
監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士
交通事故に遭った時、もらえるのであれば可能な限り高額な慰謝料をもらいたいと思うのは当然ですよね。
このページでは、弁護士に依頼するとなぜ慰謝料を増額できるのか、慰謝料はどれくらい増額するのか、どのタイミングで弁護士に相談するのがよいか、などについて解説しています。 ぜひ参考になさってください。
目次
弁護士に依頼すると交通事故の慰謝料を増額できる理由
弁護士が使う慰謝料の算定基準は一番高額
慰謝料の算定基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つがあります。
自賠責基準は、強制保険である自賠責保険における算定基準(自動車損害賠償保障法16条の3に基づくもの)です。
この基準によれば、慰謝料の金額は3つの基準の中で最も低くなります。
任意保険基準は、各任意保険会社が独自に定めている算定基準です。
この基準によれば、慰謝料の金額は自賠責基準よりは高くなるものの、弁護士基準よりは低くなります。
弁護士基準は、裁判所の実務に基づいて賠償額の基準を示したもので、裁判基準とも呼ばれます。弁護士基準によれば、慰謝料の基準は3つの基準の中で一番高額になります。
なぜ弁護士基準は高額になるのか
先ほど述べたとおり、弁護士基準は、裁判所の実務に基づいて賠償額の基準を定めたものです。
そのため、弁護士基準に基づく賠償額は、最低限度の金額を保障する自賠責基準や、保険会社が定める任意保険基準に比べて、被害者が納得できる高い金額となっているのです。
保険会社が提示する慰謝料の基準
保険会社が提示する慰謝料の基準は、各会社によって異なる上、一般には公開されていません。
ただ、任意保険会社は、営利企業であるため、より大きな利益を得るために賠償額をできる限り抑えようとしていると考えられます。
そのため、保険会社が提示する慰謝料の基準は、自賠責基準に近い低額なものとなっています。
弁護士基準と自賠責基準で慰謝料はどれくらい変わるのか?
先ほど述べたとおり、自賠責基準は最低限度の金額を保障するものであるのに対して、弁護士基準によれば、最も高額の慰謝料を請求することができます。
具体的に2つの基準で慰謝料がどれくらい変わるのか、以下の例で見てみましょう。
入通院慰謝料の比較
自賠責基準では、入通院慰謝料は1日あたり4,300円となります。
そして、「4,300円 × 総治療期間」と「4,300円×実治療日数×2」という2通りの計算結果のうち、金額の低い方が入通院慰謝料の金額となります。
弁護士基準では、症状の程度ごとに2つの算定表(通常用「別表Ⅰ」と軽傷用「別表Ⅱ」)が設けられており、入院期間と通院期間が交差する部分の数字が入通院慰謝料の金額となります。
同じ条件で自賠責基準と弁護士基準の入通院慰謝料を比較したものは、以下のとおりです。
入通院期間 | 自賠責基準 | 弁護士基準 カッコ内は軽傷時の金額 |
---|---|---|
入院:1ヶ月 通院期間:4ヶ月 (実通院日数:48日) |
4,300円×(入院30日+通院期間30日×4) =645,000円 |
130万円(95万円) |
入院:なし 通院期間:5ヶ月 (実通院日数:50日) |
4,300円×通院日数50日×2 =430,000円 |
105万円(79万円) |
入院:なし 通院期間:6ヶ月 (実通院日数:90日) |
4,300円×通院期間30日×6 =774,000円 |
116万円(89万円) |
後遺障害慰謝料の比較
後遺障害慰謝料は、事故により負った傷害の治療後、医師から症状固定の診断を受け、後遺障害等級認定の申請をして認定を得られた場合に、請求することができます。
自賠責基準と弁護士基準での後遺障害慰謝料の金額は、以下の表のとおりになります。
等級によって異なりますが、弁護士基準に基づく慰謝料は、自賠責基準に基づく慰謝料の1.6~3.4倍程度になります。
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
1級 | 1650万円 (被扶養者がいる場合:1850万円) |
2800万円 |
2級 | 1203万円 (被扶養者がいる場合:1373万円) |
2370万円 |
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
1級 |
1150万円 (被扶養者がいる場合:1350万円) |
2800万円 |
2級 |
998万円 (被扶養者がいる場合:1168万円) |
2370万円 |
3級 |
861万円 (被扶養者がいる場合:1005万円) |
1990万円 |
4級 | 737万円 | 1670万円 |
5級 | 618万円 | 1400万円 |
6級 | 512万円 | 1180万円 |
7級 | 419万円 | 1000万円 |
8級 | 331万円 | 830万円 |
9級 | 249万円 | 690万円 |
10級 | 190万円 | 550万円 |
11級 | 136万円 | 420万円 |
12級 | 94万円 | 290万円 |
13級 | 57万円 | 180万円 |
14級 | 32万円 | 110万円 |
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交通事故の慰謝料がどれくらい増額するか知りたい
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これらのサービスを利用していただくことで、弁護士基準ではどれくらい慰謝料が増額するかを知っていただけます。
無料診断サービス 損害賠償計算弁護士基準で慰謝料を計算してもらうにはどうしたら良い?
前述したとおり、弁護士基準は、裁判所の実務に基づいて賠償額の基準を定めたものですので、被害者ご自身で交渉したとしても、保険会社が弁護士基準で慰謝料を提示してくれることはほとんどありません。 そのため、弁護士基準で慰謝料を計算してもらうためには、基本的には弁護士への依頼が必要になるといえます。
被害者本人だけでは慰謝料を増額させるのが難しい理由を次項で解説していきます。
被害者本人だけでは慰謝料を増額させるのが難しい理由
保険会社は被害者の利益を優先するとは限らない
先ほども述べたとおり、保険会社は営利企業であるため、より大きな利益を得るために賠償額をできる限り抑えようとしています。
そのため、保険会社は被害者の利益を優先するとは限りません。
被害者が弁護士基準で交渉しようとしても応じてくれない
そして、被害者本人が弁護士基準で交渉しようとしても、保険会社はなかなか応じてくれません。
法律のプロであり交渉のプロでもある弁護士が交渉することで、弁護士基準程度の慰謝料を獲得できる可能性が高まるのです。
交通事故の慰謝料について弁護士に相談・依頼した場合の費用は?
交通事故の慰謝料について弁護士に依頼した場合、弁護士費用としては、着手金、成功報酬、実費等が発生します。
しかし、被害者が加入している保険に弁護士費用特約があれば、一定額までの弁護士費用を保険会社に負担してもらうことが可能です。
多くの保険で、弁護士費用特約の上限額は300万円と定められていますが、死亡事故や重い後遺障害が残った場合でない限り、弁護士費用が上限額を超えることはまれです。
そのため、弁護士費用特約を利用すれば、実質自己負担ゼロで弁護士に依頼できる可能性があるのです。
なるべく早いタイミングで弁護士に相談・依頼するほどメリットが増える
交通事故発生から示談成立に至るまでには、事故発生→治療(入院・通院)→症状固定・治癒の診断→後遺障害等級認定の申請・異議申立て→示談交渉→示談成立というような過程をたどります。
示談交渉の段階で初めて弁護士に相談・依頼するのでは、できることが限られていたり、場合によっては手遅れになっていたりする可能性もあります。
そのため、事故発生直後や治療中といった、なるべく早いタイミングで弁護士に相談・依頼することをおすすめいたします。
交通事故の慰謝料請求は弁護士にお任せください
これまで述べてきたとおり、弁護士基準は、3つの算定基準の中で最も慰謝料が高額になる基準ですが、被害者本人による交渉では弁護士基準の慰謝料を得ることは困難です。
満足な慰謝料を得るには、できるだけ早いタイミングで弁護士に依頼することが重要です。
弁護士費用特約を利用すれば、実質自己負担ゼロで弁護士のサポートを受けられますので、気軽に弁護士に相談してみましょう。
交通事故に関する悩みや不安を解消するために、ぜひ一度お問い合わせください。
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保有資格弁護士(大阪弁護士会所属・登録番号:40084)