備に早く取り掛かることが必要です。また、交渉のプロである弁護士に任せることで、心情面や法的知識を踏まえた進行を行うことが可能になります。

特別寄与料の請求については、一度弁護士にご相談ください。

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹
監修:弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長
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