交通事故の弁護士依頼で後悔するケースとその対処法

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交通事故の弁護士依頼で後悔するケースとその対処法

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹

監修弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長 弁護士

交通事故事案では、自動車保険等に付帯した弁護士費用特約を利用して、弁護士に事件対応を依頼する方が多くいます。弁護士に依頼して満足のいく結果となる方もいれば、中には、弁護士の対応に不満を持たれる方もいます。

本稿では、弁護士に依頼したことを後悔したケース、後悔しないための対策等を紹介したうえで、自分に合った弁護士の選び方や、依頼した弁護士を変えたいと思ったときの方法等を解説いたします。

交通事故で弁護士に依頼するメリット・デメリット

交通事故で弁護士に依頼するメリット・デメリットとしては、一般的に以下の点が挙げられます。

【メリット】

  • 相手方や保険会社との交渉・調整の負担を軽減することができる
  • 交通事故事案の交渉の流れや実務上の取扱い等を知ることができ、不安や疑問を解消しやすい
  • 損害賠償額が本人交渉時よりも増額される傾向にある

【デメリット】

  • 弁護士費用の発生(弁護士費用特約の利用で解消の可能性あり)
  • 弁護士との相性や方針の不一致により、依頼したことを後悔する場合がある

このとおり、弁護士依頼にはメリットの方が多く、特に弁護士費用特約の利用ができる場合は、弁護士への依頼をお勧めするところです

ただし、デメリットも想定されるので、そもそも弁護士に依頼するかどうか、どの弁護士に依頼するかは要検討です。

弁護士依頼で後悔するケースとその対処法

弁護士に依頼して後悔するケースでは、何が問題となるのでしょうか。

主に以下の点が考えられます。

  • 弁護士との相性や方針が合わない
  • 損害賠償額等の結果に不満

さて、上記問題点は、具体的にどのような場面で発生するのか、以下で見てみましょう。

弁護士に依頼したが示談金に納得できない

損害額の算定には、自賠責基準と裁判実務上の基準とでは隔たりがあり、考え方も異なります。また、事案ごとに賠償額加算のポイントも異なります。

例えば、交通事故によってむち打ち症状が発生したといった事例では、整形外科への通院頻度や通院期間が、慰謝料の算出においては大きなポイントとなります。通院頻度や治療終了のタイミング、後遺障害等級申請等の対応次第で、示談金の金額は大きく差が出るでしょう。

このような賠償額加算のポイントについて説明もされず、示談金が思っていたよりも低かった場合等には、示談金に納得がいかないとなりかねません。

示談金で後悔しないための対処法

示談金で後悔しないための対処法は、以下の2点を守ることです。

  1. 交通事故事案に精通した弁護士に依頼すること
  2. 依頼した弁護士としっかり話し合って方針を定めること

当然のことですが、交通事故事案について、経験豊富な弁護士に依頼することが重要です

そのうえで、事故状況、怪我の内容、通院・治療状況等、交通事故にかかわる個別事情を、弁護士にきちんと伝え、方針を相談して進めることが理想です。

法的知識を備えていることはもちろん、個別の事情を把握して初めて有利に進めることができます。

弁護士費用が示談金を上回ってしまう

弁護士費用が示談金を超えてしまうと、収支としては赤字となり、結果的に弁護士に依頼して利益どころか、負担が生じてしまいます。これでは何のために弁護士に依頼したのか、と後悔してしまうことになりかねません。

例えば、弁護士費用が示談金を上回るケースとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 物損のみの事故
    物損には、通常慰謝料は発生しません。また、修理費やレッカー代等の実費は弁護士に依頼しても変わらないので、示談金の増額が見込めないことがあります。
  • 加害者が任意保険未加入
    加害者が任意保険に未加入の場合、加害者から損害を回収することが難しいケースが少なくありません。この場合、自賠責保険から回収することとなり、限度額の制限があるため、回収額が低額にとどまる可能性があります。
  • 過失が大きい場合
    過失相殺の結果、任意保険からの支払よりも、自賠責保険からの賠償の方が高額となることがあります。この場合、上記と同様に限度額の制限があります。

費用倒れで後悔しないための対処法

弁護士費用については、ご自身の保険で「弁護士費用特約」がついているか、それを利用できるかどうかをご確認ください。

弁護士費用特約とは、保険会社が弁護士費用を原則300万円まで負担してくれる特約です。

自動車保険や火災保険に付帯していることが多く、ご自身が加入している保険の他に、ご家族の保険に付帯している場合でも、特約の利用が可能である場合があります。

交通事故事案において、弁護士費用が300万円を超えることはそれほど多くはないため、弁護士費用特約を利用することで、自己負担なしで弁護士に依頼することが可能です。

また、弁護士費用特約が利用できる場合、できない場合、いずれにおいても、弁護士に相談時には、念のため、弁護士費用について確認しておくとよいでしょう。

弁護士に依頼したが過失割合が変わらない

過失割合とは、交通事故における当事者の責任の割合をいいます。

例えば、交通事故において被害者に発生した損害が100万円だとします。当該交通事故の過失割合が「10(加害者):0(被害者)」である場合、被害者は損害額全額の賠償を受けることができます。一方で、過失割合が「7(加害者):3(被害者)」である場合、被害者は、自己の責任である3割については賠償を受けることができず、加害者から70万円が支払われることになります。

過失割合は、過去の裁判例と個別事情ごとの修正等によって判断されます。

相手方保険会社の過失主張が、裁判例等に照らして妥当かどうかを検討することが重要です。検討の結果、相手方保険会社の主張内容が妥当である場合は、弁護士に依頼しても過失割合が変わらないことがあります。

過失割合で後悔しないための対処法

過失割合については、事故態様・事故状況・修正要素に当たる事情等の事実に基づいて判断されます。

このため、過失割合に争いが生じた場合には、自己に有利な事実を裏付ける証拠が必要となります。

例えば、実況見分調書、ドライブレコーダー、目撃者の証言等が確保すべき証拠として挙げられます。

事故から時間が経過するほど、証拠は散逸してしまいます。早めに収集しておきましょう。

弁護士に依頼したが後遺障害が認められない

交通事故によって怪我をしたとき、治療を継続しても、痛みや可動域制限等の症状が残ってしまうことがあります。

このような症状について、相手方の自賠責保険に対し、後遺傷害等級申請をすることが考えられます。

後遺障害等級が認定されると、後遺障害にかかる慰謝料や逸失利益が、交通事故の損害として認められ、損害賠償額が増額されます

後遺障害等級は、治療頻度や期間、治療内容、検査結果、医師の所見等に基づいて判断がなされます。

等級申請は、揃えた資料を提出した後は自賠責の判断に委ねざるを得ず、必ずしも認定されるものではありません。もっとも、等級認定の可能性を高めるため、治療初期から弁護士のアドバイスの下に通院するのがよいでしょう。

後遺障害等級認定で後悔しないための対処法

後遺障害等級認定では、事故直後に医療機関を受診することはもちろん、継続的に通院したり、必要な検査を適時に受けたりすることも大切です。

また、後遺障害等級申請を見据えたうえで、ベストな治療頻度や治療期間、検査等を受けること、そして、その前提としてベストな通院頻度・治療期間等を無理なく継続できるようにするためにはどうするか、といったアドバイスも弁護士から受けられます。例えば、相手方保険会社の一括対応の延長交渉や、通いやすい病院への転院等、臨機応変な対応が可能となりますので、依頼した弁護士と、状況に応じてしっかり相談しておきましょう。

弁護士と連絡が取れない・連絡が遅い

弁護士と連絡が取れなかったり、返事が遅かったりすることで、不満を覚えることがあります。

事案の状況次第では、弁護士の連絡頻度が減ることがあります。特に、交通事故事案においては、資料の到着や等級申請の結果、相手方保険会社の回答等を待つ場面が多く、「待ち」のタイミングでは進捗がないため、弁護士からの連絡が少なくなるのです。

もっとも、そのような状況であったとしても、事前に説明してくれないと、連絡がなくて不安になってしまします。このような不安を覚えないように、どうすればよいでしょうか。

弁護士との連絡で後悔しないための対処法

交通事故事案では、時間がかかる手続や先方の回答待ちなどの場面が多くあります。このため、予想される手続のスケジュールや手続ごとにかかる時間の見込みについては、前もって弁護士に確認しておくとよいでしょう。弁護士から連絡がないことで不安になる、といったストレスを軽減できます。

また、進捗状況を聞きたいと思って弁護士に連絡しても連絡がつきづらい、という場合は、折返しのタイミングや連絡がつきやすいタイミングを相互に伝えあっておくことで、意思疎通が図りやすくなります。弁護士からの折り返しももらいやすくなるでしょう。

弁護士の対応が悪い・相性が合わない

弁護士の対応が悪かったり、相性が合わなかったりすることで、事件進行に不満を覚えることがあります。

弁護士も個性や性格が異なりますので、中には「自分とは合わないな」と思う人がいることでしょう。「弁護士の口調や雰囲気が苦手で、話しづらいな」「そもそも会話のテンポが合わないし、ちゃんと話を聞いてもらえてない気がする」など、弁護士との相性が悪いせいで、連絡や相談を控えるようになってしまうことがあります。これでは本末転倒で、せっかく弁護士に依頼して交通事故をスムーズに解決しようとしているのに、弁護士との意思疎通不足が原因で、解決に時間がかかってしまうかもしれません。

また、弁護士との意思疎通が不十分だと、納得のいく方針を取ることが難しくなり、結果にも不満を持つことになりかねません。

弁護士との相性で後悔しないための対処法

弁護士に依頼する時には、その弁護士との相性も考慮しましょう。弁護士は事件解決まで依頼者と寄り添って動くパートナーであり、依頼者が連絡を取る機会が多い存在となります。このため、経験や法的知識の深さだけではなく、話しやすさや、説明のわかりやすさ、質問をしたときの答え方など、自分と合っているかどうかも、弁護士選びにおいては考慮しておくとよいでしょう。

そして、もし、すでに依頼した弁護士と相性が合わないと感じたときは、現在の弁護士とよく話し合い、場合によっては、弁護士を変えることも検討しましょう。

交通事故で後悔しないための弁護士の選び方

これまで、交通事故での弁護士選びに後悔するケースや、その対処法を紹介しましたが、まとめると、弁護士選びの重要な要素は、以下の2点です。

  • 交通事故事案に経験が豊富・事案に精通した弁護士かどうか
  • 弁護士が自分と合っているか、相性がよいかどうか

それぞれの要素を満たした弁護士をどう選ぶかについて、以下で方法を確認しましょう。

交通事故の実績・経験が豊富な弁護士を選ぶ

弁護士にも、専門分野や得意分野があります。交通事故事案は、固有の論点や考え方や、裁判例も多数あるため、事務所それぞれに専門化が進んでいる分野です。

では、その弁護士や法律事務所が、交通事故を専門的に取り扱っているのか、実績が豊富かどうかは、どのように確認すればよいのでしょうか。

現在、大手の法律事務所はウェブ上にホームページを設置していることが多く、そこには取扱い分野や実績、記事等を掲載しています。まずは、依頼しようと考えている弁護士や法律事務所のウェブページを検索してみることがよいでしょう。そこに記載された弁護士や事務所の取扱い分野や専門分野は、弁護士選びの参考になるはずです。

ウェブページなどで確認できない場合は、弁護士に相談した際、類似事案の経験等を聞いてみるのもよいでしょう。

無料相談を利用して弁護士との相性を図る

交通事故について弁護士に依頼する際には、まずは相談から始まります。

弁護士に相談となるとハードルが高いと思われる方が多いかもしれませんが、法律事務所や弁護士会、自治体等の無料法律相談が存在します

まずは無料相談を利用し、実際に話してみて、自分と相性のよい弁護士を選ぶのがよいでしょう。

話しやすさ、説明のわかりやすさ、雰囲気等、自分が弁護士に期待することや重視する点を、相談時に確認できます。きっと、自分によく合った弁護士を選ぶことができるでしょう。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

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交通事故に強い弁護士を選んだら…依頼するタイミングは?

交通事故に遭ったら、いつ弁護士に相談したり、依頼したらよいのか。

これについては、【できるだけ早い段階】で依頼することをお勧めします

時間がたてばたつほど、証拠は散逸してしまう傾向にありますし、治療等の方針として選べる選択肢も少なくなっていくからです。

弁護士がアドバイスできることも、事故直後であるほうが多く、また有効となりやすいといえます。

弁護士を変更したい場合の手続きの流れ

一旦弁護士に依頼したものの、「この弁護士は合わないな」「ちゃんと対応してくれない」などと感じる場合は、弁護士を変えたいと思うのではないでしょうか。どうすればいいのかとお悩みの方がいらっしゃるかもしれませんが、原則、弁護士の変更は可能です。

基本的には、弁護士の変更の手順は以下のとおりです。

  1. 新しい弁護士を探す
  2. 変更前の弁護士に解任を通知する
  3. 新しい弁護士に依頼する
  4. 弁護士間で引き継ぎなどが行われる

①新しい弁護士を探す

弁護士を変えたいと思ったら、まずは、新しい弁護士を探しましょう。

新しい弁護士には、それまでの弁護士に対して不満に思ったことを伝えておき、そのうえで相性が合うかどうか等を確認して選ぶことがベストです。

②変更前の弁護士に解任を通知する

新しい弁護士が決まったら、すでに依頼している弁護士に解任を通知します。

通知の方法は手紙でも電話でも問題ないので、適宜の方法ですればよいでしょう。

新たな弁護士への引継ぎ等も必要となるので、解任については、現弁護士ときちんと確認しておくとスムーズです。

③新しい弁護士に依頼する

前の弁護士を解任してから、新しい弁護士に依頼します。

新たに委任契約を締結するにあたって、着手金や実費の支払が発生します。

スムーズに引継ぎが行われるよう、新たな弁護士に着手金等を確認しておくとよいでしょう。

④弁護士間で引継ぎなどが行われる

引継ぎについては、前任の弁護士の名前や事務所を伝えることで、弁護士間で引継ぎがなされます。

また、新たな弁護士において、保険会社への受任通知を送ることで、相手方からの連絡は、新たな弁護士に届くようになります。

このように、引継ぎは、依頼者において行わなければならないことはほとんどなく、基本的には、弁護士に任せておけば問題ありません。

以上で弁護士の変更は完了です。

弁護士を変更する際の注意点

弁護士を変更する場合、前任の弁護士に支払った着手金等の費用はどうなるでしょうか。

着手金とは、事件処理の着手に当たって生じる費用なので、受任通知を送ったり、保険会社等と調整や連絡を取り合ったりする等、事件解決に向けて行われた活動の対価です。

このため、交通事故対応の依頼時に支払った着手金は、基本的には返金されません

新たな弁護士に支払う着手金等について、弁護士費用特約の取扱いを確認しておくとよいでしょう。

交通事故事件の実績・経験が豊富な弁護士法人ALG&Associatesにお任せください。

交通事故事案で依頼するにあたっては、その弁護士が事件種に精通していることと、自分との相性が重要です。

せっかく依頼しても、自分と合わない弁護士であることで、不満や後悔を抱くこともあります。

この点、弊所は事務所全体で交通事故に専門的に取り組んでおり、所属弁護士の交通事故への知見が深いことはもちろん、多数の弁護士が在籍していることから、ご自身にとって最適な弁護士を見つけられることでしょう。

是非一度ご相談ください。

大阪法律事務所 所長 弁護士 長田 弘樹
監修:弁護士 長田 弘樹弁護士法人ALG&Associates 大阪法律事務所 所長
保有資格弁護士(大阪弁護士会所属・登録番号:40084)
大阪弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。