交通事故でむちうちの症状が出たら

交通事故でむちうちの症状が出たら

交通事故によって負うケガは様々ですが、むちうちになってしまう方は少なくありません。そのため、むちうちになってしまった場合の留意点について知っておくことは非常に重要といえます。本稿においては、交通事故でむちうちの症状が出た場合に留意すべき点などについて解説いたします。

むちうちとは?

むちうちとは、交通事故の際に首などに強い衝撃がかかり、首がむちのようにしなることから「むちうち」と呼称されますが、傷病名としては、「頸椎捻挫」や「頸部挫傷」、「外傷性頸部症候群」などと診断されます。

むちうちの主な症状

むちうちの症状としては様々なものがあり、どのような症状が現れるかは個人差があるため、事故後できる限り早く通院すべきです。主な症状としては、頸部・頭部・背部・腰部・腕などの疼痛、頸部などの可動域制限、握力の低下、足先や指先などの麻痺、目眩、吐き気などが挙げられます。

むちうちの主な治療方法

患部(頸部など)が炎症していることがあるため、事故直後は患部を固定するなどして、安静にすることが重要です。炎症が治まってきたら、電気療法などにより痛みを軽減させていくといった治療方法があります。交通事故によりむちうちの症状が生じる場合は,事故直後ではなく事故からしばらく経ってから症状が現れることがありますので,事故直後に症状がないからといって安心するのではなく,しばらくは安静にしておくべきでしょう。

首関節は発赤や腫脹といった炎症の症状が確認することが難しいうえ,損傷部位を守ろうとするため,無理に動かすと硬くなりより損傷状況が悪化する可能性があるので注意が必要です。

むちうちで認定される可能性のある後遺障害等級と認定基準

むちうちで認定される可能性のある後遺障害等級としては、①12級13号と②14級9号があります。①②の認定基準は下記の表のとおりです。

等級認定基準
①12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」であるか
②14級9号「局部に神経症状を残すもの」であるか

上記①「局部に頑固な神経症状を残すもの」には、むちうちに起因する症状が、神経学的検査所見や画像所見などの他覚的所見により、医学的に証明しうるものが該当します。

上記②「局部に神経症状を残すもの」には、むちうちに起因する症状が、神経学的検査所見や画像所見などから証明はできないが、受傷時の状態や治療の経過などから連続性・一貫性が認められ説明可能な症状であり、単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されるものが該当します。

むちうちで請求できる慰謝料と慰謝料相場

むちうちによる損害として請求できるものとして、①入通院慰謝料と②後遺障害慰謝料があります。
入通院慰謝料の金額は、入通院期間の長短に応じて算定されます。
後遺障害慰謝料の金額は、認定された後遺障害の等級に応じて算定されます。

算定基準については、各保険会社の基準や自賠責保険の基準、裁判基準(弁護士基準)などがあり、さらに弁護士基準については別表Ⅰと別表Ⅱがあって、むちうち症で他覚所見がない場合等には別表Ⅱ(金額が別表Ⅰより低額)によるなど、様々な基準があるため、どの基準で算定するかによって金額に差が出ます。

入通院慰謝料

入通院慰謝料は、むちうちによる入通院に対する慰謝料です。むちうちで通院期間6か月・実通院日数90日の場合の慰謝料額は、自賠責基準と弁護士基準では下記の表のとおりとなります。

【むちうちで通院期間6ヶ月・実通院日数90日の場合】
自賠責基準弁護士基準
75万6000円(2020年3月31日までの事故の場合)
77万4000円(2020年4月1日以降の事故の場合)
116万円(別表Ⅰの場合)
89万円(別表Ⅱの場合)

自賠責基準は近時改正があったため、2020年3月31日までの事故の場合は通院1日あたり4200円、2020年4月1日以降の事故の場合は通院1日あたり4300円で算定されます。また、実通院日数×2と通院期間を比較し、どちらか少ない方に日額を乗じて算定されます。なお、自賠責保険の支払限度額は治療費や慰謝料などを合わせて120万円までであるため、治療費が高額になった場合などには、上記の表よりも低額となる可能性があります。
弁護士基準はむちうち症で他覚所見がない場合等には別表Ⅱ、これら以外の場合には別表Ⅰにより算定されます。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、むちうちによる後遺障害に対する慰謝料です。12級13号及び14級9号の場合の慰謝料額は、自賠責基準と弁護士基準では下記の表のとおりとなります。

自賠責基準弁護士基準
12級13号224万円290万円
14級9号75万円110万円

弁護士基準は、弁護士会が裁判例を基に慰謝料額を基準化したものとなるため、自賠責基準よりも高額となっています。

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むちうちで適正な等級認定・慰謝料請求するためのポイント

むちうちにおいて適正な等級認定を受け、適正な慰謝料を請求するためには、①通院頻度と②整形外科への受診がポイントとなります。

通院頻度を適切に保つ

通院頻度が少なすぎる場合、加害者側の任意保険会社が治療費の支払対応をしている場合に、その治療費の支払いが早期に打ち切られてしまう可能性が高くなります。一方で、通院頻度が多すぎる場合、過剰診療として治療費の一部について支払いを拒否される場合があります。

以上のように通院頻度が少なすぎても多すぎても問題となるため、適切な頻度を保つことが望ましいです。具体的には、通院が長期にわたる場合、実通院日数の3倍程度を通院期間とされることがあるため、3日に1回程度(週2~3回で月合計10回程度)が適切な頻度といえます。

必ず整形外科を受診する

むちうちの治療として、整形外科のほか整骨院にも通院される場合があります。しかし、整骨院の場合、施術者が医師ではないため診断書を取得できなかったり、画像診断等も受けられないといった問題があるため、整骨院のみに通院するというのは避けた方がよく、整形外科に通院する必要があります。

通院中に保険会社からむちうちの治療費を打ち切られそうになったら

加害者側の任意保険会社が治療費を支払っている場合において、むちうちは自覚症状のみで画像や検査で異常が認められないこともあるため、治療費の支払いの打ち切りの話が早期に出てくる場合があります。このような場合には、通院先の医療機関に医療照会を実施し、治療期間についての見通しなどを確認して、治療費の支払い延長の交渉をすることが考えられます。また、仮に早期に治療費の支払いを打ち切られた場合であっても、打ち切り後の治療について健康保険を利用する等して継続するということもあり得ます。

交通事故でむちうちになったら弁護士へご相談下さい

以上のとおり、交通事故によりむちうちになってしまった場合には、むちうち特有の留意すべき点が多々あります。これらの点を正確に把握した上で加害者側の任意保険会社と交渉を進めたり、後遺障害等級認定の手続を行ったりするには、事故後できる限り早期に弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

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この記事の監修

弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹
弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長弁護士 長田 弘樹
大阪弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
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